• TOP
  • 新着情報
  • 運送業を開業する際のポイント!準備資金の目安や開業の条件を解説

運送業を開業する際のポイント!準備資金の目安や開業の条件を解説

運送業の開業を検討しているものの、必要な資格や費用、手続きの流れがわからないという方は少なくありません。運送業は物流の要として需要が安定していますが、開業にはさまざまな要件があります。車両の購入費用や営業所の確保など、初期投資も大きいため、事前にしっかりとした準備と計画が必要です。

この記事では、運送業を開業するために必要な資格・要件、具体的な開業費用の目安、開業までの手続きの流れ、効果的な資金調達方法、そして開業後の経営を成功させるポイントについて詳しく解説します。運送業界での起業を考えている方にとって、一歩を踏み出すための具体的なロードマップとなる情報をご紹介します。

運送業開業に必要な資格や要件

運送業を開業するには、一般的なビジネスとは異なる特有の資格や要件があります。これらを満たさなければ、正式に営業を開始することができません。

運行管理者資格の取得

運送業を営むためには、運行管理者の選任が法律で義務付けられています。運行管理者は、ドライバーの安全運転や労務管理、車両の管理などを担当する重要な役職です。

運行管理者の必要人数は、保有する車両台数によって異なります。車両が5台から10台の場合は1名、11台から20台の場合は2名、以降10台増えるごとに1名の運行管理者が追加で必要となります。

運行管理者資格試験に合格しておくことは、開業準備の段階で最優先事項の一つです。この試験は年に2回開催されており、事前に受験しておかないと開業が大幅に遅れる可能性があります。

整備管理者の配置要件

運送業では、各営業所に最低1名以上の整備管理者を選任することが必要です。整備管理者は、車両の定期点検や整備計画の作成、整備記録の管理などを行います。

整備管理者になるには、自動車整備士の資格を持っているか、または整備管理者講習を受講する必要があります。外部の整備工場と契約を結び、そこの整備管理者に依頼することも可能ですが、自社内に配置できればコスト面でも管理面でも有利になります。

車両と乗務員の最低数確保

一般貨物自動車運送事業を開始するためには、最低でも車両5台以上(軽自動車を除く)を保有する必要があります。これは国土交通省が定める要件であり、営業許可申請時に確認されます。

また、事業を適切に運営するために、ドライバーも最低5名以上確保する必要があります。正社員だけでなく、アルバイトや派遣社員でも要件を満たすことができますが、安定した事業運営のためには、十分な人員を確保することが重要です。

車両数とドライバー数は、営業許可申請の必須条件となるため、開業前に確実に準備しておく必要があります。

運送業開業の費用相場

運送業を開業するには、相応の初期投資が必要です。ここでは、主な費用項目と金額の目安を紹介します。

車両購入費用

運送業の中核となるのは、トラックなどの車両です。最低5台の車両が必要となりますが、その費用は車種や新車・中古車の選択によって大きく変わります。

新車の2トントラックの場合、1台あたり約400万円〜600万円、4トントラックであれば600万円〜800万円程度が目安です。5台揃えると、新車購入の場合、約2,000万円〜4,000万円の費用が必要になります。

初期投資を抑えるなら、中古車の購入も選択肢の一つです。中古車であれば、新車の50〜70%程度の価格で購入できる場合が多いですが、整備状態や年式には十分注意が必要です。

リースやローンの活用も検討することで、初期費用を抑えながら必要な車両を確保することができます。特に、開業時はキャッシュフローの確保が重要であるため、一括購入ではなく分割払いの選択肢も視野に入れましょう。

事務所・駐車場の確保にかかる費用

運送業を営むには、事務所と車両を駐車するためのスペースが必要不可欠です。これらの費用は、立地条件によって大きく変動します。

事務所と駐車場を合わせた費用は、都市部では月額50万円以上、郊外でも月額20万円程度が目安となります。テナント契約時には、敷金・礼金などの初期費用も必要で、通常は賃料の3〜6ヶ月分を見込んでおく必要があります。

事務所と駐車場の合計で、約100万円〜500万円の初期費用が発生すると考えておくとよいでしょう。立地選びは将来的な事業拡大も視野に入れつつ、コスト面も考慮して慎重に行う必要があります。

許可申請や登記にかかる費用

運送業を開始するには、一般貨物自動車運送事業の許可を取得する必要があります。これには、登録免許税として約12万円の費用がかかります。

法人として開業する場合は、別途法人設立登記の費用も必要です。株式会社の場合、資本金の0.7%の登録免許税に加え、定款認証料5万円、その他諸費用を合わせて約20万円程度が必要となります。

これらの法的手続きには、行政書士や司法書士への依頼費用も発生することがあります。専門家に依頼する場合は、追加で10万円〜30万円程度見込んでおくとよいでしょう。

保険費用とその他諸経費

運送業では、さまざまな保険加入が必要です。自動車保険(任意保険)は車両ごとに加入する必要があり、5台分で年間約30万円〜60万円程度が目安です。

また、運送する荷物の破損などに備えた貨物保険も必要です。これは、荷物の種類や運送距離によって費用が変わりますが、年間10万円〜30万円程度を見込んでおくとよいでしょう。

その他、事務所の備品や事務機器の購入費用として、15万円〜30万円程度が必要になります。電話・インターネット回線の開設費用、会計ソフトの購入費なども忘れずに計上しておきましょう。

総額で見積もるとと、運送業の開業には約700万円〜1,800万円程度の資金が必要となります。資金計画を立てる際は、これらの費用に加えて、営業開始後3〜6ヶ月分の運転資金も確保しておくことが重要です。

運送業開業の具体的な手続き

運送業の開業には、一般的なビジネスと異なる特有の手続きが必要です。ここでは、開業までの具体的な流れを段階的に説明します。

営業許可申請の手続き

一般貨物自動車運送事業を始めるためには、まず国土交通省の地方運輸局に営業許可申請を行う必要があります。この申請には、事業計画書、資金計画書、車両の配置計画書、運行管理体制を示す書類など、多くの書類提出が求められます。

申請書類の作成には専門的な知識が必要なため、初めて申請する場合は行政書士に依頼することをおすすめします。行政書士への依頼費用は、15万円〜25万円程度が相場です。

申請から許可までの期間を把握しておくことも重要です。通常、申請から許可までは2〜3ヶ月程度かかりますので、開業予定日から逆算して準備を進める必要があります。

法令試験への対応

営業許可申請を行うと、運輸局から法令試験の受験通知が送られてきます。この試験は、運送業に関する法令や安全管理に関する知識を問うもので、経営責任者または運行管理者が受験します。

試験内容は道路運送法、貨物自動車運送事業法、道路交通法などの法令や、安全管理、労務管理に関する事項です。合格率は高くありませんので、十分な準備が必要です。

特に注意すべき点として、この法令試験に2回連続で不合格となると、申請そのものが取り消されてしまいます。その場合、最初から申請をやり直す必要があるため、テキストや過去問を活用して確実に合格できるよう準備することが重要です。

緑ナンバー取得

運送業の許可を取得した後、事業用のトラックに「緑ナンバー」を取得する手続きを行います。緑ナンバーは商用車であることを示す標識で、これがなければ正式に営業することはできません。

緑ナンバー取得の流れは、以下の通りです。

  1. 運輸局から営業許可証を受領する
  2. 運行管理者と整備管理者の選任届を提出する
  3. 陸運支局に自動車登録申請を行う
  4. 緑ナンバープレートを受け取る
  5. 運輸局に運輸開始届を提出する

これらの手続きには自動車検査証、自賠責保険証明書、所有者の印鑑証明書などが必要です。また、車両によっては構造変更などの手続きが必要となる場合もあります。

緑ナンバー取得は最終段階として計画し、許可取得後すぐに手続きを行えるよう準備しておくことが、スムーズな開業につながります。

税務署への届出

運送業の営業開始後、1か月以内に税務署へ開業届を提出する必要があります。個人事業主の場合は「個人事業の開業・廃業等届出書」、法人の場合は「法人設立届出書」を提出します。

また、従業員を雇用する場合は、「給与支払事務所等の開設届出書」や「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」なども提出する必要があります。

消費税については、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合、消費税の課税事業者となります。開業初年度は基準期間がないため原則として免税事業者となりますが、将来的な納税を見据えて計画を立てることが重要です。

税務関連の手続きは複雑なため、税理士に相談しながら進めることをおすすめします。適切な経理体制の構築は、後々のトラブル防止にもつながります。

運送業開業のための資金調達方法

運送業の開業には、数百万円から数千万円の資金が必要となります。ここでは、代表的な資金調達方法とそのポイントを解説します。

日本政策金融公庫の融資

日本政策金融公庫は、運送業を含む創業者向けにさまざまな融資制度を用意しています。特に「新創業融資制度」は自己資金要件が緩和されており、創業計画さえしっかりしていれば比較的融資を受けやすい制度です。

融資限度額は通常3,000万円(うち運転資金1,500万円)で、金利は年1.5%〜3.0%程度です。返済期間は設備資金で20年以内、運転資金で7年以内となっています。

創業計画書の作成に力を入れることが、融資成功のカギとなります。特に運送業の場合、具体的な受注見込みや収支計画、安全管理体制などを詳細に記載することで、審査での評価が高まります。

また、公庫の融資を受ける場合、申し込みから融資実行まで1〜2ヶ月程度かかることを考慮して、余裕をもったスケジュールで申請することが重要です。

信用保証協会付き融資

民間金融機関からの融資を検討する場合、信用保証協会の保証付き融資の活用も有効な選択肢となります。信用保証協会が保証人となることで、銀行からの融資が受けやすくなります。

特に、創業者向けの保証制度では、無担保で最大3,500万円、有担保で最大8,000万円の保証が可能です。保証料は年0.5%〜2.2%程度ですが、地域によっては保証料の一部を自治体が補助する制度もあります。

民間銀行の融資は、日本政策金融公庫に比べて金利が低い場合が多く、既存の取引銀行があれば審査もスムーズに進むことがあります。ただし、銀行によっては運送業への融資に消極的なケースもあるため、複数の金融機関に相談することをおすすめします。

助成金や補助金

運送業の開業時には、返済不要の助成金や補助金を活用することも検討すべきです。特に、環境に配慮した低公害車の導入や、デジタル技術を活用した業務効率化に関する補助金が活用できる可能性があります。

例えば、経済産業省の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」や、国土交通省の「環境対応車導入促進補助金」などが該当します。これらの補助金は申請時期や要件が限定されていることが多いため、常に最新情報をチェックすることが重要です。

複数の支援制度を組み合わせることで、より効果的な資金計画を立てることができます。例えば、車両購入には補助金を、運転資金には融資を活用するといった組み合わせが考えられます。

また、自治体独自の創業支援制度もありますので、事業所を設置予定の自治体の商工会議所や産業振興課などに相談することをおすすめします。

フランチャイズ加盟という選択肢

運送業を新規開業する方法として、フランチャイズ加盟という選択肢もあります。

フランチャイズ加盟のメリット

運送業のフランチャイズに加盟するメリットは複数あります。まず、すでに確立されたブランド名とビジネスモデルを利用できるため、顧客からの信頼を早期に獲得しやすい点が挙げられます。

また、本部からの営業支援により、開業直後から安定した仕事量を確保できる可能性が高まります。独立開業の場合、荷主の開拓には時間がかかりますが、フランチャイズでは本部からの仕事の斡旋があるため、収益の見通しが立てやすくなります。

さらに、運送業特有の複雑な許認可手続きや車両調達、システム導入などについても本部のサポートを受けられます。開業経験のない方でも、比較的スムーズに事業をスタートさせることが可能です。

運営ノウハウを短期間で習得できる点も大きなメリットです。配車や料金設定、安全管理、車両メンテナンスなど、運送業に必要なスキルを本部の研修やマニュアルを通じて学ぶことができます。

フランチャイズ加盟のデメリット

一方で、フランチャイズ加盟には留意すべきデメリットもあります。最も大きなのは、ロイヤリティの支払いです。売上の一定割合(通常5〜10%程度)をロイヤリティとして本部に支払う必要があるため、その分利益率は低下します。

また、本部の方針や規則に従う必要があり、経営の自由度が制限されることもデメリットの一つです。営業エリアの制限や料金設定の制約などがあり、独自の経営戦略を展開しにくい場合があります。

加盟時には加盟金が必要となるケースが多く、これは返還されない費用です。一般的な運送業フランチャイズの場合、加盟金は200万円〜500万円程度が相場となっています。

さらに、契約期間が定められており、更新時には追加費用が発生するケースもあります。また、契約解除の条件も厳格に定められていることが多いため、契約内容を事前に詳細確認することが非常に重要です。

フランチャイズを選ぶ際のポイント

運送業のフランチャイズを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントをチェックする必要があります。まず最も重要なのは、加盟後の収益性です。本部の提示する収支計画が現実的かどうか、既存加盟店の実績などを確認しましょう。

また、サポート体制の充実度も重要な選定基準です。営業支援、運行管理、車両調達、ドライバー教育など、どのような分野でどの程度のサポートが受けられるのかを具体的に確認すべきです。

契約内容の透明性も重要です。加盟金やロイヤリティの金額、契約期間、解約条件などが明確に示されているか確認しましょう。また、追加費用が発生する可能性についても事前に把握しておく必要があります。

そのため、既存加盟店への訪問・ヒアリングを行うことをおすすめします。実際に加盟している事業者の声を聞くことで、広告やパンフレットだけではわからない実態を把握することができます。特に、加盟後の支援体制や収益状況について、具体的に質問することが重要です。

まとめ

運送業の開業には、運行管理者や整備管理者の資格取得、車両5台以上の確保、必要な許認可取得など、さまざまな準備が必要です。また、車両購入費や事務所・駐車場費用、各種許認可費用など、約700〜1,800万円の初期投資も必要となります。

計画的な資金調達、効率的な業務運営、安全管理体制の構築が、成功するために大切になります。独立開業が難しい場合も、フランチャイズ加盟という選択肢があります。運送業は物流の要として需要は安定していますが、綿密な準備と堅実な経営が求められる業種です。事前の情報収集を十分に行い、計画も立てたうえで、開業へ動き出しましょう。

最短即日融資!HTファイナンスヒューマントラストのビジネスローン

運送業の開業には多額の資金が必要ですが、従来の金融機関では審査に時間がかかり、必要なタイミングで資金調達できないケースも少なくありません。車両購入や事務所確保、運転資金の準備など、スピーディーな資金調達が事業成功のカギを握ります。

HTファイナンスは、東大法学部出身で三菱銀行での実務経験を持つ三坂大作が統括責任者として、企業の資金調達と経営戦略の支援に取り組んでいます。

銀行実務とコンサルティングで培った経験を活かし、融資やファクタリング、財務改善など、お客様の経営課題に合わせた最適な解決策をご提案しています。また、スピーディーで柔軟な審査体制により、成長に必要な資金を迅速にお届けできます。

お申し込みに必要な書類は最小限に抑え、オンラインやお電話でのやり取りを中心に進めていますので、経営者の皆様の負担を大きく減らすことができます。

事業拡大のチャンスを逃さないために、まずはお気軽にHTファイナンスにご相談ください。

まずは借入枠診断からお申込み

 



前へ

障害者雇用の助成金は一人当たりどれくらい支給される?対象者や申請方法についても解説

一覧へ戻る

コンサルタントの報酬と単価の決め方をわかりやすく解説!相場価格と契約形態も紹介

次へ