取引リスクを最小限に!与信管理の基礎から応用まで解説
与信管理とは?
与信管理の概要
企業が取引を行う際には、相手先の信用状況を適切に判断することが求められます。
中小企業だけでなく、社団法人、財団法人、NPO法人なども、事業上の取引で金銭の授受が発生する場合、相手の信用力を慎重に検討する必要があります。
特に近年では、大手企業と取引を開始する際に、たとえ金銭のやり取りが伴わない場合であっても、信用状況が一定の基準に満たないと契約を結ぶことすら難しくなっています。
本コラムでは、金銭の授受を伴う取引関係を前提とした「与信管理」について詳しく解説します。
「与信管理」とは、取引先からの代金(売掛金)の回収リスクを最小限に抑えるための管理活動です。
具体的には、取引開始前に第三者の調査機関を活用した信用調査や、社内での与信審査を行い、取引可否を判断します。
さらに、取引開始後も相手方の信用状況を継続的に評価し、販売限度額の設定、売掛期間の短縮、取引停止などの措置を講じることで、リスクをコントロールします。
与信管理の重要性
適切な与信管理は、企業の資金繰りの安定に寄与します。
具体的には、貸倒引当金の計上や、不良債権の損金処理などを通じて、経営リスクを低減できます。
また、営業部門と管理部門が連携し、取引先情報を共有することが不可欠です。
この連携が不十分だと、売掛金の未回収が増加し、資金繰りの悪化を招きます。最悪の場合、黒字倒産の要因になり得るのです。
さらに、与信管理は、単に自社が取引先を審査するだけでなく、企業自身も取引先から信用評価を受けることになります。
信用調査会社による評点化の結果によっては、自社の評価が低下し、取引機会の損失につながることもあります。
そのため、適切な与信管理を行うことは、企業の信用を維持するためにも重要なのです。
取引開始前の与信管理
取引候補先の情報収集と信用評価
取引開始前の与信管理では、まず取引候補先の情報収集と分析を行います。
主な情報源として、以下のようなものがあります。
- 取引候補先から徴取する決算書や事業パンフレット
- 代表者や経営陣の情報
- 業界や製品の動向
- 信用調査会社(帝国データバンク、商工リサーチなど)の評点データ
- 取引先の過去の取引履歴や支払い遅延の有無
- 取引先の評判や市場での立ち位置
これらの情報をもとに、取引候補先の信用力を評価し、リスクを測定します。
一部の企業では、信用調査会社の評点が一定の水準を満たさない場合、取引口座を開設しないという基準を設けています。
取引契約の交渉と与信限度額の設定
信用評価の結果に基づき、与信限度額を設定します。
限度額の設定は、社内規定に従い、取引先の信用力や財務状況を踏まえて決定されます。
また、設定した与信限度額をもとに、取引条件の交渉を進めます。具体的には、
- 支払い条件の設定(支払サイトの短縮、前払いの導入など)
- 取引契約の締結(保証人の設定、担保の有無など)
- 取引先の財務状況や市場環境の変化に応じた契約の見直し
といった交渉を行い、安全な取引を確保します。
取引開始後の与信管理
取引状況のモニタリングと見直し
取引開始後も、相手先の経営状況や財務状況の変化に応じて、与信管理を継続的に行うことが重要です。具体的には、
- 支払遅延の有無
- 与信限度額の超過
- 取引契約の期限切れ
- 取引先の業績の推移や市場環境の変動
- 競合他社との関係変化
などをチェックし、必要に応じて是正措置を講じます。
また、信用状況の悪化が見られる場合には、取引条件の見直しや取引停止の判断も必要になります。
信用調査の活用と取引リスクの管理
信用調査会社の提供するデータを活用することで、より詳細なリスク評価が可能になります。
特に、以下のような情報は定期的にチェックし、適切な対策を講じることが求められます。
- 財務情報の変化
- 取引先の経営陣の変更
- 業界の景気動向
- 他社との取引状況
- 取引先の事業方針の変更や投資動向
- 法的なトラブルの有無
外部調査を活用することで、リスクを未然に防ぐことができ、大きな損失を回避することにつながります。
まとめ
与信管理は、企業の健全な経営を維持するために欠かせない業務です。
取引開始前の信用調査と、取引開始後の継続的なモニタリングを適切に行うことで、未回収リスクを抑え、資金繰りの安定を図ることができます。
しかし、取引のリスクは多岐にわたり、どのような管理手法が自社にとって最適なのか判断するのは容易ではありません。
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