• TOP
  • 新着情報
  • 資金調達の種類を3つに分けて解説!中小企業経営者のための基本ガイド

資金調達の種類を3つに分けて解説!中小企業経営者のための基本ガイド

このコラムを読まれる方は、資金調達を必要としている経営者が多いのではないかと思います。
そこで、私のコンサルティング歴の中で、資金調達と経営改善に関してのコラムを始めようと思います。

私の経験を踏まえた実践的な内容になるように心がけてコラムにしていきますので
何卒、よろしくお願い申し上げます。

尚、このコラムでは、日本の中小企業を対象としていますので
大企業や海外法人については当てはまらないこともありますことを、予めお断りしておきます。

では、始めます。

資金調達は大きく分けると3種類に分類できる

資金調達と一口に言っても、その方法や目的はさまざまです。
しかし、大きく分類すると、貸借対照表(バランスシート)に対応した3種類の資金調達方法が存在します。

貸借対照表には「資産の部」「負債の部」「資本の部」の3つの区分があります。
資金調達の種類は、これらに対応した形で分けることができるのです。

もし手元に貸借対照表があれば、それを確認しながら読み進めることで、より深い理解が得られるでしょう。

 

資金調達の基本的な3つの種類

資金調達を考える際、貸借対照表における以下の3つの区分に注目することが重要です。

  • 資産の部:保有資産を現金化する方法
  • 負債の部:外部から借り入れる方法
  • 資本の部:株式発行や出資を受ける方法

それぞれの特徴と活用方法について、具体的に解説していきます。

 

資産の部に対応する資金調達

資産の部に対応する資金調達は、企業が保有する資産を売却して現金化を行う方法です。
具体的には、以下のような事例が挙げられます。

「社用車を処分した」「会社不動産を売却した」「在庫を赤字覚悟で売った」など
換価可能な資産を売却して手持ち現金を増やす手法です。
この方法は、資金繰りに困ったときに活用されますが、いくつかの難しいポイントがあります。

車両や不動産、有価証券のように市場性のある資産であれば、買主を見つけやすく、価格も一定の見込みが立ちやすいです。
そのため、売りやすいものから売却することで当面の資金繰りに充てることが可能です。

 

しかし、「売却するモノがない」または「資産売却が困難である」場合には課題が生じます。

売却が難しいケースには以下の要因が考えられます。

 

  • ●市場性がない資産:特殊な資産は一般的な用途がなく、買い手を見つけるのが難しい。
  • ●無形資産の評価:知的財産のように評価が必要な場合、適切な価格設定が難しい。

具体例としては、知的財産、営業権、売掛債権、貸付金が挙げられます。

日本では知的財産を活用した融資システムが未発達であり、評価基準も確立されていないので
金融機関の担当者がこれを資金調達の対象とすることはほとんどありません。

また営業権についても、実際の事業取引を基にした価値があるため
売却することで会社の事業そのものが成り立たなくなる危険性があります。

売却可能な資産として売掛債権や貸付金は、比較的活用しやすい資産です。

 

  • ●売掛債権譲渡:過去には「手形割引」、現在では「ファクタリング」という形で広く活用されています。
  • ●貸付金の譲渡:肩代わり取引により債権者が一定金額を手にすることができます。

これらは「債権譲渡取引」と呼ばれ、金融というよりも資産売却の一形態と見なされます。特に売掛債権譲渡は、緊急時の資金調達手段として有効です。

 

負債の部に対応する資金調達

負債の部に対応する資金調達とは、企業が外部から資金を借り入れることで資金を調達する方法です。
主に銀行やノンバンク、他の事業会社、個人など、多岐にわたる相手方との取引が含まれます。

たとえば、一般的な銀行借入はこの負債の部に該当しており
また、支払うべき資金を繰り延べることや、支払いを細かく分割する形も負債の部に関連する資金調達と考えることができます。

負債の部に関する資金調達は、相手方によって条件や交渉方法が異なるため、慎重な選択が求められます。
具体的な相手方の例として、以下のような種類があります。

 

  • ●大手都市銀行:安定した信用力と低金利の借入が可能だが、審査が厳しい。
  • ●地方銀行・信用金庫・信用組合:地域密着型で、柔軟な対応が期待できる。
  • ●ノンバンク:迅速な資金調達が可能だが、金利が高い場合がある。
  • ●個人貸金業者・闇金:利用は最終手段として注意が必要。
  • ●これらの選択肢の中で、自社の経済状況や資金ニーズに適した相手を選ぶことが重要です。

資金借入以外にも、負債の部に対応する方法として社債発行があります。
社債発行では、以下のような条件を提示して資金を集めます。

 

  • ●償還条件:社債をいつ現金化するのか、またその金額はどのように決定されるのか。
  • ●担保条件:社債に対して提供する担保の有無。

少人数私募債など、一般には流通しない社債を発行し、それを現金に換えてもらう方法が代表例です。
また、近年ではクラウドファンディングを活用し、自社製品やサービスを償還条件として
資金調達を行う新しい手法も注目されています。

また現代の金融手法では、負債と資本の特性を組み合わせた方法が増えています。
新株予約権付社債(転換社債)や劣後ローンはその典型例です。
たとえば、新株予約権付社債では、投資家が社債を株式に転換する権利を持つため
資本としての性質も併せ持ちます。
このように、資金調達の選択肢はますます多様化しているのが現状です。

負債の部に関する資金調達は、短期的な資金繰りや中長期的な事業運営に欠かせない手段です。ただし、相手方との契約条件や返済計画を慎重に検討し、自社に最適な方法を選ぶことが成功の鍵となります。

 

資本の部に対応する資金調達

資本の部に対応する資金調達は、会社経営の基盤を強化する重要な手段です。
この部分の増強は、資金繰りの安定や事業の成長に直結するため、多くの企業が検討すべき課題となります。

しかし、中小企業にとって資本を増強する資金調達はハードルが高いのも事実です。
特に、事業再建や安定的な運営を目指すフェーズでは、投資家からの理解を得ることが困難な場合があります。

資本の部に対応する資金調達には、主に以下の方法があります。
それぞれの特徴を把握し、自社に合った方法を選ぶことが大切です。

 

  • ●第三者割当増資
    新たな投資家を見つけて新株を発行し、資金を調達する方法です。
    メリット:新規の資本を得ることで、資金繰りの安定や成長資金の確保が可能。
    デメリット:既存株主の持ち株比率が希薄化するため、合意形成が必要。

  • ●株主割当増資
    既存の株主に対して新株を引き受けてもらう方法です。
    メリット:既存株主との信頼関係があるため、合意が得やすい。
    デメリット:資金調達の規模が限られる場合がある。

  • ●劣後ローン
    最近注目されている方法として、日本政策金融公庫が提供する「劣後ローン」があります。
    特徴:他の借入金より返済順位が低いことから、資本性資金調達として分類される。
    メリット:長期的かつ安定した資金調達が可能。
    デメリット:条件や契約内容の精査が必要。

    資本性資金調達は、長期的な資金として企業運営を支える反面、対応すべき事務作業が多い点が課題です。

 

出資者に対しては以下の対応が求められます。

 

  • ●事業経過の説明:定期的なレポートや説明会の開催。
  • ●事業収益状況の報告:財務状況の透明性を確保するための資料作成。
  • ●配当金の支払い:契約条件に基づいた適切な配当実施。

これらの作業は負債の部に対応する資金調達(借入金)に比べて手間がかかるため
中小企業にとっては大きな負担となる場合があります。

それでも資本の増強は、会社の財務基盤を安定化させる重要な要素です。特に、長期的な視点で事業を成長させたい場合、資本性資金調達を活用することは効果的な手段といえるでしょう。

 

資金調達種類のメリット・デメリット

以上で説明した、資金調達の種類について
それぞれのメリットとデメリットを簡単にまとめます。
参考になれば幸いです。

 

資金調達手段

メリット デメリット

資産の部に対応する資金調達

 迅速な資金調達が可能(ファクタリングや資産売却)

負債を増やさないため返済義務なし

遊休資産の活用で効率的な資金繰りができる

– 資産の減少:売却後に再利用できない

– 売却が難しい場合がある(市場性のない資産)

– 無形資産などは評価が難しい

負債の部に対応する資金調達

– 多様な選択肢(銀行、ノンバンク、社債など)

– 借入額を柔軟に設定できる場合が多い

– 借入金以外にも分割払いなどで資金調達が可能

– 返済義務が発生し、利息がかかる

– 信用状況によっては条件が厳しくなる(金利や担保)

– 財務状況に負担がかかる可能性

資本の部に対応する資金調達

– 長期的な安定資金として確保できる

– 返済義務がない(出資金として)

– 事業拡大に向けた投資家からの支援を得やすい

– 事業経過報告や配当金支払いなどが必要

– 経営権の希薄化(第三者割当増資など)

– 中小企業にとっては投資家の理解を得ることが難しい

 

事業向け資金調達でお困りの方はHTファイナンスへご相談ください

本記事で説明してきた、資産の部対応型、負債の部対応型、および資本の部対応型の各種手段は
それぞれ異なるメリット・デメリットを持ち、企業の状況や目的に応じて使い分ける必要があります。

しかし、情報が多岐にわたり、どの手法が自社に最適なのかを判断することは容易ではないかと思います。

そんな企業様に向けて、HTファイナンスは力になります。
HTファイナンスは、専門的な知見を活かし、顧客に合った資金調達方法を提案することで
事業基盤を強化し、安定した経営環境を実現へと導きます。

30年の実績をもとに、法人企業向けの融資をサポートしておりますので
ぜひお気軽にご相談くださいませ。

融資のご相談とお申し込みはこちらから

 

監修者 三坂大作

筆者 三坂大作

略歴

1961年 横浜市生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1985年 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行
1985年 同行 表参道支店:法人融資担当
1989年 同行 ニューヨーク支店:コーポレートファインス非日系 取引担当
1992年 三菱銀行退社 株式会社プラネス設立代表取締役就任
2021年 ヒューマントラスト株式会社 取締役就任

貸金業務取扱主任者を保有。
大手金融機関の法人担当を国内外で担当した後、お客様企業の経営戦略を中心としたコンサルティング事業を推進。
2021年にヒューマントラスト株式会社の統括責任者 取締役に就任。
上場企業・中小企業含めて300社以上、30年以上の支援実績がある法人企業向け融資のプロフェッショナル。

前へ

ファクタリングとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 

一覧へ戻る

経営者必見!借入と資本金の重要性を徹底解説 ~資金繰りで悩まない経営を目指して~

次へ