2025.04.25
SWOT分析とは?自社の強み・弱みを把握するための分析法を例も交えて解説
経営者や個人事業主として事業を運営していると、「自社の強みは何だろう?」「市場環境の変化にどう対応すべきか」といった疑問に直面することがあります。こうした点を明確化するために役立つ分析手法が、SWOT分析です。
SWOT分析は、企業の内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を整理し、経営戦略の立案に活かすためのフレームワークです。この手法はシンプルながら効果的で、現状把握から将来の戦略策定まで幅広く活用できます。
本記事では、SWOT分析の基本から具体的な実施手順、さらには飲食店などの事例を交えながら、自社の分析に役立つポイントを解説します。
SWOT分析とは
SWOT分析は、企業や事業の現状を客観的に把握し、戦略立案に活かすための分析手法です。1960年代にスタンフォード大学のアルバート・ハンフリーによって考案されたといわれています。
この分析手法の名称は、英語の4つの単語の頭文字を取ったものです。それぞれ以下の要素を意味します。
- S(Strengths):強み
- W(Weaknesses):弱み
- O(Opportunities):機会
- T(Threats):脅威
SWOT分析の特徴は、内部要因と外部要因を明確に区別して整理することです。自社でコントロールできる内部要因(強み・弱み)と、市場や競合など自社ではコントロールできない外部要因(機会・脅威)を分けて考えることで、現状把握を体系的に行える点がメリットです。
強み(Strengths)
強みとは、自社がもつ競争優位性や他社と比較して優れている点を指します。これは内部要因であり、自社の経営資源やケイパビリティに関連するものです。
強みを把握する際のポイントは、客観的な視点をもつことです。経営者が思う強みと、顧客や市場から見た強みが一致していないケースも少なくありません。
強みの具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 独自の商品・サービス
- 熟練した技術やノウハウ
- 忠実な顧客基盤
- 効率的な業務プロセス
- ブランド力や知名度
- 特許や知的財産
強みを分析する際は、「なぜそれが強みになるのか」「どのような価値を顧客に提供できているのか」まで掘り下げて考えることが重要です。単なる自社の特徴ではなく、競争優位につながる要素を特定することがポイントです。
弱み(Weaknesses)
弱みとは、自社の競争劣位性や改善すべき課題点を指します。これも内部要因であり、自社の経営資源や能力の不足に関連するものです。
弱みを正確に把握することは、ときに心理的な抵抗を伴いますが、客観的な自己評価なくして適切な戦略は立てられません。弱みを認識することは、改善の第一歩です。
弱みの具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 資金不足や財務体質の弱さ
- 人材不足や特定のスキルの欠如
- 旧式の設備や技術
- 非効率な業務プロセス
- マーケティング力の弱さ
- ブランド認知度の低さ
弱みを分析する際は、「この弱みが事業にどのような影響を与えているか」「短期的に解決可能か、長期的な取り組みが必要か」といった観点で考えるとよいでしょう。自社の弱みに対し、優先順位をつけて対処する視点が重要です。
機会(Opportunities)
機会とは、自社にとって有利に働く可能性のある外部環境の変化や動向を指します。これは、自社ではコントロールできない外部要因ですが、上手く活用すれば事業拡大や競争力強化につながります。
機会を見逃さないためには、自社の業界だけでなく、関連業界や社会全体のトレンドにも目を向ける必要があります。時には、一見無関係に思える変化が大きなビジネスチャンスになることもあります。
機会の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 市場の成長や新市場の出現
- 消費者の嗜好・行動の変化
- 競合の撤退や弱体化
- 技術革新やデジタル化の進展
- 規制緩和や法改正
- 経済環境や為替変動
機会を分析する際は、「自社の強みを活かせる機会か」「実現可能性はどの程度か」「どの程度のリソースが必要か」といった観点で評価することが重要です。すべての機会に飛びつくのではなく、自社の状況に合った機会を選別する目をもちましょう。
脅威(Threats)
脅威とは、自社の事業に悪影響を及ぼす可能性のある、外部環境の変化や動向を指します。これも自社ではコントロールできない外部要因ですが、事前に認識して対策をとることで影響を最小限に抑えることができます。
脅威は、リスク管理の観点からも重要です。特に安定期にある企業は、将来的な脅威を過小評価しがちなため注意が必要です。
脅威の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 新規参入者の増加
- 競合他社の強化
- 代替品・サービスの出現
- 消費者ニーズの変化
- 原材料の高騰
- 規制強化や法改正
- 景気後退や不況
脅威を分析する際は、「発生確率はどの程度か」「影響の大きさはどれほどか」「短期的な脅威か長期的な脅威か」といった観点で評価するとよいでしょう。また、最悪のシナリオを想定した対策も重要です。
SWOT分析の効果的な進め方
SWOT分析を効果的に行うにあたっては、単に4つの要素を書き出すだけでなく、体系的なフローに沿って進めることが必要です。
目的設定
SWOT分析に取り組む前に、まず「何のために分析するのか」という目的を明確にすることが重要です。漠然と始めると、分析の目的が曖昧になってしまい、実用的な結果が得られない可能性があります。
目的設定の例としては、以下のようなものが考えられます。
- 新規事業の検討
- 既存事業の売上拡大
- コスト削減方法の検討
- 新市場への進出
- 業務プロセスの改善
- 競争力強化
目的が定まったら、分析に必要な情報を収集します。社内データ、市場調査、顧客フィードバック、競合情報など、さまざまなソースから情報を集めることで、客観的な分析の土台をつくりましょう。
また、SWOT分析は一人で行うよりも、異なる視点をもつメンバーでチームを組んで行うと、より多角的な分析が可能になります。異なる部門や経験をもつメンバーを集め、ブレインストーミングの形式で意見を出し合うことが効果的です。
外部環境分析
SWOT分析における外部環境分析とは、機会(O)と脅威(T)を明確にするプロセスです。外部環境は、自社ではコントロールできない要素ですが、事業に大きな影響を与えます。
外部環境分析の代表的な手法としては、PEST分析(Political:政治的要因、Economic:経済的要因、Social:社会的要因、Technological:技術的要因)があります。これを活用すると、より体系的に外部環境を分析することができます。
外部環境分析を行う際のポイントは、以下の通りです。
- 業界全体のトレンドを把握する
- 競合他社の動向を調査する
- 顧客ニーズの変化に注目する
- 技術革新の影響を検討する
- 法規制や政策の変化を確認する
- 経済環境や為替変動の影響を考える
外部環境分析では、データや事実に基づいた客観的な視点が重要です。また、短期的な変化だけでなく中長期的なトレンドも視野に入れることで、より戦略的な分析が可能になります。
内部環境分析
SWOT分析における内部環境分析とは、強み(S)と弱み(W)を明確にするプロセスです。内部環境は自社でコントロール可能であり、競争優位性の厳選や改善すべき課題を特定するために重要です。
内部環境分析の代表的な視点としては、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)や、バリューチェーン(調達・生産・販売・サービスなどの一連の活動)があります。これらの観点から自社を分析することで、総合的な内部評価が可能になります。
内部環境分析を行う際のポイントは、以下の通りです。
- 財務状況を客観的に評価する
- 人材・組織の強みと弱みを分析する
- 製品・サービスの競争力を検証する
- 業務プロセスの効率性を確認する
- 技術力やノウハウを評価する
- 顧客からの評価を把握する
内部環境分析では、自社の「強み」と思っているものが、実は業界標準であったという場合もあります。真の強みを見極めるためには、競合との比較による相対評価が欠かせません。また、社内の自己評価と顧客視点の評価のギャップにも注意が必要です。
分析結果の整理
SWOT分析の各要素を洗い出した後は、結果を整理して視覚化する段階に入ります。ただリストアップするだけでなく、構造化することで、全体像の把握や要素間の関連性を理解しやすくなります。
最も一般的な整理方法は、2×2のマトリクス形式です。縦軸に内部/外部環境、横軸にポジティブ/ネガティブ要素を配置し、4つの象限に強み・弱み・機会・脅威を記入します。
ポジティブ要素 | ネガティブ要素 | |
---|---|---|
内部環境 | 強み(S) | 弱み(W) |
外部環境 | 機会(O) | 脅威(T) |
視覚化の際のポイントとしては、以下が挙げられます。
- 簡潔かつ具体的な表現を心がける
- 重要度や優先順位を明示する
- 関連する要素間の関係性を示す
- 可能であれば数値データを活用する
また、単に要素を列挙するだけでなく、各要素に対して「なぜそれが強みなのか」「どのような影響があるのか」といった説明を付記すると、後の戦略立案がスムーズになります。チーム内での共有や将来の参照を考えると、理由や背景の記録は重要です。
SWOT分析の例
SWOT分析の理論を理解するだけでなく、実際のビジネスにどう適用するかを知ることが重要です。ここでは、具体的な業種や場面におけるSWOT分析の事例を紹介します。
飲食店におけるSWOT分析の例
飲食業界は競争が激しく、また世の中の流れや消費者ニーズの変化の影響を受けやすい業種です。ここでは、都市部に立地する中規模レストランを例に、SWOT分析をみていきましょう。
強み(S) | 弱み(W) |
---|---|
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機会(O) | 脅威(T) |
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|
このSWOT分析から、例えば以下のような戦略を検討することができます。
- 強みである独自レシピと機会である健康志向を組み合わせた、ヘルシーメニューの開発
- 弱みであるデリバリー対応の遅れと機会であるテイクアウト需要増加に対応した、店舗オペレーションの見直し
- 強みであるシェフの技術と脅威である競合増加に対抗するための、料理教室などの新サービス展開
- 弱みである人材不足と脅威である人件費高騰に対応するための、業務効率化とパート採用強化
このように、SWOT分析の結果を基に、具体的な行動計画へと落とし込むことが重要です。分析だけで終わらせず、実際のビジネス改善につなげることが、SWOT分析の真の価値です。
小売業におけるSWOT分析の例
小売業は、ECの台頭や消費者行動の変化など、大きな環境変化に直面している業界です。ここでは、地方都市にある中規模の専門小売店を例に、SWOT分析をみていきましょう。
強み(S) | 弱み(W) |
---|---|
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機会(O) | 脅威(T) |
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このSWOT分析から導き出せる戦略としては、以下のようなものが考えられます。
- 強みである専門知識と機会であるオムニチャネル化を活かした、オンライン相談サービスの開始
- 弱みであるECサイト機能不足と機会であるSNS活用を組み合わせた、SNSショッピング機能の強化
- 強みである地域知名度と脅威である商圏縮小に対応した、周辺地域へのデリバリーサービスの開始
- 弱みである若年層顧客不足と脅威である価格志向への対策として、若年層向け低価格ラインの導入
小売業では特に、オンラインとオフラインそれぞれでどのように立ち回るかが重要なテーマとなっています。SWOT分析を通じて、自店の強みを活かしたデジタル戦略を構築することが、成功の鍵となるでしょう。
製造業におけるSWOT分析の例
製造業は、技術革新やグローバル競争、環境規制など、さまざまな課題に直面している業界です。ここでは、部品製造を行う中小製造業を例に、SWOT分析をみていきましょう。
強み(S) | 弱み(W) |
---|---|
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機会(O) | 脅威(T) |
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このSWOT分析から導き出せる戦略としては、以下のようなものが考えられます。
- 強みである高精度加工技術と機会であるIoT需要を活かした、スマート工場関連部品への特化
- 弱みであるデジタル化の遅れと機会であるDXの可能性を組み合わせた、工場のスマート化投資
- 強みである熟練工の技術力と脅威である人材確保難に対応した、技術継承プログラムの策定
- 弱みである海外展開不足と脅威である価格競争への対策として、海外パートナーとの提携強化
製造業においては特に、技術力という強みを維持しながら、いかにコスト面での競争力をつけていくかが課題となることが多いものです。SWOT分析を通じて、差別化と効率化の両立を図ることが重要です。
クロスSWOT分析による戦略立案
SWOT分析で4つの要素を洗い出した後、次に取り組むべきは、具体的な戦略の立案です。ここで活用したいのが、「クロスSWOT分析」と呼ばれる手法です。強み・弱み・機会・脅威を掛け合わせることで、より実践的な戦略を導き出します。
強み×機会(SO戦略)の活用
SO戦略とは、自社の強み(S)と市場の機会(O)を組み合わせて、積極的に攻勢をかける戦略です。これは最も理想的な組み合わせであり、自社の競争優位性を最大限に活かして市場機会を捉える方法です。
SO戦略の基本的な考え方は、「自社が得意なことで、市場が求めていることを提供する」というシンプルなものです。しかし、その実行には的確な市場理解と自社の強みの正確な把握が必要です。
SO戦略の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 飲食店が持つ独自レシピ(強み)と健康志向の高まり(機会)を活かした、オーガニックメニューの開発
- 小売店の専門知識(強み)とオムニチャネル化の進展(機会)を組み合わせた、オンライン相談サービスの提供
- 製造業の高精度技術(強み)と環境配慮型製品への需要(機会)を活かした、エコフレンドリーな部品開発
SO戦略を立案する際のポイントは、強みと機会の間に明確な関連性をもたせることです。単に並列的に考えるのではなく、どの強みがどの機会に対して有効かを、具体的に検討することが重要です。
強み×脅威(ST戦略)の活用
ST戦略とは、自社の強み(S)を活用して、市場の脅威(T)に対抗する戦略です。これは守りの姿勢の戦略であり、外部環境の脅威から自社を守るために、強みを盾として活用します。
ST戦略の基本的な考え方は、「自社の強みで、脅威の影響を最小化する」というものです。脅威を完全に排除できなくても、その影響を軽減したり、脅威を機会に転換したりすることを目指します。
ST戦略の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 飲食店のリピーター基盤(強み)を活かし、競合店の増加(脅威)に対抗するための会員制サービスの強化
- 小売店の地域での知名度(強み)を活用し、EC台頭(脅威)に対応するための地域密着型イベントの開催
- 製造業の特許技術(強み)で、海外メーカーとの価格競争(脅威)に対抗するための高付加価値製品への転換
ST戦略を立案する際のポイントは、脅威の特性をよく理解し、それに対して最も有効な強みを選択することです。すべての脅威に対応しようとせず、影響度の大きい脅威に優先的に対処する姿勢も重要です。
弱み×機会(WO戦略)の活用
WO戦略とは、市場の機会(O)を活用して、自社の弱み(W)を改善または克服する戦略です。これは成長志向の戦略であり、弱みを放置せず積極的に改善することで、市場機会を取り込む体制を整えます。
WO戦略の基本的な考え方は、「市場の機会を活かすために、弱みを克服する」というものです。弱みがあり機会を活かしきれていない状況を改善し、競争力を高めることを目指します。
WO戦略の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 飲食店のデリバリー対応の遅れ(弱み)を、テイクアウト需要の増加(機会)を契機に改善するための専用キッチン設置
- 小売店のECサイトの機能不足(弱み)を、オムニチャネル化の進展(機会)に合わせて強化するためのサイトリニューアル
- 製造業のデジタル化の遅れ(弱み)を、IoT需要の高まり(機会)を活用して改善するためのデジタル人材採用
WO戦略を立案する際のポイントは、弱みの改善に必要なリソースと時間を現実的に見積もることです。すべての弱みを一度に解消しようとせず、機会を活かすという視点に立って、最も優先すべき弱みから着手することが効果的です。
弱み×脅威(WT戦略)の活用
WT戦略とは、自社の弱み(W)と市場の脅威(T)に同時に対処する戦略です。これは最も困難な組み合わせであり、守りの姿勢で、かつ慎重なアプローチが求められます。場合によっては、事業の縮小や撤退も選択肢となります。
WT戦略の基本的な考え方は、「弱みと脅威が重なる領域でのダメージを最小化する」というものです。最悪のシナリオを想定し、リスクを管理しながら生き残りを図る姿勢が重要です。
WT戦略の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 飲食店の人材不足(弱み)と人件費高騰(脅威)に対応するための、メニューの削減と業務効率化
- 小売店の若年層顧客不足(弱み)と商圏縮小(脅威)を踏まえた、ターゲット顧客の見直しと店舗規模の適正化
- 製造業の海外展開経験不足(弱み)と海外競合との価格競争(脅威)に対処するための、国内特化戦略の強化
WT戦略を立案する際のポイントは、現状を冷静に分析し、ときには撤退や縮小も含めた判断をすることです。しかし、単に守りに入るだけでなく、弱みを克服する契機と捉える視点も重要です。例えば、事業再編や新たなビジネスモデルへの転換も、一つの選択肢となります。
SWOT分析を成功させるためのコツ
SWOT分析は比較的シンプルな手法ですが、効果的に実施するためにはいくつかの注意点があります。これらの注意点を意識することで、SWOT分析の結果がより価値の高いものとなります。
客観的で定量的なデータの活用
SWOT分析の質を左右する最大のポイントは、分析が客観的であるかです。主観的な思い込みや希望的観測に基づいた分析は、実際に効果をもつ戦略につながりません。客観的な視点をもつことが何よりも重要です。
客観性を高めるための具体的な方法としては、以下のようなアプローチが効果的です。
- 定量的データの活用(売上推移、市場シェア、顧客満足度など)
- 外部の視点の取り入れ(顧客、取引先、コンサルタントなど)
- 競合との比較分析(ベンチマーキング)
- 複数メンバーでの多角的な検討
- 業界データや市場調査レポートの参照
特に重要なのは、「自社が強みだと思っているもの」と「顧客が価値を感じているもの」のギャップを認識することです。顧客アンケートやインタビュー、SNSでの評判など、顧客視点のデータを積極的に活用しましょう。
また、弱みの分析においては、「問題点の指摘は改善の第一歩」という前向きな姿勢で取り組むことが大切です。
内部要因と外部要因の明確な区別
SWOT分析では、内部要因(強み・弱み)と外部要因(機会・脅威)を明確に区別することが基本ですが、実践において混同されるケースが少なくありません。この区別が曖昧になると、適切に戦略を立てることが困難になります。
内部要因と外部要因を区別するための基本的な考え方は、「自社でコントロールできるか否か」です。自社の意思決定や行動で変えられる要素は内部要因、自社の力だけでは変えられない要素は外部要因と考えます。
よくある混同の例としては、以下のようなものがあります。
- 「価格競争力がある」を機会(O)としてしまう→これは自社の強み(S)
- 「競合他社の増加」を弱み(W)としてしまう→これは脅威(T)
- 「新技術の開発」を強み(S)としてしまう→まだ実現していない場合は機会(O)
- 「顧客離れ」を脅威(T)としてしまう→自社の問題が原因なら弱み(W)
区別を明確にするためのコツは、「なぜそうなのか」という原因を考えることです。例えば、売上減少は結果であり、その原因が自社の商品力不足なら弱み、市場の縮小なら脅威と区別できます。原因と結果を混同しない視点が重要です。
定期的な見直し
SWOT分析は、一度行えば終わりという性質のものではありません。ビジネス環境は常に変化しており、それに伴って自社の強み・弱みの位置づけも変わります。定期的に見直すことによる継続的な活用で、SWOT分析の結果も価値が高いものになります。
SWOT分析の見直しに適したタイミングとしては、以下のようなものが考えられます。
- 年度計画策定時(年1回程度)
- 新規事業や新商品の検討時
- 市場環境の大きな変化があったとき(競合動向、規制変更など)
- 自社の経営資源に変化があったとき(M&A、大型投資など)
- 業績の大きな変動があったとき
継続的な活用のためには、SWOT分析の結果を社内で共有し、経営判断や日々の業務の中で参照できる体制をつくることが重要です。また、前回の分析との比較を行うことで、自社の変化や対策の効果を可視化することもできます。
見直しの際には、前回の分析をそのまま踏襲するのではなく、ゼロベースで考え直す姿勢も大切です。「これまで強みだと思っていたものが、実は業界標準になっていた」といった気づきが、新たな戦略のきっかけになることもあります。
具体的な行動への落とし込み
SWOT分析の最終目的は、分析結果を基にした具体的な行動計画の策定です。いくら精緻な分析を行っても、それが実際の行動に結びつかなければ意味がありません。
具体的な戦略立案のプロセスとしては、以下のようなステップが効果的です。
- クロスSWOT分析で戦略の方向性を定める
- 優先順位の高い戦略を選定する
- 具体的な行動計画(アクションプラン)に落とし込む
- 実行スケジュールと担当者を決定する
- 進捗管理の方法を定める
- 成果指標(KPI)を設定する
行動計画を立案する際には、「SMART」の原則が役立ちます。
- Specific(具体的)
- Measurable(測定可能)
- Achievable(達成可能)
- Relevant(関連性がある)
- Time-bound(期限がある)
例えば、「SNS活用を強化する」という漠然とした計画ではなく、「Instagramのフォロワー数を3ヶ月で500人増やすために、週2回の定期投稿と月1回のプレゼント企画を実施する」といった、具体的で測定可能な計画にすることが重要です。
まとめ
SWOT分析は、自社の強み・弱みと外部環境の機会・脅威を体系的に把握し、経営戦略を立案するためのフレームワークです。シンプルながらも奥深いこの手法を正しく活用することで、経営判断の質を高め、ビジネスの成功する確率を上げることができます。
本記事で解説したように、SWOT分析を効果的に行うためには、客観的な視点での分析、内部要因と外部要因の明確な区別、定期的な見直し、そして何より分析結果の具体的な行動計画への落とし込みが重要です。自社の状況を定期的に見つめ直し、戦略を柔軟に変えていく姿勢が、経営を続けるうえでは欠かせません。
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SWOT分析を行った結果、新たな事業展開や設備投資など、成長のためのアクションプランがみえてきたものの、資金面での課題が浮かび上がったという経営者の方も多いのではないでしょうか。経営戦略を実行に移すためには、適切なタイミングに資金を調達する必要があります。そのようなときには、HTファイナンスのビジネスローンがお役に立ちます。
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