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アセットファイナンスとは?メリット・デメリットや資金調達で利用する際の流れを徹底解説

自社がもつ価値ある資産を、資金調達の手段として活用する方法として、アセットファイナンスがあります。この方法をうまく利用することで、銀行融資以外のルートから短期間でまとまった資金を得ることが可能となり、経営の安定を目指すうえでの選択肢を広げることができます。

このように資産をいかした調達方法は、大規模投資や一時的な資金不足の対処にも力を発揮します。ここでは、アセットファイナンスとは何かを中心に、その種類やメリット、リスクへの対処法などを詳しく解説します。

アセットファイナンスとは何か

アセットファイナンスとは、企業が保有する資産をもとに、資金を確保する手段のことです。基本的には自社の不動産、動産、売掛債権などを有効に活用し、金融機関や専門機関から融資を受ける、あるいは売却という形で現金化していきます。

一般的な銀行融資と異なり、貸借対照表上の負債を大きく増やさずに資金を確保しやすい点が特徴です。特に、通常のローン審査が厳しい企業や、資金繰りを早急に整えたい場合に有力な方法として活用されています。

アセットファイナンスの強み

企業が積み上げてきた資産は、資金調達の大きな裏付けになります。売掛債権や保有不動産などは、利用の仕方によっては高い資金力をもたらします。素早く資金化しやすい仕組みにより、経営の流動性を保てるのがアセットファイナンスの強みです。

従来、日本の中小企業では銀行からの借入に頼るケースが多く、審査過程や担保の問題などで資金確保が難しいこともありました。しかし、アセットファイナンスは企業独自の資産を活用するため、財務状況が厳しい時期でも融通が利く可能性があります。

対象となる資産

アセットファイナンスでは、不動産や動産のような有形資産だけでなく、特許権や売掛債権などの無形資産や将来の収益見込みまで、幅広い対象が検討されます。通常は換金性や評価額が安定しているものが好まれますが、ビジネスモデルや業界性によって有効な資産は異なります。

たとえば、製造業がもつ高額の機械設備、建設業の重機や工具類、IT関連企業の知的財産権などがよく例に挙げられます。担保設定できるか、売却自体が可能かなど、具体的なスキームは専門家との協議を通じて確立されます。

アセットファイナンスの代表的な種類

アセットファイナンスには、よく使われるいくつかの方法があります。各方法には特徴があり、企業の状況や担保にできる資産の内容によって、適切な選択肢が異なります。

動産を担保にする融資

動産担保融資では、機械設備や車両などの動産を担保にして資金を調達します。工場で使う製造ラインや重機など、規模の大きな設備を保有していると評価額が高くなり、融資額も多く設定できる可能性があります。

このように企業がもつ動産を担保にする際は、定期的なメンテナンスや動産の価値を保持するためのコストが重要です。査定の正確さを保つためにも、設備や車両の年式、状態、利用実績などをきちんと管理しておく必要があります。

不動産を担保にする融資

不動産担保融資は、不動産を抵当に入れて資金を借りる手法です。借地借家や建物の所有権などを担保化して、銀行やノンバンクから融資を受けられます。建物や土地の評価額が大きいほど調達額が大きくなりやすいですが、不動産価格の変動リスクにも注意が必要です。

多くの場合、不動産を担保にすると、低金利で長期的な返済計画を組めるメリットもあります。一方で、価値が下がったり流動性が低い物件だったりすると、審査が通りにくい場合があります。

正確には、動産や不動産、無形資産を担保として借入することは、アセットファイナンスではありません。所有権は、依然として会社に残っているので、貸借対照表上では資産計上されますし、調達した借入金は負債勘定に計上されなくてはいけません。アセットファイナンスは、負債を膨らませずに保有資産を現金化することですから、担保融資をアセットファイナンスに分類するのは誤りです。正確には、アセットバックドファイナンスというべきでしょう。

ファクタリング

ファクタリングは、企業が保有する売掛債権を専門の業者に買い取ってもらい、早期に資金化する方法です。取引先からの入金を待たずに現金を受け取れるため、キャッシュフローの改善に寄与します。特に、支払いサイトが長い業種や取引が増えて資金繰りのタイミングが難しくなっている場合に適しています。

売掛先の信用力が高ければ、より有利な条件で取引できるケースもあります。ただし、買取手数料が発生するため、実際に得られる金額は売掛債権の面価より少なくなる点に注意が必要です。

アセットファイナンスのメリット

アセットファイナンスを活用することで得られるメリットは、多岐にわたります。ここでは、代表的な利点を確認していきましょう。

負債を大きく増やさずに済む

通常の銀行融資を受けると、バランスシート上の負債として計上されるため、経営指標に影響が出ることがあります。一方、アセットファイナンスは資産の実質的な有効活用に近いため、大規模な借入金を新たに負わなくてもよい手段となるケースが多くあります。

とりわけリースバックやファクタリングなどでは、資産を売却して現金を得る形になり、企業によっては負債計上が大幅に軽減される可能性があります。経営の柔軟性を高めるうえで非常に有用です。

資金が必要なときにすぐ対応できる

急な受注増や不意の出費で、資金繰りに困るケースは少なくありません。アセットファイナンスは、資産を評価してもらい、その評価額に応じて早めに融資や買い取りを進められるため、銀行融資よりも審査が短期間で済むことがあります。

特に動産担保融資やファクタリングでは、書類準備や査定期間が比較的スピーディーに進むため、突発的な資金ニーズに対応しやすくなります。通常のローン手続きを待っていられない場合の緊急措置としても重宝されます。

審査基準が柔軟

アセットファイナンスの審査では、企業の資産及びその価値が重視されます。売掛先の信用度や不動産の所在地など、担保資産の内容が期待値を左右する傾向があるため、過去の財務指標だけでは判断されないのが特徴です。

債務超過や一時的な赤字など、財政状況が思わしくない局面でも、資産評価さえ高ければ融資を受けられるケースがあります。そのため、信用力が限られる中小企業やスタートアップにとっては、資金調達の選択肢を広げる方法として有効だと考えられています。

アセットファイナンスのデメリット

メリットが多い一方で、アセットファイナンスにはデメリットも存在します。

担保資産を失う可能性がある

融資や売却を行う以上、返済の目処が立たなくなった場合に、担保資産を失う可能性があります。不動産担保融資なら物件を手放すことになりかねませんし、ファクタリングなら売掛債権を譲渡するため、取引先からの入金が自社に入らなくなる場合もあります。

リースバックを利用しているケースでは、売却した資産を使用し続けられるメリットがある反面、契約条件によっては早期に返済を迫られるリスクを考える必要があります。最悪の場合、事業資産の喪失が経営の継続を困難にする恐れもあるでしょう。

高い手数料や利息への注意が必要

アセットファイナンスには、通常の銀行融資以上に、手数料や利息が高めに設定されることがあります。ファクタリングなら買取手数料、不動産担保融資や動産担保融資なら金利や契約費用が負担になる場合もあります。

一時的には資金調達がらくになる反面、長期的な費用負担を見落とすと、経営全体のコストが増大してしまう危険性があります。資金がショートするのを避けるためにも、返済や買戻しの計画を綿密に立てておくことが大切です。

アセットファイナンスに向いている事業者

アセットファイナンスは、企業の規模や業種によって向き不向きが出てきます。以下では、どのような事業者が活用しやすいかの目安をみていきましょう。

資産価値が高い企業

まず、保有する不動産や動産の評価額が高い企業ほど、アセットファイナンスの恩恵を受けやすいでしょう。例えば、工場設備の価値が大きい製造業や、広大な土地をもつ農業法人などは、金額的にも大きな融資を引き出せる可能性があります。

評価額が大きいほど審査でも有利に働き、より低い金利や好条件を勝ち取りやすくなるのが一般的です。資金繰りの安定化を図るためにも、資産の現状把握と定期的な価値の見直しが重要になります。

突然の大口支払いに対応するケース

取引先への支払いなどで、突然まとまった資金が必要になる場合、銀行融資での審査を待っている時間が確保できないことがあります。アセットファイナンスであれば、担保となる資産の査定が早期に完了しやすく、必要な資金をスピーディーに手に入れられます。

特に建設業や派遣業など、受注や請負が急増しやすい業界で活発に利用されています。売掛債権をファクタリングして人件費や原材料費に充当したり、重機を担保にしたりして運転資金を確保するなど、そのときの状況に応じて使い分けられています。

新興企業や中小企業

設立間もなく、銀行融資の実績が少ない企業でも、アセットファイナンスは利用できるケースがあります。売上高や過去の決算内容が十分でなくても、見込みのある売掛債権や特許権などを保有していれば、その価値を評価してもらえる可能性があるためです。

また中小企業は、季節変動などでキャッシュフローが不安定になりやすい側面があります。こうした状況下で、一時的にアセットファイナンスを利用することで、時期による売上の谷を乗り切る手段としても注目されています。

アセットファイナンスの注意点

資金調達の魅力がある一方で、アセットファイナンスを利用するときには、慎重な計画を立てることが不可欠です。

資産価値の変動リスク

担保となる不動産や動産の評価は、市況や経年劣化によって変動します。景気後退や地域の地価下落などに伴い、担保価値が下がって融資額が減少する恐れもあります。

ファクタリングの場合でも、取引先の信用度が落ちれば、買い取り条件が悪化する可能性があります。流動的な市場価格に左右される点は、事前に頭に入れておくべきポイントです。

以下のような変動要因があります。

  • 不動産市況の下落や建物老朽化
  • 動産の経済価値低下(機器の陳腐化など)
  • 取引先の経営難による信用格付け下降

将来への影響を考慮しなければならない

アセットファイナンスにより、短期的な資金確保は容易になるかもしれません。しかし、企業が保有資産を使ってしまうことは、将来の投資余力や信用度に影響を及ぼす場合があります。

たとえば不動産担保融資では、担保に入れた不動産を別の用途で使いたいときに、自由度が下がることがあります。ファクタリングでも、売掛金を継続的に売却し続けると、財務体質の悪化を疑われるリスクがあるでしょう。

リスク管理の徹底

アセットファイナンスを使用する際は、返済シミュレーションを十分行い、満期時や途中解約のリスクも織り込みましょう。金利が変動する契約の場合、景気状況に合わせて返済額が増加する恐れも考えられます。

最初の契約時には有利と思われた条件でも、後から市況が変化して負担が大きくなることがあります。早い段階で専門家を交え、経営の安定性を確保できるような計画を立てておくと安心です。

アセットファイナンスの活用事例

実際の企業が、どのようにアセットファイナンスを利用しているかを知ることで、自社の資金調達に活かすヒントが得られます。

不動産を使ったポートフォリオ改善

土地やオフィスビルを担保に入れ、資金を調達して新たな事業投資に回すケースがあります。特に、都心等の評価が高い物件を保有する企業は、大型の資金を動かしやすいため、有利子負債を増やさずに事業拡大を狙えるでしょう。

また、郊外の余剰地を敢えて売却し、中心部のオフィス購入や別の投資に回すことで、経営効率の向上に貢献する事例も報告されています。固定資産を流動化することで、資金の使い道に柔軟性をもたせる戦略がとられています。

売掛債権を活用したキャッシュフロー改善

取引先の支払いサイトが長く、手元資金が不足しがちな卸売業などでは、ファクタリングを積極的に取り入れる動きがあります。ファクタリング業者が買い取る際の手数料は発生しますが、取引先からの入金を待たずに資金を確保できるメリットは大きいものです。

さらに、売掛先の信用度が高い場合は、高額の債権でも割安な手数料で取引できることがあり、収益性を維持しながら資金繰りを効率化する好事例となっています。業界特有の支払い周期に合わせて、プランを立てやすいのも魅力です。

知的財産を活用した新興企業の成長加速

ITやバイオ関連のスタートアップでは、開発したソフトウェアや特許を資金化するケースも増えています。自社独自の技術や権利に価値があると判断されれば、外部からの出資を受けるだけでなく、知的財産を担保に融資を得ることも可能になるでしょう。

これにより、研究開発や市場拡大のための活動資金を短期間で集められるメリットがあります。ただし、知的財産の評価は専門性が高いため、事前に第三者機関の評価や、弁護士・弁理士などの専門家の助言が欠かせません。

資金調達でアセットファイナンスを利用するときの流れ

実際に、アセットファイナンスを導入する際の流れをみてみましょう。それぞれの段階で必要となる書類や審査内容が異なるので、事前にスケジュールを十分に把握することが大切です。

一般的な手順

以下の表は、アセットファイナンス利用時の流れと、主な内容をまとめたものです。

手順 内容
1: 資産の洗い出し 担保にできる不動産、機械設備、売掛債権等をリストアップ
2: 査定依頼 金融機関やファクタリング業者などに評価や見積を依頼
3: 契約交渉 融資額や期間、手数料、金利など具体的な条件を協議
4: 実行 契約締結後、資金を受け取り、担保設定や資産売却手続きを行う

手続きの期間は、案件の内容や資産の種類によって異なりますが、比較的迅速に進むことが多いでしょう。単純な動産担保融資やファクタリングであれば、最短で一週間以内に資金調達が完了するケースもあります。

必要書類や事前準備

企業情報を示す決算報告書や納税証明書、対象となる資産の所有証明や鑑定書などが必要となります。加えて、ファクタリングの場合は売掛先との契約書や請求書が求められる場合が多くあります。

特に、不動産担保融資では、土地の登記簿謄本や建物の図面なども重要書類となります。契約がスムーズに運ぶよう、あらかじめ必要書類を整備しておくとよいでしょう。専門家のアドバイスを活用して効率的に進めることがおすすめです。

契約後の管理

リースバックや動産担保融資の場合は、使用する機器や車両のメンテナンスを怠ると資産価値が下がり、追加担保を求められるリスクがあります。不動産担保なら、固定資産税の支払いを含む諸費用も考慮しておく必要があります。

ファクタリング契約後は、売掛債権の支払期日や取引先との関係維持に注意し、未回収リスクを最小化するようメンテナンスが必要です。契約後の運用を適切に行うことが、企業の財務体質を強化しつつ、外部からの信用度を高めるカギといえるでしょう。

まとめ

アセットファイナンスは、自社の資産を活かして、多様な資金調達を可能にする手段です。活用次第で経営の安定と投資拡大の両立が見込める一方、注意すべきリスクや費用負担もあります。

事前に十分な調査とシミュレーションを行い、自社に合った形で取り入れることが重要です。専門家や金融機関のアドバイスを受けつつ、自社資産を適切に運用していきましょう。

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監修者 三坂大作
監修者紹介
ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役
三坂 大作(ミサカ ダイサク)

経歴
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1989年 同行ニューヨーク支店勤務
1992年 三菱銀行退社、資金調達の専門家として独立
資格・認定
経営革新等支援機関:認定支援機関ID:1078130011
ヒューマントラスト株式会社:資格者 三坂大作
貸金業登録番号:東京都知事(1)第31997号
ヒューマントラスト株式会社:事業名 HTファイナンス
貸金業務取扱主任者:資格者 三坂大作
資金調達の専門家として企業の成長を支援
資金調達の専門家として長年にわたり企業の成長をサポートしてきました。東京大学法学部を卒業後、三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、国内業務を経験した後、1989年にニューヨーク支店へ赴任し、国際金融業務に従事。これまで培ってきた金融知識とグローバルな視点を活かし、経営者の力になることを使命として1992年に独立。以来、資金調達や財務戦略のプロフェッショナルとして、多くの企業の財務基盤強化を支援しています。 現在は、ヒューマントラスト株式会社の統括責任者・取締役として、企業の資金調達、ファイナンス事業、個人事業主向けファクタリング、経営コンサルティングなど、多岐にわたる事業を展開。特に、経営革新等支援機関(認定支援機関ID:1078130011)として、企業の持続的成長を実現するための財務戦略策定や資金調達のアドバイスを提供しています。また、東京都知事からの貸金業登録(登録番号:東京都知事(1)第31997号)を受け、適正な金融サービスの提供にも力を注いでいます。
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