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「ものづくり補助金」完全ガイド!申請要件から採択率を上げるポイントまで徹底解説

ものづくり補助金とは?概要と目的

ものづくり補助金の成り立ちと公募状況

「ものづくり補助金」は、新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業を支援するために導入された補助金の一つです。「事業再構築補助金」と並び、中小企業の経営者からの関心が高い制度として、多くの問い合わせがあります。

この補助金は、令和2年3月に第1次公募が開始され、その後も継続的に実施されています。令和6年1月時点で第18次公募まで実施されており、直近の第18次公募は令和6年5月9日に締め切られました。

これだけ頻繁に公募が行われる補助金は珍しく、多くの中小企業が活用できる制度であることがわかります。では、なぜ「ものづくり補助金」はこれほどの回数にわたって継続されているのでしょうか。その背景には、中小企業の事業拡大や持続的な成長には、生産性の向上が不可欠 であるという国の方針があります。

中小企業の生産性向上を支援する目的

中小企業の競争力を強化し、事業拡大や持続可能な成長を実現するためには、単に価格競争に依存するのではなく、大手企業とは異なる独自性や高付加価値を追求する戦略 が求められます。具体的には、以下のような要素が重要になります。

  • 独自の製品・サービスの開発(他社と差別化できる特徴を持つこと)
  • ビジネスモデルの革新(新しい販売手法やマーケット開拓)
  • 生産性の向上(コスト削減や業務効率化による競争力強化)

特に、生産性の向上は近年の「働き方改革」や「深刻な人手不足」といった社会課題に対応するためにも、極めて重要なテーマになっています。

こうした状況に対応するため、国は中小企業を支援するための施策を複数打ち出しています。その中でも、「ものづくり補助金」は、中小企業の生産性向上を支援することを主な目的とした補助金 です。正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上補助金」であり、その名称の通り、単なる製造業向けの補助金ではなく、あらゆる業種の生産性向上を支援する制度 となっています。

ものづくり補助金の支援内容

「ものづくり補助金」は、経済産業省の中小企業庁 および 独立行政法人中小企業基盤整備機構 が主管し、中小企業の生産性向上に貢献する以下のような取り組みを支援します。

  • 革新的なサービスの開発(新しいビジネスモデルやIT活用による効率化)
  • 画期的な製品の試作開発(新技術や新素材を活用した商品開発)
  • 生産工程の改善・設備投資支援(業務の効率化を図るための設備導入)

多くの中小企業の経営者が誤解しがちなのは、「ものづくり補助金=製造業向けの補助金」だという点です。しかし、実際には業種の制限はなく、農業・卸売業・小売業・サービス業など、あらゆる業種の事業者が対象 となります。さらに、条件を満たせば個人事業主でも補助金を活用できる ため、幅広い事業者にとって有用な支援策となっています。

ものづくり補助金の対象と要件

申請対象となる企業の条件

「ものづくり補助金」を申請できるのは、一定の要件を満たした中小企業に限られます。主な条件は以下の通りです。

  1. すでに創業していること
    「ものづくり補助金」を申請するには、すでに事業を開始していることが必要です。これから会社を設立しようとする場合は申請できません。
  • 法人の場合:会社の設立登記が完了していること
  • 個人事業主の場合:開業届を税務署に提出済みであること

このように、事業の実態があることが前提となっているため、創業前の企業や事業計画段階の事業者は対象外となります。

  1. 企業規模の基準を満たしていること
    業種によって異なりますが、「ものづくり補助金」を申請する企業には、資本金または従業員数に上限 が定められています。これを超える場合は、申請対象外となります。

<中小企業の定義>

業種

資本金

常用従業員数

製造業・建設業・運輸業

3億円以下

300名以下

卸売業

1億円以下

100名以下

サービス業

5,000万円以下

100名以下

小売業

5,000万円以下

50名以下

この基準を超えない範囲であれば、業種にかかわらず申請が可能です。

  1. 「ものづくり補助金」の数値要件を満たすこと
    「ものづくり補助金」の大きな特徴として、事業の成長性を示す 数値要件 が設けられています。申請企業は、「営業利益+人件費+減価償却額」(付加価値額)賃金の上昇要件 を満たす事業計画を策定し、それを社内に周知する必要があります。

数値要件の基準

指標

必要な成長率

付加価値額

年平均成長率 +3%以上

給与支給額

年平均成長率 +1.5%以上

事業場内最低賃金

地域別最低賃金 +30円以上

この要件は厳格に設定されており、申請時に提出する3~5年の事業計画に沿った事業推進が求められます。 また、補助金を受けた企業は、毎年の事業化状況報告の提出と、実際の事業成果確認 を義務付けられています。

万が一、計画通りに事業が進まず数値要件を達成できなかった場合、補助金の返還義務が生じる こともあるため、申請の際は慎重に事業計画を立てることが重要です。

補助対象となる設備投資と業種の誤解 

「ものづくり補助金」という名称から、製造業の生産設備を対象とした補助金だと誤解されがちですが、実際には業種の制限はなく、幅広い事業者が対象となります。

対象となる業種の例

  • 製造業(工場の機械設備導入など)
  • 農業(生産プロセスの改善に必要な設備投資など)
  • 卸売業・小売業(在庫管理システムの導入など)
  • サービス業(ITシステム導入による業務効率化など)

このように、どの業種でも 事業の生産性向上や効率化に貢献する設備投資 であれば補助金の対象となります。実際、過去の採択事例を見ても、製造業に限らず幅広い業種の事業者が補助金を受けています。

また、条件を満たせば個人事業主でも補助金を活用できる ため、法人化していない事業者でも申請の可能性があります。

このように、「ものづくり補助金」は製造業に限定された制度ではなく、幅広い業種の企業が活用できる補助金 です。事業の成長や生産性向上を目指す中小企業にとって、有効な支援策となるでしょう。

ものづくり補助金の審査と採択のポイント

数値要件と事業計画の重要性 

「ものづくり補助金」は、他の補助金と比較して公募回数が多いのが特徴です。令和2年3月に開始されてから、令和6年1月までの約4年間で18回の公募が実施されています。

実際に「ものづくり補助金」が採択され、交付決定に至った件数と金額を令和5年7月時点の集計データで見ると、次のようになります。

  • 総採択件数:30,154件
  • 交付決定額の合計:2,484億5,520万円
  • 1件あたりの平均交付決定額:約824万円

また、公募回によってばらつきはあるものの、採択率は40%~60%で推移しており、第16次公募の採択率は48.8%でした。概ね50%前後の採択率を維持している補助金と言えます。

このように比較的採択されやすい補助金ではありますが、数値要件を満たし、審査に通過できる事業計画を策定することが不可欠です。

特に、補助金の申請では、補助金を活用してどのように事業を発展させるのかを明確に示す必要があります。事業計画が不十分な場合、採択率は大幅に低下するため、申請時には慎重な準備が求められます。

また、「ものづくり補助金」の申請においては、専門家やコンサルタントの支援を受けることが採択率向上につながる傾向があります。中小企業の内部リソースだけでは、3~6か月という短期間で、審査基準を満たす事業計画を作成するのは容易ではありません。補助金の申請を行う企業は、適切なアドバイスを受けながら、審査に通りやすい申請書を作成することが重要です。

採択率を高めるための加点項目

「ものづくり補助金」では、追加資料の提出による加点項目があり、これらを満たすことで採択審査時に有利になるとされています。

主な加点項目は以下の4つです。

  • 成長性加点:事業計画書の内容が、補助金の審査基準を十分に満たしているか。
  • 政策加点:事業計画が、公正なサプライチェーンの構築を目的としているか。
  • 災害等加点:災害対策や、事業継続計画(BCP)が盛り込まれているか。
  • 賃上げ加点:事業計画において、実際の賃上げを予定しているか。

こうした加点要素を意識した申請書を作成することで、採択の可能性を高めることができます。

近年の採択率を見ても、5割を超える回もあり、「ものづくり補助金」は公募回数が多く、採択される可能性が比較的高い補助金であると言えます。

業種別の採択傾向を見ても、やはり「ものづくり」という名称の影響もあり、製造業や建設業の採択率が高い傾向にあります。これは、これらの業種では機械設備との親和性が高く、生産性向上を数値化しやすいため、審査官にとっても事業の有効性を理解しやすいことが要因と考えられます。

一方で、情報通信業や卸売業、小売業、サービス業などは、新商品の開発や業務効率化がどのように生産性向上に結びつくのかを明確に示す必要があるため、審査が厳しくなる傾向があります。そのため、図表や具体的な数値データを活用し、審査官にとって分かりやすい申請書を作成することが不可欠です。

申請金額と採択率の関係

補助金の申請金額も、採択率に影響を与える重要な要素です。

  • 250万円以下の申請:採択率は2~3割と低め
  • 750万円~1,000万円の申請:採択率は約58%(6割近く)

この傾向からも、あまりに少額の設備投資では、企業の生産性向上(収益拡大)への貢献が不明確になるため、審査で不利になる可能性があります。

補助金の申請時には、3~5年間の事業計画に基づき、一定の生産性向上効果を維持できる規模の設備投資を計画することが重要です。そのため、採択率の高い申請方法を選択するためにも、事業計画の内容や投資計画の妥当性を十分に検討することが求められます。

まとめ

本記事では、「ものづくり補助金」の概要や申請要件、審査のポイントについて解説しました。

この補助金は、中小企業の生産性向上を目的としており、業種を問わず活用できる支援策です。特に、数値要件の達成や加点項目の活用が採択率を左右する重要なポイント であることがわかりました。

しかし、補助金申請には適切な事業計画の策定や、効果的な資料作成が必要 となり、企業の内部リソースだけで対応するのは難しいケースも多いでしょう。

そんな企業様の支援を行うのが HTファイナンス です。

HTファイナンスでは、企業の状況に応じた補助金申請のサポートや資金調達のアドバイス を行い、事業の成長を支援しています。30年以上の実績を活かし、最適な資金調達方法をご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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筆者 三坂大作
筆者 三坂大作
略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社
資格
貸金業務取扱主任者(第F231000801号)
経営革新等支援機関認定者
東京大学法学部を卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入社。
法人融資の専門家として、国内での金融業務に従事し、特にコーポレートファイナンス分野において豊富な経験を誇る。
同行に関して、表参道支店では法人融資を担当し、その後ニューヨーク支店にて非日系企業向けのコーポレートファイナンス業務に従事。
法人向け融資の分野における確かな卓越した知見を踏まえ、企業の成長戦略策定、戦略、資金調達支援において成果を上げてきました。
金融・経営戦略の専門家として、企業の持続的な成長を支える実務的なアドバイスを提供し続けています。
 
 
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