【最新解説】ものづくり補助金の申請枠と要件|DX・GX・海外展開を支援する活用ポイント
ものづくり補助金の最新公募要領
公募の背景と目的
「ものづくり補助金」は、中小企業や小規模事業者の生産性向上や競争力強化を目的とした補助制度です。
近年、日本の中小企業は人手不足やデジタル技術の導入遅れといった課題に直面しています。そのため、政府は補助金を活用して、労働生産性の向上、業務の効率化、新たな製品・サービスの開発を促進 しようとしています。
特に、第18次公募では、デジタル技術の活用、環境対応(GX)、グローバル展開 など、新たな成長戦略に対応した支援枠が強化されています。これにより、企業が市場の変化に適応しやすくなり、新たな成長機会を得ることが期待されています。
第18次公募における主要な変更点
第18次公募では、企業の事業目的や投資対象に応じて、以下のような申請枠が設けられています。
- 省力化(オーダーメイド)枠
対象企業:中小企業・小規模事業者
目的:デジタル技術を活用した専用設備(オーダーメイド設備)導入による、生産プロセスやサービス提供の効率化・高度化
特徴:人手不足解消と生産性向上を同時に支援 - 製品・サービス高付加価値化枠
対象企業:中小企業・小規模事業者
目的:競争力向上を目的とした、革新的な製品やサービスの開発支援
類型:
- 通常類型:新たな設備やシステムの導入による製品・サービスの開発
- 成長分野進出類型:DX・GXなどの成長産業に参入する企業向け
- 新型コロナ回復加速化特例:雇用維持・賃金向上を実施する企業への補助率引き上げ
通常類型の申請要件
「通常類型」では、新たな製品やサービスの開発を伴う設備投資が必要 です。単なる機械導入ではなく、事業の革新につながる取り組みが求められます。
- 補助金額:
- 5人以下の企業:100万円~750万円
- 6~20人の企業:100万円~1,000万円
- 21人以上の企業:100万円~1,250万円
採択要件
申請企業は、以下の要件を満たす3~5年間の事業計画を策定する必要があります。
要件 |
内容 |
給与支給総額の増加 |
年平均1.5%以上の増加(一定条件を満たす場合は1%) |
最低賃金の引き上げ |
地域別最低賃金+30円以上を毎年実施 |
付加価値額の増加 |
年平均3%以上の増加(営業利益+人件費+減価償却費の合計) |
売上高10%要件 |
事業計画で開発する新製品・サービスの売上高が企業全体の10%以上を占めること |
金融機関の資金調達確認 |
借入金を利用する場合、金融機関の確認書を取得すること |
こうした要件を満たすことで、補助金の活用が可能になります。特に、金融機関の資金調達確認は、申請前に準備しておくべき重要なポイント です。
ものづくり補助金の申請枠と要件
省力化(オーダーメイド)枠とその目的
「省力化(オーダーメイド)枠」は、中小企業や小規模事業者が抱える人手不足の課題を解決するために設けられた申請枠 です。
この枠では、デジタル技術を活用した専用設備(オーダーメイド設備)を導入 し、生産プロセスやサービス提供方法の効率化・高度化を図る事業が対象となります。
特に、以下のような投資が補助の対象となる可能性があります。
- AIやIoTを活用した自動化設備の導入(例:生産ラインの自動化)
- ロボティクス技術を活用した作業の効率化(例:省人化設備の導入)
- デジタル化によるサービス提供の高度化(例:オンライン対応システムの構築)
これらの取り組みにより、人手不足に対応しつつ、事業の生産性向上を促進する ことが求められます。
製品・サービス高付加価値化枠の概要
「製品・サービス高付加価値化枠」は、中小企業や小規模事業者の競争力を向上させるため、革新的な製品やサービスの開発を支援する枠組み です。
この枠の中には、以下の3つの類型が存在します。
- 通常類型
対象:新しい価値を提供するために、新たな設備やシステムを導入し、製品やサービスの開発を行う企業
要件:単なる設備の導入ではなく、実際に新しい製品やサービス開発が伴う必要がある
- 補助金額:
- 5人以下の企業:100万円~750万円
- 6~20人の企業:100万円~1,000万円
- 21人以上の企業:100万円~1,250万円
- 成長分野進出類型
対象:デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーン成長(GX)といった成長分野への参入を目指す企業
この類型では、AI、IoT、センサー技術などを活用した革新的な製品・サービスの開発 が求められます。
- 補助金額:
- 5人以下の企業:100万円~1,000万円
- 6~20人の企業:100万円~1,500万円
- 21人以上の企業:100万円~2,500万円
DX対応の開発例
- AIやIoTを活用した遠隔操作や自動制御技術の導入
- 生産やサービス提供のプロセスの可視化・自動化
GX対応の開発例
- 再生可能エネルギーを活用した新技術の開発
- カーボンニュートラル推進のための環境配慮型製品の開発
成長分野進出類型では、政府が策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」 に関連する14の重点産業が対象として設定されています。
グリーン成長戦略における重点14分野
分野 |
具体例 |
エネルギー関連 |
洋上風力、太陽光、水素、燃料アンモニア、次世代熱エネルギー、原子力 |
輸送業・製造業関連 |
自動車、蓄電池、半導体、情報通信、船舶、物流、食料、農林水産、航空機、カーボンリサイクル |
家庭・オフィス関連 |
住宅、建築物、資源循環、ライフスタイル関連 |
これらの分野は日本の成長戦略において重要視されており、中小企業の参入も積極的に支援 されています。自社の事業がこれらの分野と関連する場合は、積極的に活用を検討すべきでしょう。
- 新型コロナ回復加速化特例
通常類型の中でも、一定の雇用基準を満たし、補助事業完了後の給与総額や最低賃金が目標を達成している場合、補助率の引き上げが適用される特例です。ただし、目標未達の場合は補助金の返還が求められる場合があるため、慎重な計画策定が必要です。
このように、ものづくり補助金には多様な申請枠があり、それぞれの事業計画に適した枠を選択することが重要 です。
成長分野進出類型とグローバル枠の詳細
DX・GX対応の革新的事業とは
成長分野進出類型は、デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーン成長(GX) など、今後の成長が見込まれる分野に挑戦する中小企業を支援する枠組みです。
この類型では、特にAI、IoT、センサー技術などを活用した革新的な製品・サービスの開発 が求められます。
DX対応の開発例
- AIを活用した自動制御システムの開発
- IoTによる設備の遠隔監視・制御システムの構築
- デジタルツインを活用した生産プロセスの最適化
GX対応の開発例
- 再生可能エネルギーを活用した新技術の開発
- カーボンニュートラル実現のための環境配慮型製品の開発
- 水素エネルギーや燃料アンモニアの活用技術の研究
また、「ものづくり補助金」は、企業の生産性向上だけでなく、従業員の賃金向上も目的としています。そのため、事業計画には収益拡大と賃金上昇の見込みを盛り込むことが必須 となります。
海外展開・インバウンド向け事業支援
「グローバル枠」は、中小企業が海外市場へ進出する際の設備投資や、インバウンド需要を取り込む新規事業を支援する補助金 です。
この枠では、以下のような投資が補助対象となります。
- 海外市場向けの設備投資(機械装置・システム構築費、技術導入費)
- 海外展開に必要な専門家経費や運搬費
- クラウドサービス利用費や知的財産権関連費用
- 海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝費、販売促進費
グローバル枠の4つのカテゴリー
- 海外への直接投資
- 国内に本社を置きながら、海外支店でも設備投資を実施する企業向け
- 輸出に関する海外市場開拓
- 国内拠点での生産・サービス提供を行いながら、海外市場向けの販路を拡大する企業向け
- 売上の50%以上を海外市場で計画する必要あり
- 国内におけるインバウンド需要対応事業
- 国内に拠点を持ち、訪日外国人向けに新製品や新サービスを提供する企業向け
- 補助事業の売上累計額が補助金額を上回る計画が求められる
- 海外事業者との共同事業
- 国内に拠点を持ち、外国法人との共同研究や業務提携を実施する企業向け
- 申請時に「共同研究契約書」または「業務提携契約書」の提出が必要
ものづくり補助金の活用意義
「ものづくり補助金」は、単なる企業の経営安定化だけでなく、日本の経済成長を支える政策の一環として位置付けられています。そのため、単なる生産性向上のための設備投資ではなく、企業の持続的な成長と、国内外市場での競争力強化を目的とする事業が求められます。
年間2~3回の公募が行われており、他の補助金と比べて申請のチャンスが多い点も特徴 です。補助金の活用を通じて、事業の拡大、従業員への利益還元、さらなる成長戦略の推進を目指すことが重要です。
資料作成や申請手続きには一定の負担が伴いますが、採択されれば大きな成長機会を得ることができるため、ぜひチャレンジを検討する価値があるでしょう。
まとめ
本記事では、「ものづくり補助金」の最新公募要領について解説し、各申請枠の詳細や要件、申請時の注意点について紹介しました。
「ものづくり補助金」は、中小企業の生産性向上、DX・GX推進、海外展開支援などを目的としており、適切に活用すれば、事業の成長を大きく後押しする重要な資金調達手段となります。しかし、申請要件や事業計画の策定、補助金の活用方法など、事前にしっかりと準備すべきポイントが多く、適切な戦略と計画が求められます。
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