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会社設立の際の登記費用はいくら?種類や仕訳の方法、株式会社、合同会社でかかる費用の違いも解説

会社を設立しようと考えたとき、まず気になるのが「どれくらいの費用がかかるのか」という点ではないでしょうか。特に登記費用は、会社設立において大きな割合を占める支出となります。

会社設立には、法人の種類や資本金額によって、費用が大きく変わります。株式会社と合同会社では必要な手続きが異なり、それに伴って発生する費用にも差があります。また、定款の作成方法によっても節約できる部分があります。

この記事では、会社設立時の登記費用の具体的な金額や内訳、株式会社と合同会社の費用比較、経理処理の方法まで詳しく解説します。これから会社設立を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

会社設立における登記費用

会社設立時には、さまざまな費用が発生しますが、その中でも登記費用は大きな比重を占めています。

登記費用とは、法務局に会社の設立を申請する際に必要となる費用のことです。具体的には、登録免許税や定款認証費用などが含まれます。

会社形態によって必要な手続きや費用が異なるため、事前に全体像を把握しておくことが重要です。特に株式会社と合同会社では、設立に必要な費用に大きな差があります。

登記費用に含まれる項目

会社設立の登記費用には、主に以下のような項目が含まれます。

まず「登録免許税」は、会社の設立登記を行う際に国に納める税金です。この金額は、会社形態や資本金額によって変動します。

次に「定款認証費用」は、公証役場で定款の認証を受ける際に発生する費用です。これは株式会社の設立時には必須ですが、合同会社では不要となります。

さらに「印紙税」は、紙の定款を作成する場合に必要となる税金です。よって、電子定款を利用する場合は不要となり、大きくコストを抑えることができます。

登記費用が変動する要因

登記費用が変動する主な要因として、以下の3点が挙げられます。

1つ目は、「会社形態」です。株式会社と合同会社では必要な手続きが異なるため、費用にも差が生じます。株式会社は合同会社に比べて手続きが複雑で、設立コストが高くなる傾向にあります。

2つ目は、「資本金額」です。登録免許税は資本金額に連動して計算される部分があるため、資本金が多いほど登記費用も高くなります。

3つ目は、「定款の作成方法」です。紙の定款を作成する場合は印紙税が必要ですが、電子定款を利用すれば印紙税が不要となり、コスト削減が可能です。

株式会社の登記費用の内訳

株式会社を設立する際には、いくつかの必須費用が発生します。その内訳と具体的な金額をみていきましょう。

公証役場での定款認証にかかる費用

株式会社の設立では、公証役場での定款認証が必須となります。この手続きには、主に2種類の費用が発生します。

まず「定款認証手数料」は、公証人に支払う手数料で、資本金額によって変動します。一般的には1万5,000円〜5万円程度です。資本金が高額になるほど、認証手数料も高くなる傾向があります。

次に「定款印紙代」は、紙の定款を作成する場合に必要な税金で、4万円かかります。ただし、電子定款を利用することで不要となり、大きくコストダウンできます。電子定款とは、電子データで作成し電子署名を付した定款のことで、公証役場でもこの形式での申請が可能です。

法務局での設立登記にかかる費用

公証役場での手続きが終わった後は、法務局で設立登記を行います。この際に必要となるのが、「登録免許税」です。

株式会社の場合、登録免許税は「資本金の0.7%」または「15万円」のいずれか高い方が適用されます。つまり、資本金が約2,142万円を超えると、0.7%の計算式が適用され、15万円以上の登録免許税が必要となります。

例えば、資本金1,000万円の株式会社を設立する場合、登録免許税は15万円となります。一方、資本金3,000万円の場合は、3,000万円×0.7%=21万円が登録免許税となります。

株式会社設立にかかる費用の目安

以上の費用を合計すると、株式会社設立にかかる登記費用は以下のようになります。

費用項目 金額 備考
定款認証手数料 約1万5,000円〜5万円 資本金額により変動
定款印紙代 4万円 電子定款なら不要
登録免許税 最低15万円 または資本金×0.7%の高い方

電子定款を利用した場合の最低費用は、定款認証手数料(約5万円)+登録免許税(15万円)=約20万円となります。紙の定款を利用すると、さらに4万円が追加され、合計約24万円が必要となります。

なお、これらの費用に加えて、司法書士などの専門家に依頼する場合は、別途報酬が発生します。一般的に、司法書士への報酬は5〜10万円程度ですが、内容や地域によって異なります。

合同会社の登記費用の内訳

合同会社は、株式会社に比べて設立手続きがシンプルで、費用も抑えられることが大きな特徴です。

定款認証が不要

合同会社の設立費用は、株式会社と比較して大幅にコストダウンできます。その最大の理由は、公証人による定款認証が不要な点です。

合同会社の場合、定款を作成したら、直接法務局で登記申請を行うことができます。そのため、公証役場での定款認証手数料(1万5,000円〜5万円)が不要となります。これにより、低コストでの会社設立が可能になっています。

また、合同会社でも電子定款を利用すれば、定款印紙代4万円を節約できます。電子定款の作成方法は、株式会社の場合と同様で、専用のソフトウェアを使用して電子署名を付けるだけです。

法務局での登録免許税

合同会社の設立時に法務局に支払う登録免許税も、株式会社よりも低く設定されています。

合同会社の場合、登録免許税は「資本金の0.7%」または「6万円」のいずれか高い方が適用されます。つまり、資本金が約857万円を超えると、0.7%の計算式が適用され、6万円以上の登録免許税が必要となります。

例えば、資本金500万円の合同会社を設立する場合、登録免許税は6万円となります。一方、資本金1,000万円の場合は、1,000万円×0.7%=7万円が登録免許税となります。

株式会社の最低登録免許税が15万円であるのに対し、合同会社は6万円と大幅に低減されていることがわかります。

合同会社設立にかかる費用の目安

以上の費用を合計すると、合同会社設立にかかる登記費用は以下のようになります。

費用項目 金額 備考
定款認証手数料 0円 不要
定款印紙代 4万円 電子定款なら不要
登録免許税 最低6万円 または資本金×0.7%の高い方

電子定款を利用した場合の最低費用は、登録免許税(6万円)のみで、約6万円となります。紙の定款を利用すると、定款印紙代4万円が追加され、合計約10万円が必要となります。

株式会社の最低設立費用が約20万円であることを考えると、合同会社は約6万円で設立可能なため、初期コストを約14万円削減できることになります。これは特に、創業初期の資金が限られているスタートアップにとって、大きなメリットといえるでしょう。

株式会社と合同会社の登記費用の比較

株式会社と合同会社は、日本で最も一般的な会社形態ですが、設立費用や手続きには大きな違いがあります。それぞれの特徴と費用を比較してみましょう。

費用面での比較

株式会社と合同会社の設立費用における最大の違いは、「定款認証の要否」と「登録免許税の金額」です。

まず、定款認証については、株式会社では公証役場での認証が必須であり、約5万円(資本金による)の費用が発生します。一方、合同会社では定款認証が不要のため、この費用を完全に節約できます。

次に登録免許税ですが、株式会社は最低15万円(または資本金の0.7%の高い方)に対し、合同会社は最低6万円(または資本金の0.7%の高い方)となっています。この差額だけでも、9万円のコスト差が生じることになります。

総費用の比較

株式会社と合同会社の設立にかかる費用を項目別に比較すると、以下のようになります。

費用項目 株式会社 合同会社
登録免許税 最低15万円 最低6万円
定款認証 約5万円(資本金による) 不要
印紙代(紙定款) 4万円(電子定款なら不要) 4万円(電子定款なら不要)
合計(電子定款) 約20万円~ 約6万円~
合計(紙定款) 約24万円~ 約10万円~

電子定款を利用した場合、株式会社の設立には最低約20万円、合同会社の設立には最低約6万円が必要となります。その差額は、約14万円にもなります。

資金が限られている創業初期の段階では、この費用差は非常に大きいといえるでしょう。合同会社は、設立費用を抑えたい起業家にとって、魅力的な選択肢となっています。

会社形態の判断基準

会社形態を選ぶ際は、単に設立費用だけでなく、事業内容や将来のビジョンも考慮して判断することが重要です。

株式会社は、社会的信用度が高く、株式発行による資金調達が可能である点が大きなメリットです。将来的に上場や事業拡大を目指す場合、銀行融資を受けやすい点でも優位性があります。

一方、合同会社は設立費用が安く、経営の自由度が高いことがメリットです。少人数での経営や、専門性の高いサービス業、コンサルティング業などに適しています。また、設立後に株式会社への組織変更も可能なため、まずは低コストで合同会社を設立し、事業が軌道に乗った段階で株式会社に変更するという戦略も考えられます。

経営の安定性、社会的信用、資金調達の容易さ、税制上の違いなども含めて総合的に判断し、自社の事業計画に最適な会社形態を選ぶことが大切です。

登記費用の会計処理の方法

会社設立にかかった登記費用は、適切に経理処理することで、税務上のメリットを得ることができます。

創立費としての計上

会社設立にかかった登記費用は、一般的に「創立費」として計上します。創立費とは、会社の設立に直接必要な費用のことで、繰延資産の一種として取り扱われます。

創立費として計上できる主な費用は、以下の通りです。

  • 定款認証費用
  • 登録免許税
  • 司法書士などの専門家報酬
  • 設立登記に関連する諸費用

これらの費用は、支払った時点で以下のような仕訳を行います。

会社設立登記費用として現金150,000円を支払った場合は、以下のように仕訳します。

借方 金額 貸方 金額
創立費 150,000円 現金 150,000円

創立費は繰延資産として計上できるため、一度に経費処理するのではなく、複数年にわたって償却することが可能です。これにより、設立初年度の負担を減らし、利益を平準化する効果があります。

繰延資産としての処理と償却

創立費は繰延資産として計上した後、法人税法上は任意の期間(最長60ヶ月)で均等償却することができます。ただし、会社法上は原則として創立費を資産計上することはできないため、税務上の繰延資産として処理することになります。

例えば、創立費150,000円を60ヶ月(5年)で均等償却する場合、月々の償却額は2,500円となります。この場合、以下のような仕訳を毎月行います。

借方 金額 貸方 金額
創立費償却 2,500円 創立費 2,500円

この「創立費償却」は、損金(経費)として計上されるため、課税所得を減少させる効果があります。特に、設立初年度は収益が少ないことが多いため、複数年での償却が税務上有利な場合があります。

税務面のメリットを最大限生かす方法

創立費の処理において、税務上のメリットを最大限生かすには、いくつかのポイントがあります。

まず、創立費は最長60ヶ月(5年)で均等償却できますが、より短い期間での償却も可能です。会社の業績や利益状況に応じて、最適な償却期間を選択することが重要です。例えば、設立初年度から十分な利益が見込める場合は、短期間での償却も検討できます。

また、資本金1億円以下の中小企業であれば、創立費を支出した事業年度に一括償却(全額費用計上)することも認められています。このオプションを活用すれば、初年度の課税所得を抑えることができます。

さらに、消費税の処理にも注意が必要です。登録免許税は不課税取引であるため、消費税の計算には影響しません。一方、司法書士報酬などは課税取引となりますので、消費税の計算に含める必要があります。

税務処理は複雑なため、専門家への相談を検討することも重要です。特に会社設立初期は、適切な税務戦略を立てることで、将来的な税負担を軽減できる可能性があります。

会社設立費用を節約するためのポイント

会社設立には一定の費用がかかりますが、いくつかの工夫で費用を抑えることが可能です。

電子定款の活用

会社設立費用を節約する最も効果的な方法の一つが、電子定款の活用です。

従来の紙の定款を作成する場合、4万円の印紙税が必要ですが、電子定款ではこの印紙税が完全に不要となります。つまり、電子定款を利用するだけで4万円の節約が可能です。

電子定款を作成するには、以下の手順が必要です。

  1. 定款の内容をワードやエクセルなどで作成
  2. 電子証明書を取得(法務省の認定認証事業者から取得可能)
  3. PDFなど電子文書形式に変換
  4. 電子署名ソフトを使用して署名
  5. CD-RやUSBメモリなどの電子媒体に保存

電子証明書の取得には3,000円〜5,000円程度かかりますが、それでも印紙税4万円と比較すれば大幅な節約になります。また、一度取得した電子証明書は、有効期間内(通常1〜3年)であれば他の手続きにも使用できます。

合同会社の選択

会社設立費用を大幅に節約したい場合、合同会社の形態を選択するのも一つの方法です。

先に説明したように、合同会社は株式会社と比較して設立費用が大幅に抑えられます。定款認証が不要で約5万円の節約、さらに登録免許税も株式会社の15万円に対して合同会社は6万円と、合計で約14万円ものコスト削減が可能です。

合同会社は、設立後の運営面でもメリットがあります。株主総会が不要で意思決定がスピーディに行えることや、出資者(社員)全員が経営に参加できる柔軟な組織構造などが特徴です。

また、設立後に事業が成長し、社会的信用や資金調達の観点から株式会社への組織変更が必要になった場合でも、法的手続きによって株式会社へ変更することが可能です。

自分で手続きを行う

会社設立の手続きを自分で行うことで、専門家への報酬を節約することも可能です。

一般的に司法書士に設立登記を依頼すると、5〜10万円程度の報酬が発生します。これを自分で行えば、その分のコストを削減できます。

会社設立の手続きを自分で行う場合の基本的な流れは、以下の通りです。

  1. 定款の作成(電子定款がおすすめ)
  2. 公証役場での定款認証(株式会社の場合)
  3. 資本金の払い込み
  4. 設立登記申請書類の作成
  5. 法務局への登記申請

法務省のウェブサイトには、登記申請に必要な書類のひな形や記入例が掲載されているため、それらを参考にすることができます。また、オンラインでの申請も可能になっており、法務局に直接出向く手間も省けます。

ただし、初めて設立手続きを行う場合は、書類の不備などで再申請が必要になるリスクもあります。時間的余裕をもって進めることや、不明点は法務局に事前に確認することをおすすめします。

まとめ

本記事では、会社設立における登記費用について、詳しく解説してきました。株式会社の設立には最低約20万円(電子定款利用時)、合同会社の設立には最低約6万円(電子定款利用時)の登記費用が必要となります。

会社設立の費用を抑えるポイントとしては、電子定款の活用による印紙税の節約や、合同会社形態の選択による定款認証費用や登録免許税の削減が効果的です。また、会社設立費用は「創立費」として計上し、最長60ヶ月で償却することで、税務上のメリットを得ることもできます。

会社設立を検討されている方は、この記事で解説した費用の内訳を参考に、ご自身の事業計画に合った会社形態を選択しましょう。必要に応じて、専門家へ相談することもおすすめします。

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