2025.04.09
リースバックとは?メリット・デメリット、活用例とトラブル防止策を徹底解説
近年、自宅を手放さずに資金を確保する方法として注目されているのが、リースバック(セールスリースバック)です。居住や事業を続けながら、売却によるまとまった現金を得られるため、特に資金繰りに余裕をもちたい経営者や個人事業主にとって魅力的な選択肢となっています。
この記事では、リースバックとは何かを説明し、そのメリットやデメリット、具体的な活用例からトラブル防止策まで詳しく解説します。
自宅を売却するのは抵抗があるという方や、将来のリスクに備えて資金を手元に残しておきたい方にとって、リースバックは有力な手段です。仕組みを正しく理解し、注意点を把握しておくことで、利用後の後悔がないようにしましょう。
リースバックの基本
リースバックとは、自宅や事業用不動産を第三者に売却した後も、賃借人として引き続き同じ物件を利用し続けられる仕組みです。
リースバックとは
リースバックは、自分が所有している家や店舗を売却し、その買主と賃貸借契約を結ぶという流れで行われます。加えて、売却後も住み続けるという利点があるため、住環境への影響を抑えながら資金を確保できます。売却金額を資金として活用できる反面、所有権を手放す点には注意が必要です。
この仕組みでは、買主に物件の所有権が移ったあと、元の所有者は賃貸人として家賃を支払います。賃貸借契約を継続できる限り、住み慣れた場所から転居する必要はありません。ただし、契約条件によっては更新できないケースもあるため、契約内容のチェックが重要です。
現在、リースバックは高齢者の老後資金確保や、経営者が事業資金を素早く準備したいときなど、幅広い場面で活用されています。手続きの流れはシンプルですが、売却価格や賃料の設定など、多くのポイントを事前に検討しておくことが大切です。
リースバックの種類
リースバックには、仲介不動産会社が買主を探す形態と、不動産会社自体が直接買い取る形態があります。前者を仲介型と呼び、後者を直接買取型と呼ぶことが多いです。仲介型は、売却成立後に新たにオーナーとなる投資家などと賃貸借契約を結ぶ流れです。
一方で直接買取型の場合、不動産会社があらかじめ買主となるため、売却から賃貸借契約の成立までが一気通貫で行われます。この方式では、仲介手数料がかからない場合があり、売却手続きがスピーディーになる傾向があります。
どちらの方式でも、契約条件を十分に確認することが欠かせません。双方で売却価格や賃料に違いが出る可能性もあるため、複数の業者から見積もりや提案を受け、比較して判断しましょう。
ビジネスシーンにおける需要
法人や個人事業主がリースバックを利用する場合は、資金移動の迅速さが大きなメリットになります。例えば、急な設備投資が必要になったとき、銀行融資の審査を待つよりも早くまとまった金額を確保できるケースもあります。
また、自宅や事業用物件を手放さずに使い続けられるため、事業継続上もメリットがあります。特に店舗や事務所の場合は、所在地が変わると信用力低下や顧客との関係に影響が出ることもあるため、拠点を動かさず資金化できる点は見逃せません。
ただし、将来的に買い戻しを検討する場合、買戻し特約を盛り込むことや、その条件をしっかり協議しておく必要があります。事業計画とキャッシュフローが連動しているケースでは、買戻しのタイミングを見誤ると、高い費用負担が発生する可能性もあるため注意が必要です。
リースバックのメリット
リースバックには、既存の生活や事業の環境を変えずに資金を得られるなど、独特のメリットがいくつか存在します。
自宅に住み続けられる安心感
最大の魅力は、自宅を売却後もそのまま暮らし続けられる点にあります。引っ越しや慣れない土地での新生活が不要になるため、精神的な負担を軽減できます。特に、家族がいる場合や子どもの学校環境を変えたくないときなど、安心感は大きいでしょう。
高齢者であれば、周辺の病院やスーパーなど、生活に欠かせない施設が変わらないことがメリットとなります。さらに、地域コミュニティとのつながりを維持することも可能です。人生設計を大きく崩すリスクを抑えながら、資金を手にできる点が評価されています。
資金化のスピード
家や土地を売却して現金化する場合、通常は買主を探す期間やローン審査の手続きなどに時間がかかるものです。一方、リースバックを扱う業者では、即日の価格査定や短期間での契約成立が可能な場合もあります。
特に、直接買取型リースバックでは、不動産会社自身が買主となるため、仲介手数料が不要になる可能性があります。仲介手数料の支払いがないぶん、手元資金を減らさずに済むのも嬉しいポイントです。
このように、迅速な資金調達を実現する手段として、活用されるケースが増えています。事業拡大や設備投資などが急務の際、リースバックを選択することで、スピード感をもって手元のキャッシュを増やすことができるのです。
所有による費用負担の軽減
不動産を所有していると、固定資産税や維持管理費などを払い続ける負担があります。リースバックで物件の所有権を買主に移せば、これらの費用負担を大幅に減らすことが可能です。
また、建物の老朽化が進んだ場合の大規模修繕や、リフォーム費用といったリスクも低減できるという点も大きいでしょう。長期的にみると、資金繰りの不確定要素を減らし、経営や家計を安定させる効果が期待されます。
さらに、不動産価値下落のリスクを回避することにもつながります。将来的に地価が下がる地域にある物件の場合、早めに売却しておくことで損失を最小化できる可能性も考えられます。
リースバックのデメリット
魅力的な面が多いリースバックですが、注意しなければならないデメリットも存在します。
売却価格が低くなるかもしれない
リースバックで買主にとってのメリットは、物件取得後に賃料収入が見込める点です。しかし、物件を売却する側からすると、通常の不動産売却よりも安く買い叩かれるリスクがあります。投資用物件として安く買いたいという投資家が多いため、売却価格が市場相場より低くなるケースが珍しくありません。
もしも、所有している不動産の時価やローン残債との兼ね合いが大きい場合は、想定よりも少ない資金しか得られず、ローンを完済しきれない可能性もあります。契約前には、市場価格との乖離を確認することが大切です。
一括査定サイトなどを活用し、複数の業者から見積もりを取るのも一つの方法です。高く買い取ってくれる業者を探すことで、デメリットを最小限に抑えられるでしょう。
改修やリフォームの制限
売主が賃借人となるため、物件に関する改修やリフォームを自由に行うことが難しくなります。オーナーは、新たに買主となった人物や不動産会社であるため、勝手な内装変更や増築などを行うには許可を得なければいけません。
これまで自分の持ち家として自由に改装してきた場合、賃貸の立場になると規制に戸惑うことがあります。事前に修繕や改装のルールを確認することで、後々のトラブルを回避しましょう。
特に、居住年数や物件の状態によっては、小さな修繕が頻繁に発生する可能性も考えられます。その際、誰が修繕費用を負担するのか、どこまでが容認されるのか、契約書の条文をしっかり確認することが肝心です。
長く住めないリスク
リースバック契約を締結しても、将来的に賃貸借契約が終了してしまうリスクが、完全にゼロになるわけではありません。定期借家契約の場合は、契約期間終了後の更新が保証されないため、最終的に退去を迫られる可能性もあります。
また、買主側の経営状況や投資方針が変わり、物件を第三者に売却するケースも考えられます。その際に住み続けられるかどうかは、契約内容によって大きく異なるのです。
更新や再契約の可能性を事前に相談しておくことが必要になります。また、買い戻し特約を設定しておくと、一定期間内に再び物件を買い戻せる可能性がありますが、追加の支払額や手数料がかかることも知っておくべきでしょう。
リースバックの活用例
リースバックは、単に住居を売却して住み続けるだけでなく、多目的に活用することができます。
老後資金の確保
住み慣れた家を手放さずに、老後資金を確保したいというニーズは、近年増加傾向にあります。持ち家を売却してまとまった資金を得つつ、そのまま住み続けられれば生活環境を大きく変えずに安心した老後設計が可能です。
公的年金だけでは足りない医療費や介護費用、旅行などの余暇資金にも活用しやすい点が魅力です。地域に根付いた生活を維持しながら資金を得るため、高齢者夫婦や単身高齢者が注目しています。
ただし、契約期間や家賃設定が、将来の年金収入と合うかどうかはよく考慮しましょう。家賃が上がったり、契約の更新が不可になったりすると、想定外の出費や転居負担が生じる可能性があります。
住宅ローン返済への対応
住宅ローンの残債が重く、返済が厳しくなった場合にもリースバックが利用されます。売却によってローンを一括返済し、引き続き賃貸借契約で住み続けることで、その後の支払い負担を軽減できます。
特に、売却価格がローン残債を上回る場合は、自己資金を用意する必要がなくスムーズです。もしローンを返しきれずに差額が生じる場合も、資金計画を立てやすくなるメリットがあります。
結果として、住み慣れた環境を維持しながら負債を整理できるため、安心感を得やすいといえます。ただし、負債状況や物件の担保価値をしっかり確認し、対応可能な業者を探すことが重要です。
財産分与や相続のケース
離婚時の財産分与や、相続に際して不動産を現金化する必要がある場合にも、リースバックは使われます。不動産を共有名義でもつことが煩雑な場合、売却して資金を分割したほうがスムーズなケースがあるからです。
その際、本人または家族が住み慣れた家を引き続き使いたい場合に、リースバックが適しています。共有人同士のトラブルを回避でき、資金面でも話をまとめやすくなる利点があります。
手続き上は、相続や分与で生じる複雑な権利関係を整理するうえでも有効です。ただし、それぞれの相続税や贈与税の扱いなど、税制面に精通した専門家への相談が欠かせません。
リースバックでのトラブル防止策
リースバックを利用する際には、想定外のトラブルを回避するために、事前の対策が重要です。
価格と契約条件をしっかり把握する
リースバックでは、売却価格が相場より低く査定されることが多いため、複数の不動産会社から査定を受けることが望ましいものです。買い取り額が同じでも、家賃設定や買戻し特約の有無など、総合的な条件が異なる場合があります。
また、賃借契約の種類が普通借家なのか定期借家なのかによって、将来的に住み続けられる期間や更新条件も変わります。家賃や更新条件におけるリスクを正しく把握するためにも、重要事項説明書や契約書を入念に読み込むことが欠かせません。
さらに、売却時の諸費用や仲介手数料、引き渡し後の管理費用など、細かな費用が発生する可能性もあります。契約前に諸費用の総額をシミュレーションして、実際の手取り金額を明確にしておきましょう。
事前交渉と第三者確認
リースバック契約を結ぶ前に、不安な点や疑問点を徹底的に交渉し、契約条件を文書化しておくことが大切です。特に、買戻し特約や賃料の改定時期などは、口頭の約束だけでなく契約書に明記しておくことで、後のトラブルを防げます。
また、公正証書を利用したり弁護士や司法書士などの専門家に相談したりする手段も有効です。第三者の視点を入れてリスクを洗い出すことで、主観的な思い込みや不注意から起こりがちなミスを減らせます。
特に、高齢者や初めて不動産を売却する人は、業者からの提案をそのまま受け入れがちです。複数の比較検討と専門家の助言を得ることで、納得度の高い契約を目指しましょう。
リースバックに関するよくある質問
リースバックを検討する際、ローン残債の扱いや再び購入できるのかなど、さまざまな疑問が生まれます。ここでは、代表的な質問への回答をまとめます。
住宅ローンの残債があってもリースバックは利用できる?
利用できるケースが多いです。物件の売却価格がローン残債を上回れば、その資金を使ってローンを完済し、差額を自由に活用できます。ただし、売却価格が残債を下回る場合は、不足分を自己資金で補う必要があります。また、債権者の同意を得る手続きが必要になる場合もあるため、担保に入っている物件であれば、銀行などの金融機関へ早めに相談しておきましょう。
さらに、任意売却との違いや、売却時に生じる利益(譲渡所得)、または損失(譲渡損失)にかかる税金なども考慮する必要があります。知識を得ておくことで、スムーズに進められるでしょう。
買戻し特約とは何か?
買戻し特約とは、一定期間内であれば、元の所有者が物件を優先的に買い戻せる取り決めのことです。契約書に明記しておくことで、経済状況が回復した際に再び不動産を手に入れる選択肢を確保できます。ただし、買戻しに関する具体的な費用と手順を契約前に確認しておかないと、いざ買い戻す段階で高額な費用が必要になり、結果的に実行できないこともあります。
また、買戻し特約を法的に担保するには、登記手続きをしておくことが望ましくあります。第三者に物件が売却されてしまうと、特約が機能しなくなる場合もあるため、契約締結の際は条件を慎重に確認してください。
事業資金としてリースバックを活用することは可能?
可能です。大企業でも自社所有の社屋や工場などの不動産をリースバックする例がある通り、経営者や個人事業主の方が、自宅や事業用物件をリースバックすることで、事業資金を得るケースは珍しくありません。通常の融資が難しい状況でも、不動産の売却によって、比較的まとまった資金を確保しやすいという利点があります。
ただし、家賃という新たな固定費が発生するため、収支計画を再度見直す必要があります。将来的に再び不動産を所有したい場合は、買戻し特約の有無や契約更新の条件などをあらかじめ確認しておくとよいでしょう。リースバックは融資とは異なり、売却によって所有権が移る点も踏まえて判断することが重要です。
まとめ
リースバックとは、自宅や事業用物件を売却しても、そのまま使い続けられるという独特の仕組みであり、資金調達手段として有効な選択肢です。メリットとデメリットを正しく理解し、活用事例やトラブルの回避方法を念頭に置けば、より安心して利用できるでしょう。
最終的には、売却価格や賃料、更新の可否などを総合的に判断し、条件を比較することが大切です。興味をもった方は、専門家への相談と複数の見積もり取得なども利用しつつ、納得のいくリースバックを検討してみてください。
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