無料で活用!RESASで中小企業の事業性評価と経営計画を強化する方法
事業の現状把握とは?
事業性評価における現状把握の難しさ
前回までのコラムで、会社の「事業性評価」について触れてきましたが、実際に「自社の製品(商品)やサービスが市場状況に照らして差別化できているかどうか」を正確に把握するのは困難な課題です。
競合他社との比較を試みても、事業領域が完全に一致することは稀であり、製品やサービスの相違点も当然存在します。この違いがマーケット環境において自社のビジネスモデルにプラスに働くのか、マイナスに作用するのかを見極めることも容易ではありません。
こうした状況を踏まえ、客観的な評価基準を用いることで、自社の市場での立ち位置を明確にする可能性が広がります。
RESASの概要とその特徴
この課題を解決するツールとして、2015年に経済産業省と内閣官房が「地域経済分析システム(RESAS)」を運用開始しました。
RESASでは、日本全国の地域ごとの産業構造や人口動態、人流などをビッグデータとして集約し、視覚的に分かりやすく提示します。このサービスは地域間データの比較やマーケット分析を行える便利なツールで、無料で利用できる点も大きな特徴です。
RESASを活用することで、特に中小企業は現状把握やSWOT分析の根拠づけに役立てることが可能になります。
RESASを活用する意義
客観的な評価基準としての重要性
中小企業の経営判断は、製品やビジネスモデルへの強い思い入れにより、独善的になる傾向が見られます。この結果、作成された「経営計画書」や「事業性評価」に客観性が欠けると、事業の信頼性が低下し、計画全体の評価が下がるリスクがあります。
客観的な評価を行うためには、RESASのようなデータツールを活用することが重要です。大企業のように調査を外注する余裕のない中小企業にとって、RESASは政府公開の信頼性の高いデータを無料で利用できる貴重なリソースです。
経営計画書への信頼性向上
金融機関への「経営計画書」や「事業性評価」提出時に、RESASを根拠データとして活用することで、説得力を高めることができます。
特に地方銀行や信用金庫では、地域経済の活性化に貢献する事業を高く評価する傾向があります。RESASのデータを活用すれば、地域の特性を強調しやすく、金融機関からの信頼性を得る一助となるでしょう。
RESASの具体的な活用例
人口構成データと人口メッシュの活用
人口構成データを用いることで、自社の営業エリアにおける顧客層の特性を把握し、効率的な製品開発や事業モデルの修正に役立てられます。将来的な売上予測も、「現在の顧客数」や「将来人口推計」などの数値を基に算出可能です。
また、人口メッシュデータは地域内の人口分布を可視化し、店舗出店や広告配布戦略の根拠を提供します。これに競合他社の動向を組み合わせれば、より精度の高い商圏調査が可能です。
製造業の構造・販売データの活用
RESASでは地域ごとの製造業の事業所数、製造品出荷額、売上高などのデータを時系列で確認できます。この情報を基に、特定地域における製品の生産増減や陳腐化状況を把握し、製品戦略の見直しに活用できます。
また、販売データを分析することで、自社製品が地域市場に適合しているか、全国的な市場性があるかを検証し、売上計画の信頼性を高めることが可能です。
まとめ – RESASのデータで経営戦略を効率化
本記事では、地域経済分析システム(RESAS)の概要や活用方法について解説しました。RESASは、中小企業が自社の現状を客観的に把握し、事業性評価や経営計画の信頼性を向上させるために非常に有用なツールです。特に、地域特性に応じたマーケット分析やSWOT分析の基盤として、無料で利用可能な点が大きな魅力です。
しかし、RESASを活用したデータ分析や経営戦略の策定には専門的な知識が必要であり、どのデータをどう活用するのか迷われることも多いかと思います。
そんな企業様のサポート役として、HTファイナンスはお役に立てます。HTファイナンスは、30年の実績を持つ専門的な知見で、企業の現状に合った最適な経営戦略や資金調達方法をご提案します。事業基盤の強化や経営環境の安定化を実現するために、ぜひお気軽にご相談くださいませ。