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経営者・従業員が会社からお金を借りることは可能?役員貸付金と従業員貸付制度を分かりやすく解説

会社からお金を借りると聞くと、あまり一般的ではないイメージを抱くかもしれません。実際には、従業員貸付制度などを活用すれば、正社員を中心に社内規定の範囲で資金を用立てられるケースがあります。さらに、役員の場合は、役員貸付金という形で会社からお金を工面できる可能性があります。

ただし、従業員貸付制度や役員貸付金には、利用条件だけでなく税務面での評価や融資時の評価に関して、さまざまな注意点が存在します。

本記事では、経営者や従業員がどのように会社から資金を借りられるのか、それに伴うメリットやデメリット、具体的な利用手順やリスクを詳しく解説します。

会社からお金を借りる仕組み

会社からお金を借りる際、従業員が利用できる制度と、経営者が利用できる制度がありますが、それらの違いを理解することは非常に大切です。

各制度の特徴

従業員貸付制度は、銀行や消費者金融を使わず、社内での借り入れができるのが大きな特徴です。従業員としては、低金利での融資や簡易的な審査を受けられる点が魅力でしょう。一方、経営者は資金繰りが厳しい局面において役員貸付金というかたちで自己資金に充当する場合があります。

社内融資は、あくまで会社のお金を活用するため、適切な返済プランの策定や税務面の管理が欠かせません。借り手が従業員か役員かで制度面の扱いが異なるため、事前に制度内容を確認しておく必要があります。

従業員貸付制度と役員貸付金の違い

従業員貸付制度は、一般社員が緊急資金を必要とする際に活用されることが多いものです。低金利で利用できることが多く、審査も銀行ほど厳しくありません。一方、役員貸付金は、企業経営に携わる人がやむを得ない事情や事業資金を補う目的で、会社から資金を引き出す仕組みです。

どちらも会社の資金を使用するという点で共通していますが、社内での扱いや税務上の評価、さらに金融機関の視点が異なります。利用する際は、会社としての信用維持も考慮し、正規の手続きを踏むようにしましょう。

従業員貸付制度

従業員が会社を通じてお金を用立てる制度を、従業員貸付制度と呼びます。人材の定着や、福利厚生の向上を目的に導入する企業が増えており、従業員にとっても利用しやすい仕組みとなっています。

従業員貸付制度の仕組み

従業員貸付制度は、社内規定に準じて設計され、通常は正社員を対象に実施されることが多くあります。借入可能金額は、10万円から100万円程度に設定される場合が一般的で、無担保かつ低金利での貸付が行われます。社内独自の審査が行われるため、銀行融資では難しい方でも、勤務態度や勤続年数を考慮しながら借入可否が判断されます。

具体的には、申請書を用意し上司や人事部門に提出し、貸付額や返済計画を協議した後、最終的な承認を得る流れが一般的です。借り入れた金額は、毎月の給与などから天引きされる形で返済されるケースが多くあります。

従業員貸付制度のメリット

会社からお金を借りるにあたり、従業員貸付制度を利用するメリットとしては、返済利息が低い点と、銀行審査よりもハードルが低い点が挙げられます。金利面の軽減によって、家計への負担が減ることが大きな利点です。

また、企業側も福利厚生として制度運用を行うことで、従業員の生活サポートがしやすくなります。社内コミュニケーションの向上や、離職率の低下にもつながる可能性があり、導入メリットは大きいでしょう。

従業員貸付制度の注意点

従業員貸付制度を利用する際は、支援的な制度であっても返済義務がある事実を忘れてはいけません。もし返済が滞ってしまえば、社内評価に影響が及ぶ可能性があります。特に、退職時の未払い残高は一括請求される事例もあるため、計画的に返済することが大切です。

さらに、会社としても貸し倒れリスクを抱えることになります。連帯保証人を求める場合があるのは、このリスクを分散するためです。利用する側は、自分の返済能力を正しく把握して、制度を活用する必要があります。

従業員貸付制度を利用する手順

実際に従業員貸付制度を利用する場合、どのような流れで申し込みを行い、承認されるのかを理解しておきましょう。

社内規定の確認から上司への相談

最初に必要なのは、自社で従業員貸付制度が用意されているかどうかを確認することです。制度があるとわかったら、上司や人事部門に資金の使途や希望金額を相談します。特に、緊急的な用途であれば、詳細を具体的に伝えることが審査をスムーズに進めるポイントです。

充分な勤続年数や勤務成績がある場合ほど、承認される可能性が高くなります。また、保証人の用意が必要な場合があるため、場合によっては早めに候補者を探しておくとよいでしょう。

申請書の提出から貸付金額の決定

相談の後は、社内専用の申請書に必要事項を記入し提出します。申請内容には借入希望額、返済期間、返済方法などを明記しておきましょう。ここで、過去の延滞履歴がないかといった点もチェックされます。

貸付金額は、勤続年数や社内規定によって上限が設定されている場合が多くあります。人事部門や経理部門が承認作業を行い、問題がなければ正式に貸付金額と返済計画が決定されます。

受け取りと返済開始

最終的に承認が下りると、指定口座へ振り込まれる形で貸付金が支給されます。その後は給与天引きなどで返済を行い、決められた期間内に完済を目指します。会社によっては、一度に複数回の利用ができない場合や、年間の利用回数の制限を設けていることもあるので注意が必要です。

制度を利用した後は、返済計画に沿って返していくことが大切です。無理な金額を借りないようにし、緊急的な資金需要を乗り越えたら早めに完済を優先するとよいでしょう。

役員貸付金

役員貸付金は、経営者や取締役のように会社を動かす立場の人が利用できる仕組みです。従業員貸付制度とは違い、実質的に経営判断の一環として捉えられる場合が多いため、税務や融資評価への影響が大きい点に注意が必要です。

役員貸付金の仕組み

役員貸付金とは、会社が役員に貸し付けた金銭を指します。一般的には、経営者が急な資金ニーズを補うために活用する例が多いものです。ただし、役員報酬の代替として継続的に使用されると、税務上の扱いが複雑になるおそれがあります。

会社の資金を役員個人に貸し出す行為は、原則的に会社法や税法の規定に則って行われます。適切な契約書や返済計画を作成し、利息設定などを明確にすることが必須です。

役員貸付金は、役員報酬の前借り的な意味合いで利用されるほか、事業拡大のために個人で資金を準備する場合などに使われることがあります。経営が不安定な時期に、個人資金を一時的に手当てする目的で、会社からお金を借りるケースも少なくありません。また、経営者が個人で不動産を購入し、それを事業に関連付けるなどの手段を取る際にも利用される場合があります。

役員貸付金が与える影響

役員貸付金は、負債として貸借対照表に計上されるため、会社の財務状況を表す指標に影響を与えます。特に、借り入れの金額が大きい場合や長期にわたって残っている場合は、金融機関の信用評価を下げる恐れがあります。

資金調達を検討している会社が、役員貸付金を増やし続けると、金融機関は「自社の資金を正しく運用できていない」と捉えるかもしれません。その結果、返済能力に疑問が残ると判断され、必要な融資が受けにくくなるリスクも考えられます。

役員貸付金のメリット

自社の資金を利用しているため、銀行融資の場合のような、面倒な手続きや時間を要しにくい点は大きなメリットです。緊急の支払いが発生したときなど、手早く経営者の個人資金を補いたい場合には、即時的な対応が期待できます。

また、利息や返済期間を社内決済で取り決められるため、一般的な金融機関の基準とは異なる柔軟な設計がしやすい点も特徴です。

さらに、役員貸付金は、単純に役員個人の生活費補填だけでなく、会社の事業拡大に繋がるケースもあります。個人の資産を投資するための一時的な資金が必要なときや、経営者として素早く判断したいときに役立つ可能性があります。

たとえば、新たな事業案件を立ち上げる前に、個人で用意しなければならない費用がある場合など、銀行での融資を待たずに会社からお金を借りることで、チャンスを逃さずに済むことがあります。ただし、関連する税務処理も同時に確認しておくことが必要です。

役員貸付金のデメリット

役員貸付金の残高が多いと、金融機関から信用を得にくくなるだけでなく、税務当局からも目をつけられがちです。強い指摘を受けた場合には、追加課税や罰則を課される危険も否定できません。

特に、役員貸付金が実質的に返済見込みのない「役員報酬の繰り延べ」とみなされると、法人税や所得税の追徴リスクが高まります。経営上の苦肉の策で利用したとしても、長期にわたって何もせず放置するのは危険です。

また、役員という立場の人間が大きな貸付金を抱えたままだと、社員からの目も厳しくなる可能性があります。万が一、経営状況が悪化して役員貸付金の返済が不透明になると、社内外からの信頼低下を招きかねません。

また、財務諸表に負債として計上されることが続くため、株主や取引先など周囲に与える印象も悪化します。公私の区別が曖昧だと判断されれば、取引先との契約面で不利益を被る可能性も高くなります。

従業員貸付制度と役員貸付金の比較

従業員貸付制度と役員貸付金は、表面上は「会社からお金を借りる」という点では共通しています。しかし、その運用方法、影響範囲は大きく異なります。以下の表に概要をまとめます。

項目 従業員貸付制度 役員貸付金
主な利用者 正社員 (条件付き) 役員 (社長や取締役など)
借入金額 10~100万円程度が多い 特に上限なし (会社の規模や決定権による)
金利 低金利が多い 設定次第 (実質的に利息負担が必要)
審査方法 社内独自審査 (信用情報参照なし) 取締役会などの承認 (税務対応が厳密)
主なリスク 返済滞納時の社内評価低下 税務リスクや金融機関評価の低下

このように、従業員貸付制度は福利厚生としての色合いが強いのに対し、役員貸付金は会社経営とも深く関連する点が際立ちます。自分がどちらに該当するかを確認し、利用の必要性や返済可能性をしっかり見極めましょう。

会社からお金を借りる場合の注意点

従業員貸付制度や役員貸付金を利用する際には、金銭トラブルを避けるために押さえておきたい注意点があります。制度そのものを活かすためにも、事前に想定できる点は把握しておきましょう。

返済能力を把握

会社からお金を借りるときは、銀行とは異なる審査基準が適用されるため、自分の現在の収支や将来的な支出を正確に把握する必要があります。無謀な借り入れは返済滞納につながりやすく、最終的には社内外の信用を失う可能性があるため、事前に返済能力をしっかり把握しておきましょう。

特に役員貸付金の場合、資金繰りの厳しさを示す数値として、金融機関や取引先に注目されがちです。事業計画や資金計画をしっかり立て、返済が滞ることなく計画的に運用することが重要です。

税務面でのリスク管理

役員貸付金をはじめとして、社内融資は税務上の扱いが複雑になります。従業員貸付制度であっても、金利の設定が不自然に低いとみなされれば、税務当局からの調査対象になるケースがあります。書類や契約書を適切に整備しながら、監査対応を行うことが大切です。

また、貸付金と役員報酬や給与の区別が、曖昧にならないようにしておく必要があります。適切な会計処理をせずに長期で放置すると、法人税や所得税の追徴納税リスクが高まってしまいます。

役員貸付金への対応

役員貸付金は、長期間残しておくと会社の財務評価を悪化させる要因となり、税務面でのリスクも大きくなります。

役員報酬からの返済

もっともシンプルな方法は、役員報酬を受け取るごとに計画的に返済を進めることです。報酬と貸付金を明確に区分しながら、段階的に返済を行うことで、貸借対照表上の負債を早期に減らすことができます。

ただし、役員報酬を大幅に引き上げて一気に返済を目指す場合には、税務上の整合性に注意しなければなりません。事前に、税理士や会計士と相談のうえで対応することが望ましいものです。

銀行融資を活用する

役員貸付金を解消するために、別途銀行融資を受け、その融資で貸付金を返済する方法もあります。金融機関からの負債に切り替えることで、役員貸付金を減らすだけでなく、会社の決算書上の見せ方を改善するメリットがあります。一方で、利息負担や審査のハードルは上がることがあるため、慎重に検討してください。

会社としての信用を高めるためにも、事前に返済計画や事業計画をしっかり策定して臨む必要があります。役員貸付金からの脱却を目指す際には、こうした他の手段の活用も検討してもよいでしょう。

従業員貸付制度への対応

従業員貸付制度を有効活用するためには、会社側のサポート体制と個人の資金管理意識が重要になります。利用者にとって安心できる環境を整備している企業ほど、制度が円滑に機能します。

返済計画の共有

会社からお金を借りるときは、従業員と上司、または人事部門での事前のすり合わせが欠かせません。単に申請して借りるだけではなく、返済計画を具体的に示し、社内の承認者と共通理解をもつことが大切です。

また、事前の調整によってスムーズな返済が可能になり、トラブルが起こることも少なくなるでしょう。

また、返済期間の延長希望が出た場合や、一時的に返済が難しくなった場合にどう対応するかも取り決めておくことも大切です。無断で返済を滞らせるような状態に陥らないために、コミュニケーションを怠らないようにしましょう。

緊急時の連絡フローを構築

従業員貸付制度を利用している最中に、さらに大きな出費が発生する場合もありえます。そんなときのために、緊急時の連絡フローを明確に定めておきましょう。

問題が大きくなる前に相談することで、追加の専門家アドバイスや社内制度の拡張利用など、解決策がみつかる可能性も高くなります。逆に放置してしまうと、返済の遅延や会社への責任追及に繋がり、事業の運営が危うくなる恐れがあります。

まとめ

従業員貸付制度と役員貸付金は、どちらも会社からお金を借りる方法として存在しますが、それぞれメリットとデメリット、利用条件やリスクが異なります。本記事では、両制度の仕組みを詳しく解説し、注意すべき点を挙げてきました。

会社からお金を借りるために、役員貸付金や従業員貸付制度を利用する際には、制度の内容を正しく理解し、自分の返済能力や税務上のリスクを踏まえて、慎重に判断することが大切です。

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監修者 三坂大作
監修者紹介
ヒューマントラスト株式会社 統括責任者・取締役
三坂 大作(ミサカ ダイサク)

経歴
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1989年 同行ニューヨーク支店勤務
1992年 三菱銀行退社、資金調達の専門家として独立
資格・認定
経営革新等支援機関:認定支援機関ID:1078130011
ヒューマントラスト株式会社:資格者 三坂大作
貸金業登録番号:東京都知事(1)第31997号
ヒューマントラスト株式会社:事業名 HTファイナンス
貸金業務取扱主任者:資格者 三坂大作
資金調達の専門家として企業の成長を支援
資金調達の専門家として長年にわたり企業の成長をサポートしてきました。東京大学法学部を卒業後、三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、国内業務を経験した後、1989年にニューヨーク支店へ赴任し、国際金融業務に従事。これまで培ってきた金融知識とグローバルな視点を活かし、経営者の力になることを使命として1992年に独立。以来、資金調達や財務戦略のプロフェッショナルとして、多くの企業の財務基盤強化を支援しています。 現在は、ヒューマントラスト株式会社の統括責任者・取締役として、企業の資金調達、ファイナンス事業、個人事業主向けファクタリング、経営コンサルティングなど、多岐にわたる事業を展開。特に、経営革新等支援機関(認定支援機関ID:1078130011)として、企業の持続的成長を実現するための財務戦略策定や資金調達のアドバイスを提供しています。また、東京都知事からの貸金業登録(登録番号:東京都知事(1)第31997号)を受け、適正な金融サービスの提供にも力を注いでいます。
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