• TOP
  • 新着情報
  • 融資審査の現場から学ぶ!必要書類とスムーズな資金調達の秘訣

融資審査の現場から学ぶ!必要書類とスムーズな資金調達の秘訣

資金調達をスムーズに進めるためには、銀行が求める審査資料を正確かつ迅速に提出することが重要です。
しかし、どのような資料が必要で、どのように準備すればよいか悩む企業も少なくありません。

本記事では、銀行の融資審査担当として経験を積んだ筆者が、バブル期の過酷な融資審査の現場を振り返りながら、審査に必要な提出資料とその重要性を解説します。
また、現在の審査手法の変化や課題についても触れ、効率的な資金調達を実現するためのヒントをお届けします。

融資に関するお悩みを抱えている企業様必見の内容です。ぜひ最後までご覧ください。

 

バブル期における銀行の融資審査の現場

 

融資審査の過酷な労働環境とその影響

コンサルティング業を始める以前、私は銀行で融資審査を担当していました。
特にバブル期の青山(東京)支店では、不動産価格が日々高騰し、億単位の融資案件が飛び込んでくるのが日常でした。
 
審査資料は膨大で、一つの案件だけでも雑誌ほどの厚みになることもありました。
それでも審査にかけられる時間は1週間程度で、朝から夜まで支店で資料を精査し、稟議書を作成する日々が続きました。
 
先輩の中には、複数案件を同時に抱え、連日終電で帰る日々が続いた結果、過労で倒れる人もいました。
現在であれば労災と認定される状況だったでしょう。
 
当時の銀行は休日出勤や深夜残業が当たり前の「ブラック企業」と言える環境でした。
 

案件の取り扱いと審査の優先順位

審査は「申し込み順」で進めるのが原則でした。
しかし、扱いやすい案件とそうでない案件があり、後者はどうしても後回しにされる傾向がありました。
 
例えば、資料が不足している案件や、社長と連絡が取れず必要情報が揃わない案件は審査が滞り、結果的に否決されることが多かったです。
 
扱いにくい案件には以下の共通点があります。
  • 申込時の添付書類に不足がある
  • 必要な書類がなかなか提出されない
  • 社長との連絡が取りにくく、審査に必要な情報が揃わない
 
こうしたケースでは、審査担当者が「資料が揃わないのでは?」「隠したい事情があるのでは?」と疑念を抱くこともあります。
そのため、審査をスムーズに進めるには、必要資料をあらかじめ準備しておくことが重要です。
 
 

融資審査に必要な提出資料とその重要性

決算書(税務申告書)と詳細資料

決算書は、融資審査において最も重要な資料です。
最低でも直近3期分が必要であり、貸借対照表や損益計算書だけでなく、以下の詳細資料も求められます。
 
【必須の詳細資料】
  • 決算報告書(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書など)
  • 税務申告書一式
  • 勘定科目内訳明細
  • 固定資産台帳(減価償却明細書)
  • 事業概況説明書
これらを提出しない場合、審査担当者は会社の経営状況を正確に分析することができません。また、銀行取引約定(銀取)契約に基づき、これらの資料提出は契約上の義務となっているため注意が必要です。
 

試算表・資金繰り表・借入金一覧表

決算書に加えて、以下の資料も審査に必要です。
  • 試算表
    試算表は会社の最新の経営状況を把握するための資料です。
    毎月作成することで、経営状態の精度が高まります。申し込み段階で提出しておくことが望ましいです。
  • 資金繰り表
    資金繰り表は現預金の動きを示し、入出金の流れを明確にするものです。
    毎月更新し、試算表と併せて提出するのが理想です。
  • 借入金一覧表
    借入金一覧表は、借入先や金額、金利、返済スケジュールなどを記載した資料です。
金融支援を受けるためには、この一覧表を正確に作成することが大切です。
 

資料提出の遅延が引き起こす問題

提出資料が揃わない場合、審査担当者は疑念を抱き、審査が滞ります。
スムーズな融資審査を実現するためには、必要資料を早期に揃え、正確に提出することが求められます。
 
 

審査資料の信頼性と審査担当者の対応

提出資料に対する疑念と確認プロセス

審査担当者は、提出された資料をすべて信用するわけではありません。
税務申告書であっても、費用の資産計上や現金残高の水増しなど、調整が行われている可能性を前提に審査を進めます。
 
このため、審査担当者は社長やスタッフとの面談、事業所の訪問などを通じて、記載内容の裏付けを取ります。
 

稟議書作成と審査の基本手順

審査を開始するには、必要な資料がすべて揃っていることが条件です。
資料が揃った案件はスムーズに審査が進み、稟議書の作成も容易になります。
 
そのため、会社側は資料準備を怠らないよう注意が必要です。
 
 

審査手法の変化と今後の課題

過去の杜撰な審査と不良債権問題

バブル期には、審査手続きが追いつかず杜撰な審査が行われ、不良債権問題が発生しました。当時の膨大な案件数と人員不足が背景にあります。
 

スコアリングシステムの利点と懸念

現在、中小企業向け融資ではスコアリングシステムが一般的です。
この仕組みは公平性を保つ一方で、一律の基準により革新的な事業の可能性を見落とす懸念もあります。
 

人間の判断を活かした審査の必要性

スコアリングシステムで機械的にAI診断の様に振り分けるだけでなく、画期的な事業アイデアの芽を潰さないように、人間の柔軟な発想や洞察を活かした審査手法が求められます。
 
丁寧な審査を通じて、企業の成長を支える仕組みを構築することが重要です。
 
 

まとめ

本記事では、バブル期における銀行の融資審査の現場や、融資審査に必要な提出資料
そして審査手法の変化と課題について解説しました。
 
融資審査をスムーズに進めるためには、決算書や試算表、資金繰り表、借入金一覧表といった必要資料を早期に準備することが非常に重要です。
 
また、スコアリングシステムの普及による公平性向上の一方で、人間の柔軟な判断の重要性も改めて認識されるべきです。
 
こうした審査プロセスや資金調達に関するお悩みをお持ちの企業様に向けて
HTファイナンスは全力でサポートいたします。
 
専門知識と豊富な経験を活かし、最適な資金調達方法をご提案することで、事業成長を後押しいたします。
 
30年以上にわたる法人企業向け融資の実績を基に、貴社の経営を強力に支援いたします。
ぜひお気軽にHTファイナンスまでご相談くださいませ。
 
 
 
監修者 三坂大作
監修者 三坂大作

略歴
1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社 株式会社プラネス設立代表取締役就任
2021年 ヒューマントラスト株式会社 取締役就任

貸金業務取扱主任者を保有。
大手金融機関の法人担当を国内外で担当した後、お客様企業の経営戦略を中心としたコンサルティング事業を推進。
2021年にヒューマントラスト株式会社の統括責任者 取締役に就任。
上場企業・中小企業含めて300社以上、30年以上の支援実績がある法人企業向け融資のプロフェッショナル。
前へ

創業融資の成功法則:自己資金の重要性と融資獲得のポイントを徹底解説

一覧へ戻る

倒産を防ぐために今すべきこと:赤字・借入金管理と成功する経営戦略

次へ