• TOP
  • 新着情報
  • ビジネスローンの有価証券担保融資とは?メリット・デメリット、手順や利用時の注意点を解説

ビジネスローンの有価証券担保融資とは?メリット・デメリット、手順や利用時の注意点を解説

事業の成長や運転資金確保に頭を悩ませる経営者の方々にとって、資金調達の選択肢を広げることは重要な課題です。特に緊急の資金需要がある場合や、銀行融資の審査が厳しい状況では、既に保有している資産を活用した調達方法も検討する価値があります。

有価証券担保融資は、市場性のある株式や債券などの金融資産を担保にして事業資金を調達できる方法で、通常のビジネスローンよりも低金利で迅速に資金を確保できる可能性があります。また、資産を売却せずに資金化できるため、配当や株主優待などの権利を維持したまま資金調達が可能です。

この記事では、有価証券担保融資の基本から具体的な利用手順、選ぶべき金融機関の条件、そして利用時の注意点まで徹底解説します。資金調達の新たな選択肢として、ぜひ参考にしてください。

有価証券担保融資とは

有価証券担保融資は、企業や個人事業主が保有する有価証券を担保として、金融機関から資金を借り入れる方法です。一般的なビジネスローンとは異なる特徴を持っています。

有価証券担保融資の基本

有価証券担保融資とは、株式や債券、投資信託などの市場性のある有価証券を金融機関に担保として差し入れ、その時価の一定割合を借り入れることができる融資方法です。担保となる有価証券は、その評価額に応じて融資額が決定されます。

担保として利用できる有価証券には、主に以下のようなものがあります。株式(上場企業の株式が中心)は最も一般的な担保資産で、特に流動性の高い大型株は高い評価を受けやすい傾向があります。債券(国債、地方債、社債など)も、安定した価値を持つ担保として広く受け入れられています。

また、投資信託(公募型の投資信託が中心)も担保として活用でき、特に純資産額が大きく流動性の高いファンドが適しています。さらに、一部の金融機関では外国証券(海外上場株式など)も担保として認めているケースがあります。

担保価値の評価基準を事前に確認することが重要です。金融機関によって担保として認められる有価証券の種類や評価割合が異なるため、保有している有価証券が実際に担保として適しているかどうかを事前に確認しておくべきでしょう。

有価証券担保融資の仕組み

有価証券担保融資は、保有する有価証券の価値に応じて融資を受けられる仕組みです。融資を受ける際は、有価証券を金融機関に担保として差し入れます。この際、有価証券自体の所有権は借り手に残りますが、担保設定により金融機関に対して優先的な権利が生じます。

融資金額は、一般的に有価証券の時価の50%~80%程度となります。例えば、1,000万円相当の株式を担保とした場合、500万円~800万円程度の融資を受けられる可能性があります。ただし、この掛け目(担保掛目)は、金融機関や有価証券の種類によって異なります。

融資期間中も、有価証券の所有者としての権利(議決権、配当、株主優待など)は基本的に維持できます。これは、有価証券を売却して資金化する方法と比較した場合の大きなメリットの一つです。

返済は通常、元金と利息を分割して返済していくか、期間満了時に一括返済する方法があります。返済完了後は、担保設定が解除され、有価証券に対する制限がなくなります。

しかし、担保価値の変動に注意する必要があります。有価証券の価格が下落した場合、追加担保の差し入れを求めらることや、最悪の場合は担保の処分(売却)が行われる可能性があるためです。

有価証券担保融資のメリット

有価証券担保融資には、他の資金調達方法と比較して多くの利点があります。事業資金を効率的に調達したい経営者にとって、以下のようなメリットが大きな魅力となります。

低金利での資金調達が可能

有価証券担保融資の最大の魅力の一つは、一般的なビジネスローンと比較して低金利で資金調達できる点です。通常のビジネスローンでは年利5%~15%程度が一般的ですが、有価証券担保融資では、年利1%~4%程度での融資が可能な場合が多くあります。

この金利差が生じる理由は、有価証券という明確な担保があることで、金融機関側のリスクが大幅に軽減されるためです。万が一返済が滞った場合でも、担保となっている有価証券を換金して回収できるため、金融機関は比較的安心して融資を行えます。

例えば、1,000万円を3年間借り入れる場合、年利10%の無担保ビジネスローンと年利2%の有価証券担保融資では、3年間で約240万円もの利息差が生じることになります。この差額は、事業の収益性に大きく影響する可能性があります。

また、複数の金融機関で金利を比較検討することが賢明です。同じ有価証券を担保としても、金融機関によって提示される金利条件は異なる場合があります。少しでも有利な条件で融資を受けるためには、複数の金融機関から見積もりを取得して比較することをおすすめします。

スピーディーな資金調達が可能

有価証券担保融資は、一般的なビジネスローンと比較して審査期間が短く、資金調達までのスピードが速い傾向にあります。通常のビジネスローンでは事業内容や財務状況の詳細な審査が必要となり、審査完了まで数週間かかることも少なくありません。

一方、有価証券担保融資では、主な審査対象は担保となる有価証券の価値や流動性に集中するため、審査プロセスが簡略化されています。そのため、最短で即日~1週間程度での融資実行が可能なケースも多いものです。

特に、急な資金需要が発生した場合や、ビジネスチャンスを逃さないために迅速な資金調達が必要な状況では、このスピード感は大きなメリットとなります。例えば、魅力的な投資案件への参加資金や、突発的な設備故障の修理費用など、緊急を要する資金需要に対応できます。

事前に必要書類を準備しておくことで、さらに審査期間を短縮できる可能性があります。一般的には本人確認書類、有価証券の残高証明書、簡単な資金使途説明書などが必要となるため、これらを事前に用意しておくとよいでしょう。

有価証券の権利を維持したまま資金調達できる

有価証券担保融資の重要なメリットとして、保有する有価証券を売却せずに資金を調達できる点が挙げられます。有価証券を担保として差し入れても、その所有権自体は借り手に残るため、株主としての基本的な権利を維持できます。

例えば、株式を担保とした場合、株主総会での議決権行使や配当金の受け取りといった株主としての基本的な権利は継続して享受できます。また、株主優待などの特典も引き続き受け取ることが可能です。このため、長期保有している銘柄や、将来的な値上がりが期待できる銘柄を手放さずに済みます。

また、有価証券を売却した場合に発生する譲渡益課税を回避できるというメリットもあります。特に、含み益の大きい有価証券を保有している場合、売却すると多額の税金が発生する可能性があります。有価証券担保融資なら、この税負担を先送りにしながら必要な資金を調達できます。

また、長期的な資産形成戦略を維持できる点も見逃せません。将来性を見込んで保有している有価証券を売却せずに済むため、長期的な投資戦略や資産形成計画を変更する必要がありません。市場が一時的に低迷している時期でも、回復を待ちながら必要な資金を確保できます。

資金用途の自由度が高い

有価証券担保融資は、借入金の使途に関する制限が比較的少ないという特徴があります。一般的な制度融資やビジネスローンの中には、設備投資や運転資金など、使途が限定されているものも少なくありません。

有価証券担保融資では、基本的に事業に関連する資金であれば、幅広い用途に活用できます。例えば、新規事業の立ち上げ資金、事業拡大のための投資資金、運転資金の補填、既存借入金の借り換え、M&A資金など、さまざまな目的に対応できます。

この自由度の高さは、変化の激しいビジネス環境において、柔軟な資金戦略を立てるうえで大きな強みとなります。突発的な事業機会に迅速に対応したり、予期せぬ資金需要に対処したりする際に、使途の制限に悩まされることなく資金を活用できます。

事業計画の変更に柔軟に対応できる点は、事業運営において大きなメリットです。当初の資金使途と異なる用途に資金を振り向ける必要が生じた場合でも、基本的には使途変更の手続きなしに対応できるケースが多いため、経営判断の自由度が保たれます。

有価証券担保融資を利用する手順

有価証券担保融資を活用するための、具体的な流れを解説します。初めて利用する方でも分かりやすいよう、ステップごとに詳しく説明していきます。

金融機関の選定

有価証券担保融資を利用する最初のステップは、適切な金融機関を選ぶことです。全ての金融機関が有価証券担保融資を取り扱っているわけではなく、また条件も機関によって大きく異なるため、比較検討が重要となります。

まず、都市銀行や地方銀行などの銀行系金融機関は、比較的低金利で融資を受けられる可能性が高くなります。特に、取引実績のある銀行であれば、融資条件が有利になるケースもあります。ただし、審査基準が厳格で、担保として認められる有価証券の種類が限定される傾向があります。

証券会社が提供する担保ローンも選択肢の一つです。特に、口座を開設している証券会社であれば、保有証券をそのまま担保にできる便利さがあります。また、株式や投資信託などの幅広い有価証券を担保として認めるケースが多くあります。

ノンバンク(消費者金融や事業者向け貸金業者)も、有価証券担保融資を提供していることがあります。銀行よりも柔軟な対応が期待できる半面、金利が高めに設定されている傾向があります。

自社の保有する有価証券に合った金融機関を選定することが、成功のカギです。例えば、特定の業種の株式を多く保有している場合は、その業界に詳しい金融機関を選ぶと、担保評価が有利になる可能性があります。また、外国証券を担保としたい場合は、海外証券取引に強い金融機関を選ぶべきでしょう。

必要書類の準備から申込までの流れ

有価証券担保融資を申し込む際には、一般的なビジネスローンと比較して必要書類は少ないものの、いくつかの重要書類を準備する必要があります。事前に必要書類を揃えておくことで、スムーズな手続きが可能になります。

基本的な必要書類としては、本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)、法人の場合は登記簿謄本や印鑑証明書などの基本的な書類が必要です。また、有価証券の所有を証明する書類も重要で、証券会社の取引残高報告書や保管証などが該当します。

金融機関によっては、簡単な資金使途説明書や事業計画書の提出を求められることもあります。特に融資額が大きい場合や、事業性資金として借り入れる場合は、より詳細な資金計画の提示が必要になるケースが多くあります。

申込方法は金融機関によって異なりますが、近年ではオンライン申込に対応している金融機関も増えています。ただし、最終的な契約締結時には来店が必要なケースが多いため、事前に確認しておくとよいでしょう。

有価証券の最新の評価額を事前に把握しておくことが重要です。市場価格が日々変動する有価証券を担保とする場合、申込時と実際の融資実行時で担保価値が変わる可能性があります。特に株式市場が不安定な時期は、この点に注意が必要です。

審査から融資実行までの流れ

有価証券担保融資の審査から融資実行までの流れは、一般的なビジネスローンよりもシンプルで迅速です。主な審査ポイントは、担保となる有価証券の価値と流動性であり、事業の収益性や返済能力の審査比重は相対的に低くなります。

審査プロセスの最初のステップでは、提出された書類の確認と担保となる有価証券の評価が行われます。有価証券の種類や市場性、価格変動リスクなどを総合的に判断し、担保掛目(融資可能な割合)が決定されます。

次に、借入希望者の信用情報のチェックが行われます。個人信用情報機関や企業信用情報機関に登録されている情報をもとに、過去の返済履歴や債務状況などが確認されます。ただし、担保があるため、無担保ローンほど厳格なチェックではありません。

審査通過後は、契約手続きに移ります。担保設定のための手続きが必要で、有価証券に質権を設定するための書類作成や手続きが行われます。この際、担保となる有価証券の証券会社での口座情報などが必要となります。

担保設定完了後速やかに融資が実行されるのが一般的です。審査から融資実行までの期間は、金融機関や担保の種類によって異なりますが、最短で即日~1週間程度で完了するケースが多いものです。特に、証券会社で既に口座を持っている場合や、銀行との取引実績がある場合は、手続きがさらにスムーズに進むことが期待できます。

有価証券担保融資を利用する際の注意点

有価証券担保融資は多くのメリットがある一方で、特有のリスクも存在します。これらのリスクを理解し、適切に管理することで、安全に融資を活用することができます。

担保価値の変動に向けて対策をとる

有価証券担保融資の最大のリスクは、担保となる有価証券の価値が市場変動によって下落するリスクです。株式や投資信託などの有価証券は、経済情勢や市場心理によって価格が大きく変動することがあります。

担保価値が下落すると、金融機関から追加担保の差し入れを求められる可能性があります。これは「マージンコール」と呼ばれ、担保価値が一定水準を下回った場合に発生します。追加担保を差し入れられない場合、最悪のシナリオでは担保の強制売却が行われることもあります。

このリスクへの対策としては、借入額を担保評価額の上限まで設定しないことが挙げられます。例えば、担保評価額の70%まで借りられる条件でも、50%程度に抑えておくことで、価格変動に対するバッファを確保できます。

市場変動に強い複数の有価証券を組み合わせることも効果的な戦略です。例えば、株式だけでなく債券も担保に加えることで、株式市場が下落した場合のリスクを分散できます。業種や地域の異なる複数の株式を担保とすることも、リスク軽減に役立ちます。

追加担保要求や強制売却のリスク

有価証券担保融資を利用する際に理解しておくべき重要なリスクとして、追加担保要求と強制売却があります。これらは、担保価値の急激な下落時に発生する可能性があります。

追加担保要求(マージンコール)は、担保となっている有価証券の価値が一定水準を下回った場合に発生します。例えば、担保維持率が140%と設定されている場合、担保価値が借入残高の1.4倍を下回ると追加担保の差し入れを求められます。この追加担保を用意できないと、より厳しい状況に発展する可能性があります。

強制売却(ロスカット)は、担保価値がさらに下落し、金融機関が設定した最低維持率(例えば120%など)を下回った場合に実施されることがあります。この場合、借り手の意思に関わらず、金融機関の判断で担保有価証券が売却されます。市場が急落している状況での強制売却は、大きな損失につながる可能性があります。

緊急時の追加資金調達手段を事前に確保しておくことが重要です。例えば、別の資産を担保にできる状態にしておく、または信用枠(コミットメントライン)を設定しておくなどの対策が考えられます。また、市場の急変時に備えて、ある程度の現金や流動性の高い資産を別途保有しておくことも有効な戦略です。

金利変動リスクへの対応

有価証券担保融資を利用する際には、金利変動リスクも考慮する必要があります。特に、変動金利で融資を受ける場合、市場金利の上昇によって返済負担が増加する可能性があります。

変動金利型の融資では、基準金利(短期プライムレートやTIBORなど)に連動して金利が見直されるケースが多くあります。近年は低金利環境が続いていますが、経済状況の変化によって金利が上昇するシナリオも想定しておくべきでしょう。例えば、1%の金利上昇は、1億円の借入に対して年間100万円の追加負担になります。

このリスクへの対応策としては、まず固定金利型の融資を選択することが考えられます。金利が若干高くなる可能性はありますが、返済計画が立てやすく、金利上昇リスクをヘッジできます。

借入期間と金利タイプを事業計画に合わせて選択することが重要です。短期的な資金需要であれば、変動金利でも影響は限定的ですが、長期的な設備投資資金などは、固定金利が適しているケースが多いでしょう。また、一部固定・一部変動といった組み合わせも検討価値があります。特に、金利上昇が予想される環境では、早めに固定金利への切り替えや借り換えを検討することも戦略的な選択肢となります。

税務上の考慮点

有価証券担保融資を活用する際には、税務面での考慮も重要です。適切に対応することで、税務上のメリットを最大化し、リスクを軽減することができます。

まず、事業資金として借り入れた場合、支払利息は原則として経費(損金)として計上できます。これにより、課税所得を減少させる効果があります。ただし、個人的な使途に充てた場合は、経費としての計上が認められないケースがあるため、注意が必要です。

担保に供している有価証券から得られる配当金や利子については、通常通り課税されます。例えば、上場株式の配当金に対する課税(配当所得)や、債券の利子に対する課税(利子所得)は、担保設定の有無に関わらず発生します。

万が一、返済できずに担保有価証券が処分された場合、譲渡所得税の課税対象となる可能性があります。特に、含み益の大きい有価証券の場合、処分益に対して20%(復興特別所得税を含めると20.315%)の税率で課税されるため、返済計画を立てる際には、この点も考慮すべきです。

そのため、税理士に相談して最適な資金調達方法を検討することをおすすめします。特に事業規模が大きい場合や、複数の資金調達手段を検討している場合は、税務の専門家のアドバイスを受けることで、税負担を最適化できる可能性があります。有価証券担保融資と他の資金調達方法(売却、リースバック等)を、税務面から比較検討することも有益です。

優良な有価証券担保融資先の選び方

有価証券担保融資を利用する際は、自社のニーズに合った適切な金融機関を選ぶことが成功のカギとなります。複数の金融機関の条件を比較検討し、最適なパートナーを見つける方法を解説します。

金融機関別の特徴とサービス比較

有価証券担保融資を提供する金融機関には、銀行、証券会社、ノンバンクなど、さまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。まず、銀行(都市銀行、地方銀行、信用金庫など)は、一般的に低金利での融資が可能で、安定した融資条件を提供する傾向があります。ただし、審査基準が厳格で、担保として認められる有価証券の種類が限定される場合があります。

証券会社が提供する証券担保ローンは、特に株式や投資信託を担保とする場合に便利です。既に口座を持っている場合、担保設定の手続きが簡便で、審査も比較的スピーディーに行われます。また、担保として認められる有価証券の種類も幅広い傾向があります。

ノンバンク系の金融機関は、銀行や証券会社と比較して柔軟な対応が期待できる場合があります。審査基準が比較的緩やかで、銀行などでは担保として認められにくい有価証券でも融資を受けられる可能性があります。その代わりに、金利が高めに設定されていることが多くあります。

自社のニーズに最適な金融機関タイプを選定することが重要です。例えば、低金利を重視するなら銀行、迅速な融資実行を求めるなら証券会社、柔軟な条件を求めるならノンバンクといった具合に、優先する条件に基づいて選択するとよいでしょう。また、既存の取引関係がある金融機関があれば、そこから優先的に検討するのも一つの方法です。

担保評価方法と融資限度額の比較

有価証券担保融資を選ぶ際の重要なポイントの一つが、担保の評価方法と融資限度額(担保掛目)です。金融機関によってこれらの条件は大きく異なるため、比較検討が必要です。

担保評価の方法としては、時価評価が一般的ですが、評価のタイミングや基準には違いがあります。例えば、申込時の時価を基準とする場合もあれば、直近の一定期間の平均価格や最低価格を採用する場合もあります。変動の大きい株式などを担保とする場合、この評価基準の違いが融資可能額に大きく影響します。

融資限度額(掛目)は、有価証券の種類によって異なります。一般的に、国債など安全性の高い有価証券では時価の80%程度、上場株式では50〜70%程度が目安となりますが、金融機関によって差があります。また、同じ上場株式でも、大型株と中小型株で掛目が異なるケースも少なくありません。

保有する有価証券の特性に合った評価基準を提供する金融機関を選ぶことが賢明です。例えば、値動きの大きい成長株を多く保有している場合は、時価変動に対して柔軟な評価基準を採用している金融機関が適している可能性があります。逆に、安定した配当株が中心の場合は、高い掛目を提供している金融機関を選ぶと融資可能額が増える可能性があります。複数の金融機関に相見積もりを取り、自社の保有する有価証券に対してどのような評価を行うか確認するとよいでしょう。

金利条件と手数料の透明性

有価証券担保融資を選ぶ際は、表面的な金利だけでなく、手数料や諸費用も含めた総コストを比較することが重要です。金融機関によって、表示される金利条件や手数料体系には大きな違いがあります。

金利条件については、固定金利と変動金利の選択肢があるかどうか、変動金利の場合は金利見直しのタイミングと基準となる指標(短期プライムレート、TIBOR等)を確認すべきです。また、金利優遇条件(取引実績や担保価値に応じた優遇など)があるかどうかも重要なポイントです。

手数料としては、契約時の事務手数料、担保設定費用、繰上返済手数料などが発生する可能性があります。中には「金利は低いが手数料が高い」というケースもあるため、総コストでの比較が必要です。特に繰上返済手数料は、事業の収益が好調で早期返済を検討する可能性がある場合に、重要な検討ポイントとなります。

契約前に総コストを明確に把握することが肝心です。金融機関に対して、想定される融資条件での返済シミュレーションを依頼したり、発生し得る全ての費用について明細の提示を求めたりするとよいでしょう。また、契約書の細部までしっかりと確認し、不明点があれば質問することも重要です。特に、「みなし利息」のような実質的なコスト増加要因がないかどうかのチェックも忘れないようにしましょう。

サポート体制と緊急時の対応

有価証券担保融資は、市場変動によって担保価値が変動するため、金融機関のサポート体制や緊急時の対応方針も重要な選定基準です。特に、担保価値が下落した場合の対応が明確で柔軟な金融機関を選ぶことが望ましいでしょう。

まず、担保価値の変動に関する情報提供体制が整っているかを確認することが重要です。例えば、担保価値が一定水準を下回った場合の通知システムがあるか、定期的な担保評価レポートが提供されるかなどが選定ポイントとなります。こうしたシステムがあれば、対応の必要性を早期に認識できます。

追加担保要求(マージンコール)発生時の猶予期間や、交渉の余地についても確認しておくべきです。例えば、追加担保差し入れまでの猶予期間が長い、または一時的な市場変動の場合は柔軟に対応してくれるといった点が、緊急時の資金繰りに大きく影響します。

担当者の専門知識とサポート姿勢を評価することも大切です。特に、金融市場に精通した担当者がいる金融機関であれば、市場変動時のアドバイスや対応策の提案など、付加価値の高いサポートを期待できます。事前相談の段階で、担当者の対応や専門知識のレベルを確認しておくとよいでしょう。また、緊急時の連絡体制(休日や時間外の対応など)についても確認しておくことをおすすめします。

まとめ

有価証券担保融資は、保有する株式や債券などの金融資産を活用して事業資金を調達できる、有効な手段です。通常のビジネスローンと比較して、低金利での借入が可能で、審査も比較的迅速に進む点が大きな魅力となっています。また、有価証券を売却せずに資金化できるため、株主としての権利や将来の値上がり益を維持したまま資金調達ができます。

一方で、担保価値の変動による追加担保要求や強制売却のリスク、金利変動リスクなどに注意が必要です。これらのリスクを適切に管理するためには、借入額を担保評価額の上限まで設定しない、複数の有価証券を組み合わせるなどの対策が効果的です。また、金融機関選びの際には、単に金利の低さだけでなく、担保評価方法や緊急時のサポート体制なども含めて総合的に判断することが重要です。資金調達を検討する際は、自社の経営状況や保有資産の特性に合わせて、最適な融資条件を提供する金融機関を選びましょう。

最短即日の無担保無保証融資!HTファイナンスのビジネスローン

有価証券担保融資は魅力的な選択肢ですが、有価証券を保有していない、または、担保に出したくないがローンを利用したい場合に、無担保無保証の融資がおすすめです。特に、迅速な資金調達が必要な場合は、審査のスピードも重要なポイントとなります。

HTファイナンスは、東大法学部出身で三菱銀行での実務経験を持つ三坂大作が統括責任者として、企業の資金調達と経営戦略の支援に取り組んでいます。

銀行実務とコンサルティングで培った経験を活かし、無担保無保証の融資やファクタリング、財務改善など、お客様の経営課題に合わせた最適な解決策をご提案しています。また、スピーディーで柔軟な審査体制により、成長に必要な資金を迅速にお届けできます。

お申し込みに必要な書類は最小限に抑え、オンラインやお電話でのやり取りを中心に進めていますので、経営者の皆様の負担を大きく減らすことができます。

事業拡大のチャンスを逃さないために、まずはお気軽にHTファイナンスにご相談ください。

まずは借入枠診断からお申込み

 



前へ

ビジネスローンにおける不動産担保融資の特徴は?担保に置くための要件や審査基準についても解説

一覧へ戻る

ビジネスローンで車担保融資はできる?乗ったままでも利用可能?

次へ