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PLとBSの違いは?見方の基本とビジネスに即効活用できるポイントをわかりやすく解説

経営者や財務担当者であれば、自社の決算書類に必ず目を通さなければなりません。特に、基本となる貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)は、会社の健全性や成長性を判断するツールで欠かせません。しかし、これらの資料の違いや読み方がわからず、経営判断に最大限活かしきれていない方は少なくありません。

この記事では、BSとPLの基本的な違いから、それぞれの見方、そして経営判断にすぐに活用できるポイントまで解説します。財務諸表を読み取ることで、より的確な経営判断ができるようになります。

BSとPLの基本的な違い

まずは、BSとPLの基本的な違いを理解しましょう。両者は企業の状態を示す重要な書類ですが、示す内容や性質が大きく異なります。

貸借対照表(BS)とは

貸借対照表(Balance Sheet)は、企業の財政状態を表す財務諸表です。これは、特定の時点(通常は決算日)における企業の資産、負債、純資産を示します。

BSは、「ストック情報」を表しています。つまり、ある時点での企業の財産や借金の状況がどうなっているかを示す「写真」のようなものです。例えるなら、銀行口座の残高を示す通帳のようなものといえるでしょう。

財政状態を一目で把握できるのが、BSの大きな特徴です。資産(企業がもっているもの)と、負債・純資産(それらをどのように調達したか)が等しくなるため、バランスシートと呼ばれています。

損益計算書(PL)とは

損益計算書(Profit and Loss Statement、Income Statement)は、企業の経営成績を表す財務諸表です。一定期間(通常は1年間)の売上高や費用、そこから算出される利益の情報が記載されています。

PLは「フロー情報」を表しています。つまり、一定期間の企業活動による収入と支出の流れを示す「映像」のようなものです。例えるなら、銀行口座の入出金明細のようなものといえるでしょう。

目を通すことで、収益性や効率性を評価できるのがPLの大きな特徴です。どれだけ売上を上げ、どれだけコストがかかり、最終的にどれだけの利益が残ったかを示します。

時間軸の違い

BSとPLの最も明確な違いは、時間軸にあります。BSは特定の一時点の状況を表すのに対し、PLは一定期間の活動結果を表します。

例えば、3月決算の企業の場合、3月31日時点での財政状態をBSで表し、4月1日から翌年3月31日までの1年間の経営活動の結果をPLで表します。

異なる時間軸で経営状況を補完的に把握することで、より立体的に企業の実態を理解することができます。

貸借対照表(BS)の見方

BSを理解するには、その構造と主な項目を知ることが重要です。適切な分析によって、企業の財務健全性や資金状況を把握できます。

BSの構成

BSは大きく「資産の部」と「負債・純資産の部」に分かれています。そして、常に以下の等式が成り立ちます。

資産の部 = 負債の部 + 純資産の部

この式は、企業がもっているすべての財産(資産)は、どこかから調達したもの(負債と純資産)であることを示しています。負債は返済義務のある他人資本、純資産は返済義務のない自己資本です。

バランスの取れた資金調達構造かどうかをみることで、企業の財務が安定しているかどうかを判断できます。

資産の部

資産の部は、流動資産と固定資産に大別されます。流動資産は、1年以内に現金化できる資産を指し、固定資産は1年以上の長期にわたって保有する資産を指します。

流動資産の主な項目:

  • 現金及び預金:すぐに使える資金
  • 売掛金:顧客からまだ回収していない売上代金
  • 棚卸資産:商品や原材料などの在庫

固定資産の主な項目:

  • 有形固定資産:土地、建物、機械設備など
  • 無形固定資産:特許権、商標権、ソフトウェアなど
  • 投資その他の資産:投資有価証券、長期貸付金など

流動資産と固定資産のバランスを確認することで、企業の資金流動性や設備投資状況を把握できます。

負債・純資産の部

負債の部も、流動負債と固定負債に分かれます。流動負債は1年以内に返済期限が到来する負債、固定負債は1年超の返済期限がある負債です。

流動負債の主な項目:

  • 買掛金:仕入先にまだ支払っていない代金
  • 短期借入金:1年以内に返済予定の借入金
  • 未払金・未払費用:すでに発生しているが未払いの経費

固定負債の主な項目:

  • 長期借入金:返済期限が1年超の借入金
  • 社債:社債発行による資金調達
  • 退職給付引当金:将来の退職金支払いに備えた引当金

純資産の主な項目:

  • 資本金:株主から出資された資金
  • 資本剰余金:株式発行時のプレミアム部分など
  • 利益剰余金:過去の利益の蓄積

負債と純資産の比率を分析することで、企業の資金調達の方針を決定したり、財務上のリスクを評価したりすることができます。

BSから計算される指標

BSからは、企業の財務状況を示す重要な指標を算出できます。主な指標には、以下のようなものがあります。

自己資本比率 = 純資産 ÷ 総資産 × 100(%)

この比率が高いほど、企業の財務基盤が安定しているとされます。一般的に40%以上あれば健全といわれることが多く、業種によって適正値は異なります。

流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100(%)

短期的な支払能力を示す指標で、一般的に100%以上、理想的には200%以上が望ましいとされています。

財務指標を業界平均と比較することで、自社の財務状況が相対的な位置づけを把握できます。

損益計算書(PL)の見方

PLは、企業の収益力を示す財務諸表です。売上から各種費用を差し引いて利益を算出する構造になっており、企業の収益性や効率性を評価する資料となります。

PLの構成

PLは売上高から始まり、段階的に費用を差し引いていくという構成になっています。各段階で異なる種類の利益が計算され、最終的に当期純利益に至ります。

以下のように、費用が差し引かれます。

  • 売上高 – 売上原価 = 売上総利益(粗利)
  • 売上総利益 – 販売費及び一般管理費 = 営業利益
  • 営業利益 + 営業外収益 – 営業外費用 = 経常利益
  • 経常利益 + 特別利益 – 特別損失 – 法人税等 = 当期純利益

各段階の利益の数値から、企業のどの部分に強みや改善点があるかを特定できます。

各利益段階の意味

PLには複数の利益段階があり、それぞれが異なる観点から企業の収益性を示しています。

売上総利益(粗利)は、商品やサービスの提供そのもので、どれだけの利益を上げているかを示します。これは、基本的な商品力や価格設定の適切さを評価する指標になります。

営業利益は、企業の本業での収益力を表します。販売活動や管理活動も含めた、事業活動全体での収益性を示す重要な指標です。

経常利益は、企業の通常の経営活動による利益を表します。本業以外の金融活動なども含めた総合的な収益力を示します。

当期純利益は、最終的な利益の額を示します。これは、税金や特別な損益も考慮した上での、株主に帰属する利益です。

各利益段階の比較分析により、企業の収益構造の特徴や課題を把握できます。

PLから計算される指標

PLからも、企業の収益性を示す重要な指標を算出できます。主な指標には、以下のようなものがあります。

売上総利益率(粗利率) = 売上総利益 ÷ 売上高 × 100(%)

商品やサービスそのものの収益性を示す指標です。この数値が高いほど、付加価値の高い商品を提供できているといえます。

営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100(%)

本業での収益性を示す重要な指標です。企業の競争力や、経営効率を評価する際の基本となります。

経常利益率 = 経常利益 ÷ 売上高 × 100(%)

企業全体の収益力を示す指標です。営業外の金融活動も含めた、総合的な収益性を評価できます。

過去の推移や競合との比較を行うことで、自社の収益構造の強みや課題を特定できます。

PLにおける費用の内訳

PLに記載されている費用の内訳を分析することで、コスト構造を理解し、改善点をみつけることができます。

売上原価は、商品やサービスを提供するために直接かかるコストです。製造業であれば原材料費や製造労務費、小売業であれば商品の仕入原価などが含まれます。

販売費及び一般管理費(販管費)は、営業活動や会社運営に関わる費用です。人件費、広告宣伝費、家賃、水道光熱費などが含まれます。

営業外費用は、本業以外での費用で、主に金融費用(支払利息など)が含まれます。借入金が多い企業ほど、この費用が大きくなる傾向があります。

費用の内訳を詳細に分析することで、無駄なコストや改善できる領域を特定し、利益率の向上につなげることができます。

BSとPLを組み合わせた分析

財務分析を行う際は、BSとPLを個別でみることは少なく、両者を合わせてみることがほとんどです。

BSとPLの関連

BSとPLは別々の財務諸表ですが、密接につながっています。PLで計算された当期純利益は、BSの純資産の部にある利益剰余金に組み入れられます。

例えば、ある年度に1,000万円の当期純利益を上げた場合、その年度末のBSでは、前年度末と比較して利益剰余金が1,000万円増加します(配当などがなければ)。

また、PLで計上される減価償却費は、BSの固定資産の減少と対応しています。減価償却費はキャッシュアウトを伴わない費用ですが、資産の価値減少を表します。

両財務諸表の関連性を理解することで、企業活動の全体像を立体的に把握できます。

財務三表

実際の財務分析では、BSとPLに加えて、キャッシュフロー計算書(CF)を含めた「財務三表」を総合的に分析することが一般的です。

PLは収益性を、BSは財政状態を、CFは資金の流れを示します。例えば、PLでは利益を計上していても、BSの売掛金が増加し、CFでは資金が減少しているケースもあります。

また、PLで高い利益を上げていても、BSの負債が過大であれば財務リスクが高いと判断されます。逆に、BSは健全でもPLの利益率が低ければ、将来的な成長に懸念が生じます。

三表を総合的に分析することで、表面的な数字だけではみえない企業の真の姿が理解できます。

財務指標を用いた評価

BSとPLから算出される様々な財務指標を組み合わせることで、企業の総合的な評価が可能になります。代表的な総合指標として、ROA(総資産利益率)とROE(自己資本利益率)があります。

ROA = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100(%)

企業が保有する総資産を、どれだけ効率的に活用して利益を生み出しているかを示す指標です。これは、PL(当期純利益)とBS(総資産)を組み合わせた分析です。

ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)

株主から預かった資本を、どれだけ効率的に運用して利益を上げているかを示す指標です。これも、PL(当期純利益)とBS(自己資本)を組み合わせた分析です。

複合的な財務指標を活用することで、企業の収益性と安全性を総合的に評価できます。

BSとPLのビジネスへの活用

経営者は、財務諸表を分析した後、その内容をビジネスの判断に生かしていくことが求められます。

資金繰り改善への活用

資金繰りは企業経営の生命線です。BSとPLを組み合わせて分析することで、効果的な資金繰りの改善方法を見出すことができます。

BSの流動資産と流動負債のバランスから、短期的な支払能力を評価できます。流動比率が低い場合は、売掛金の回収促進や在庫の削減などの対策が必要かもしれません。

PLからは、営業利益率や経常利益率を確認し、収益力自体の改善が必要かどうかを判断できます。利益率が低い場合は、価格の見直しやコスト削減が課題となります。

回転率指標の活用も重要です。売上債権回転率(売上高÷売掛金)や棚卸資産回転率(売上原価÷棚卸資産)が低い場合、資金が売掛金や在庫にとどまっていることを意味し、改善の余地があります。

事業拡大・投資判断への活用

新規事業への参入や設備投資などの大きな意思決定をする際も、BSとPLの分析が役立ちます。

BSからは自己資本比率や固定比率(固定資産÷自己資本)を確認し、投資に耐えうる財務基盤があるかを判断できます。自己資本比率が低い状態での大規模投資は、財務リスクを高める可能性があります。

PLからは営業利益率の推移を確認し、本業の収益力が安定しているかを判断できます。収益力が低下傾向にある状況での大型投資は、慎重に検討すべきです。

投資回収期間を試算することも重要です。投資額とそれによって得られる追加的な利益(PLに反映される)を比較し、何年で投資が回収できるかを計算します。

資金調達時の活用

金融機関からの融資や投資家からの資金調達を行う際には、BSとPLの内容が重要な判断材料となります。

BSからは自己資本比率や負債比率を確認し、返済能力の基盤があるかを評価します。自己資本比率が高いほど、追加の負債を負担する余力があると判断されます。

PLからは営業利益や経常利益の安定性、成長性を確認し、返済原資を生み出す力があるかを評価します。特に、金利負担を示す「インタレスト・カバレッジ・レシオ」(営業利益÷支払利息)は、融資判断の重要指標です。

事業計画との整合性を示すことも重要です。過去のBS・PLから読みとれる実績と、将来の事業計画がどのように結びつくのかを説得力をもって説明できると、資金調達に成功できる可能性が高まります。

BSとPLからみる経営戦略

過去の結果をみるだけでなく、BSとPLの数字を基に、より効果的な経営戦略を立案する方法をみていきましょう。

事業ポートフォリオの最適化

複数の事業や商品をもつ企業では、BSとPLの事業別・商品別分析を行うことで、事業ポートフォリオの最適化を図ることができます。

各事業・商品ごとの売上高、売上総利益、営業利益などのPL項目と、それに投下されている資産(在庫、売掛金、固定資産など)のBS項目を整理します。これにより、ROA(投下資産利益率)などの指標で各事業の効率性を比較できます。

収益性が高く成長性もある事業には、積極的に経営資源を投入し、収益性も成長性も低い事業からは撤退を検討するといった判断が可能になります。また、収益性は低いが成長性が高い事業には、収益構造の改善を図りながら投資を継続するといった選択もできます。

事業別・商品別の財務分析を定期的に行うことで、経営資源の最適配分に関する意思決定の精度が高まります。

成長投資と配当のバランス

企業が生み出した利益をどのように配分するかは、重要な経営判断です。BSとPLの分析結果を基に、成長のための再投資と株主還元(配当)のバランスを検討できます。

PLで表示される当期純利益は、配当として株主に還元するか、内部留保として将来の投資に充てるかを選択できます。BSの純資産に含まれる利益剰余金の水準と、将来の投資計画を照らし合わせることで、適切な配当政策を決定できます。

例えば、高い成長が見込まれる市場環境にあり、PLが安定的に利益を計上している場合は、内部留保を厚くして成長投資に備えることが合理的かもしれません。一方、成熟した市場で安定的なキャッシュフローが見込める場合は、より高い配当を行うことで株主価値を高める選択もあります。

中長期的な資本政策を策定することで、一時的な業績の変動に左右されない、一貫性のある株主還元と投資戦略を実現できます。

まとめ

BSとPLは単なる会計書類ではなく、経営判断の土台となる重要な資料です。BSは企業の財政状態を示す「写真」であり、PLは一定期間の経営成績を表す「映像」です。両者を組み合わせることで、企業の過去の実績から現在の状況、そして将来の可能性まで、多くのことを読み取ることができます。

売上や利益だけでなく、資産・負債のバランスや各種財務指標を確認することで、表面的にはみえない経営上の課題を早期に発見し、対策を講じることができます。

財務諸表の読み方や分析方法に不安がある場合は、税理士や会計士などの専門家に相談することも有効です。BSとPLを効果的に活用し、経営判断に役立てていきましょう。

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監修者 三坂大作
監修者紹介
ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役
三坂 大作(ミサカ ダイサク)

経歴
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1989年 同行ニューヨーク支店勤務
1992年 三菱銀行退社、資金調達の専門家として独立
資格・認定
経営革新等支援機関:認定支援機関ID:1078130011
ヒューマントラスト株式会社:資格者 三坂大作
貸金業登録番号:東京都知事(1)第31997号
ヒューマントラスト株式会社:事業名 HTファイナンス
貸金業務取扱主任者:資格者 三坂大作
資金調達の専門家として企業の成長を支援
資金調達の専門家として長年にわたり企業の成長をサポートしてきました。東京大学法学部を卒業後、三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、国内業務を経験した後、1989年にニューヨーク支店へ赴任し、国際金融業務に従事。これまで培ってきた金融知識とグローバルな視点を活かし、経営者の力になることを使命として1992年に独立。以来、資金調達や財務戦略のプロフェッショナルとして、多くの企業の財務基盤強化を支援しています。 現在は、ヒューマントラスト株式会社の統括責任者・取締役として、企業の資金調達、ファイナンス事業、個人事業主向けファクタリング、経営コンサルティングなど、多岐にわたる事業を展開。特に、経営革新等支援機関(認定支援機関ID:1078130011)として、企業の持続的成長を実現するための財務戦略策定や資金調達のアドバイスを提供しています。また、東京都知事からの貸金業登録(登録番号:東京都知事(1)第31997号)を受け、適正な金融サービスの提供にも力を注いでいます。
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