2025.05.30
資金調達コストと計算方法について徹底解説!
企業が適切に資金を調達するためには、調達に伴うコストを正しく理解して管理することが不可欠です。資金を用意する過程では、利息や手数料などの直接的な費用だけでなく、将来的な機会費用やリスク要因も踏まえて総合的に判断する必要があります。これらのコストを軽減することは、安定した経営基盤を築くうえで大きく寄与するでしょう。
コストを正しく把握しておけば、自社のキャッシュフローをより正確に予測でき、必要以上の負担を回避する戦略を立てやすくなります。とくに債務返済や手数料の負担が大きくなると、企業の運営に影響を及ぼしやすいので注意が必要です。中長期的な視点で費用対効果を考慮しながら、最適な調達手段を選択することが欠かせません。
本記事では、資金調達コストの基本的な概要から計算方法までを幅広く解説します。あわせて、コストを抑えながら資金を確保する具体的な方法についても触れるので、企業運営の参考にしてみてください。これから資金調達を検討している方にとって、意思決定に役立つ情報を提供できれば幸いです。
資金調達コストとは
資金調達コストとは、企業が外部から資金を確保するために発生する利息や手数料、あるいは機会費用などを総合的に示す概念です。
資金調達を行う際には、銀行融資や社債などのように明確に金利が設定される負債だけでなく、株式発行や内部留保活用などによる費用負担も考慮する必要があります。これらの支出は企業のキャッシュフローに影響を及ぼすだけでなく、長期的には経営戦略そのものを左右しかねません。特に返済や配当金の支払いを伴う場合は、事業リスクと照らし合わせながら慎重に検討することが重要です。
コストが高騰すると、借入返済の圧迫や株主への報酬増加など、経営面での負担が大きくなります。一方、適切にコストをコントロールすれば、利息や配当の負担を最小限に抑えながら事業資金を調達できるでしょう。経営効率の向上や投資機会の拡大にもつながるため、企業規模の大小を問わず注目すべきポイントです。
また、資金調達コストは企業の信用力や業界動向によっても変動します。金利水準だけでなく、自社の借入実績や返済実績、業績見通しも考慮され、総合評価によって条件が決定されるケースが一般的です。日頃から財務体質の強化に努め、金融機関や投資家からの信頼を高めておくことが、コスト削減につながります。
ば効率は悪いです。 逆に、調達可能額がそれほど大きくないとしても、それによって資金需要をカバーでき、なおかつ資金調達コストが安いならば、それが最良の方法と言えるでしょう。
信用が大きく影響する
資金調達コストを左右する最大の要因は、自社の信用です。自社の信用とは、
- 業績が安定しており、着実に稼いでいる
- 財務が安定しており、資金繰りの安定性が高い
- 業績が安定して伸びており、稼ぐ力が高い
- 多額の手元資金を確保しており、倒産の危険がほとんどない
- 業歴が長く、優良顧客を多数持っている
など、様々です。 企業の信用力は、資金調達コストに直接的な影響を与えます。信用が高い企業ほど、より低金利や優遇された条件を引き出しやすく、資金を有利な条件で確保できます。逆に信用が低いと利息や手数料が高く設定されやすいため、日頃から透明性の高い経営や健全な財務管理を心掛けることが大切です。
資金調達コストの種類
資金調達コストには、主に負債コスト、株主資本コスト、内部留保コストの3つが挙げられます。
負債コスト
最も代表的な資金調達コストは、負債コストです。これは、銀行融資や社債発行などによって資金を調達するときのコストです。分かりやすいのが、借入の返済に伴う支払利息です。 多くの会社は、銀行などから融資を受けることで資金繰りを回しています。したがって、負債コストは自社の資金繰りに密接なコストであり、特に意識すべきものといえます。
株主資本コスト
株主資本コストとは、株式発行によって資金調達する際にかかるコストです。 発行株式を引き受けた人は株主となります。株主が株式を引き受ける目的は、将来的な株価の上昇(会社価値の上昇)による売却益と、保有株式数に応じて支払われる配当金です。このうち、配当金が株主資本コストにあたります。 株式非公開の中小企業で、経営者が株式を100%保有している会社も多いことでしょう。そのような会社は、株主資本コストはゼロです。 しかし、投資会社や個人投資家の投資を受けた場合には、配当金が資金調達コストとなります。
内部留保コスト
融資や出資など、外部から資金調達することを「外部資金調達」といいます。これに対し、内部留保(自社の内部に留保している資産)から調達するのが「内部資金調達」です。 内部留保=利益の留保と考えられがちですが、広義には利益の留保に留まりません。自社の内部に留保している債権や在庫、その他の固定資産も内部留保と考えます。 売掛金や手形、不要資産、過剰在庫などの内部留保を売却して資金を調達するとき、それに伴うコストを「内部留保コスト」といいます。具体的には、
- 手形割引に伴う割引料
- ファクタリングに伴うファクタリング手数料
- 不動産売却に伴う仲介手数料
などが内部留保コストにあたります。
資金調達コストの計算方法
資金調達コストの算定には、負債・株主資本・内部留保といった要素をそれぞれ数値化し、加重平均をとるのが一般的です。
一般的に、企業全体の資金調達コストをWACC(加重平均資本コスト)として表すことがあります。これは負債コストと株主資本コストを、その構成比率に応じて総合的にまとめたものです。自社の資本構成を把握し、定期的に見直していくことで、無理のない調達戦略を維持することができます。
計算時には、金融機関からの見積もり金利や株主の期待利回りなど、客観的な情報をもとに将来のコストを予測します。借入金の場合は変動金利であれば金利上昇リスクも考慮しなければなりません。長期視点でコストを最適化するためには、慎重にシミュレーションを行うことが不可欠です。
企業によって資金余力や財務状況は異なるため、標準的な計算式だけでなく、自社の経営実態に即した指標を用いることが望ましいでしょう。新規事業や設備投資など、将来の投資リスクも含めて考慮することで、より正確なコスト評価が可能になります。事業環境が変われば金利情勢も変動するため、定期的な見直しを怠らないようにしましょう。
負債コストの計算方法
負債コストは、融資を受ける際の金利や社債発行時のクーポン率などが主な要素になります。例えば借入金に対しては、貸出金利だけでなく、事務手数料や保証料などの付随費用も合算する必要があります。これらを加重平均して算出することで、企業が支払うべき総合的な負債コストが見えてきます。
負債コストは、以下のように計算します。
負債コスト=借入額×支払金利×(1-法人税率)
この計算式に当てはめ、負債コストの計算を複数の場合でシミュレーションしてみましょう。 法人税率は30%として計算します(財務省が、法人実効税率は29.74%としているため)。
銀行のプロパー融資
全ての会社にとって、最も望ましい資金調達方法は、銀行によるプロパー融資です。プロパー融資は、銀行が貸し倒れリスクを全て引き受ける融資形態です。このため、信用が高い会社でなければプロパー融資を受けることはできません。 それだけに、プロパー融資に適用される金利は一般の銀行融資より低めです。1%前後の金利設定で融資を受けられることもあります。ここでは、1.5%として試算してみましょう。
負債コスト=3,000万円×1.5%×(1-30%)=31万5,000円
信用保証協会の保証付融資
銀行からプロパー融資を受けられない会社では、信用保証協会の保証付融資を受けるのが一般的です。 信用保証協会の保証をつけておくと、返済不能に陥った場合に、信用保証協会が自社に代わって残債の8割を弁済します。これにより、銀行は損失の大部分をカバーできるため、融資の実行が容易になります。 理想としては、資金調達コストが安いプロパー融資を受けたいところですが、それだけの信用がない会社も多いものです。特に、中小企業にはプロパー融資のハードルが高く、信用保証協会の活用が欠かせません。 信用保証協会の保証付融資を受ける場合、銀行の設定金利は2%程度になるのが一般的です。したがって資金調達コストは、
負債コスト=3,000万円×2%×(1-30%)=42万円
となります。 ただし、42万円という資金調達コストは銀行の金利に対するものです。信用保証協会に支払う保証料を加味しなければなりません。保証料率は0.45~1.90%の範囲内で変動します。 保証料率が1.5%であれば、保証料は、
保証料=3,000万円×1.5%=45万円
です。したがって、保証付融資の負債コストの合計は、
負債コスト=42万円+45万円=87万円
となります。 信用保証協会の保証を受ける際には、保証料の負担も合わせて資金調達コストを計算しましょう。 保証料の仕組みはこちらで解説しています
日本政策金融公庫の融資
プロパー融資、保証付融資のいずれも受けられない会社は、日本政策金融公庫からの融資を考えます。 日本政策金融公庫は、政府が100%出資する公的金融機関です。民間金融機関の補完的役割を担っており、民間金融機関では対応できない融資案件を取り扱っています。 民間金融機関の収益機会を奪うことはタブーとされているため、プロパー融資・保証付融資のいずれかを利用できる会社は、日本政策金融公庫から融資を受けることはできません。 具体的には、
- 業績・財務が急激に悪化した会社
- これから創業する会社
- 創業後間もない会社
などが、日本政策金融公庫を利用します。つまり、銀行が融資できるだけの信用がない会社です。 すでに書いた通り、資金調達コストは信用によって左右されます。銀行が融資できない、信用の乏しい会社は資金調達コストも高くなるのが普通ですが、日本政策金融公庫は例外です。営利を目的としておらず、あくまでも資金調達の困難な会社の支援を目的としているためです。 したがって、日本政策金融公庫の基準金利は、無担保の場合でも2.06%です。経営が苦しい会社や、創業期の会社は担保を持っていないことも多いため、2.06%と仮定して資金調達コストを計算してみましょう。
負債コスト=3,000万円×2.06%×(1-30%)=43万2,600円
ノンバンクの融資
民間金融機関・公的金融機関のどちらも使えない会社は、銀行融資以外の方法で資金を調達します。その候補のひとつに、ノンバンクからの借入があります。 ノンバンクを利用するのは、銀行が融資を断った会社、つまり信用に乏しい会社です。そして、ノンバンクは営利目的で融資しています。このため、資金調達コストはかなり高くなるのが一般的です。 利息制限法の上限金利は、貸付額に応じて15~20%とされています。借入額が100万円以上の場合、上限金利は年15%です。 ノンバンクでの借入可能額は、300万円程度が一般的です。したがって、ノンバンクから3,000万円も借り入れることは現実的ではありません。ここでは、他の資金調達コストと比較するために、あえて3,000万円を借りたと仮定すると、資金調達コストは以下のようになります。
負債コスト=3,000万円×15%×(1-30%)=315万円
一般水準である300万円の借入でも、31万5000円の資金調達コストがかかります。銀行融資と比較すると、資金調達コストが極めて高いことがわかるでしょう。
株主資本コストの計算方法
次に、株主資本コストの計算方法をみていきましょう。 株主資本コストは、投資家や株主が企業に期待するリターンから導き出されます。CAPM(資本資産評価モデル)などのモデルを活用し、市場リスクや企業固有のリスクを考慮した上で推計するのが一般的です。企業としては株価上昇や配当金の支払いがコストにあたるため、常に株主還元と成長投資のバランスをとることが重要です。
株主資本コストは、以下の計算式で算出します。
株主資本コスト=調達額×{リスクフリー・レート+(ベータ×マーケット・リスク・プレミアム)}
各指標について簡単に説明すると、以下の通りです。 【リスクフリー・レート】 リスクフリー・レートとは、リスクがほとんどない資産であり、計算には日本国債10年物の利回りを使うのが一般的です。2021年9月28日現在、日本国債10年物の利回りは0.06%です。 【ベータ】 ベータとは、TOPIXなど市場全体の動きに対する、個別株式の感応度を意味します。TOPIXと全く同じ値動きであればベータは1となり、株主資本コストにも影響しません。 TOPIXと異なる値動きをした場合、株主資本コストを左右します。例えば、TOPIXが±10%の値動きをしているとき、±15%の値動きをしている株式のベータは1.5です。±5%の値動きであれば、その株式のベータは0.5となります。 難しいのは、ベータの見極めです。非上場の会社は株価の変動率を把握することが困難です。自社が出資を受けて資金調達する場合、自社のベータが分からなければ株主資本コストの計算もできません。 【マーケット・リスク・プレミアム】 投資家は、現金や日本国債などのリスクフリー資産を、株式というリスク資産に換えるため、そのリスク分のリターンを求めます。これが、マーケット・リスク・プレミアムです。 マーケット・リスク・プレミアムは、市場全体の平均的な期待利回りから、リスクフリー資産(日本国債10年物)の利回りを差し引いて求めます。 内閣府の2005年の発表では、1952~2002年の実績をもとに、マーケット・リスク・プレミアムを約5%としています。
株主資本コストのシミュレーション
上記の通り、株主資本コストの計算は複雑です。負債コストや内部留保コストの計算のように簡単ではなく、専門知識がなければ計算できません。 リスクフリー・レートとマーケット・リスク・プレミアムは見当がつきますが、ベータの算出が困難です。仮に、ベータを1.5とした場合、株主資本コストは以下のようになります。
株主資本コスト=3,000万円×{0.01%+(1.5×5%)}=225万3,000円
出資による資金調達コストは、銀行融資に比べてかなり高いことが分かります。ただし、信用が高ければマーケット・リスク・プレミアムが小さくなり、資金調達コストも大幅に下がるため、一概に高いとはいえません。 正確な計算には専門知識が求められるため、株主資本コストの計算が必要になった場合には、コンサルタントなどの専門家に相談することをおすすめします。
内部留保コストの計算方法
最後に、内部留保コストの計算方法を解説します。内部留保コストは、企業が蓄えてきた利益を投資や運転資金として活用する際に発生する機会費用を指します。具体的には、その資金を外部投資や他のプロジェクトに活用できた場合に得られたリターンが失われる点が、実質的なコストとみなされます。実際にどの程度のリターンが得られたかを定期的に検証し、資本配分を柔軟に見直すことが不可欠です。
内部資金調達の方法として、よく利用されるのが手形割引とファクタリングです。したがって、この二つの方法でシミュレーションしてみましょう。
手形割引
手形割引とは、支払い期日前の受取手形を買い取ってもらう資金調達方法です。手形の回収サイトは長期化しやすいため、手形取引をしている会社では手形割引が役立ちます。 手形割引の割引料は、以下で計算します。
割引料=手形額面金額×手形割引率(年利換算)×支払いまでの日数÷365
手形の割引率は、手形割引の依頼先と、手形の振出人・受取人の信用によって変動します。メガバンクや地方銀行では2.0~3.5%、信用金庫では2.5~4.5%、手形割引専門業者では2.5~15%が相場です。 以下の条件で、資金調達コストを計算してみましょう。
- 手形額面金額:3,000万円
- 手形割引率:各依頼先の中央値
- 支払いまでの日数:90日
【メガバンク/地方銀行】
内部留保コスト=3,000万円×2.75%×90日÷365=20万3,425円
【信用金庫】
内部留保コスト=3,000万円×3.50%×90日÷365=25万8,904円
【手形割引専門業者】
内部留保コスト=3,000万円×8.75%×90日÷365=64万7,260円
以上のように、金融機関での手形割引は資金調達コストが安く、手形割引専門業者では高くなる傾向があります。 手形割引専門業者は、対応のスピードや柔軟性に優れていますが、基本的には金融機関での手形割引が望ましいです。
ファクタリング
ファクタリングは、売掛金を買い取ってもらうことで早期資金化する方法です。近年、中小企業の間で急速に普及しています。 ファクタリング手数料の設定はファクタリング会社ごとに異なるほか、取引の方式でも大きく変動します。自社とファクタリング会社の2社間で取引する2社間ファクタリングは10~20%、自社・売掛先・ファクタリング会社の3社間で取引する3社間ファクタリングは1~5%が相場です。 それぞれの場合について、資金調達コストを計算すると以下のようになります(ファクタリング手数料率は、2社間・3社間それぞれの中央値とします) 【2社間ファクタリング】
内部留保コスト=3,000万円×15%=450万円
【3社間ファクタリング】
内部留保コスト=3,000万円×3%=90万円
資金調達コストを考えると、3社間ファクタリングの方が圧倒的に有利ですが、売掛先を巻き込んだ取引であり、売掛先の信用を損なうリスクがあります。したがって、実際には2社間ファクタリングを利用する会社がほとんどです。 3社間ファクタリングを利用できる売掛先に対しては3社間ファクタリングを利用し、それ以外は業者選びを工夫しながら2社間ファクタリングを利用するように心がけましょう。
資金調達コストを抑える方法
コスト削減の取り組みは、キャッシュフローを安定させるだけでなく、企業価値の向上にもつながります。
資金調達コストが高い状態での借入や社債発行は、企業にとって大きな負担となります。長期的には返済負担の増大や事業拡大の制限にもつながりかねないため、できるだけ有利な条件を探す努力が欠かせません。ここでは具体的なコスト削減策について、いくつかの視点から検討していきましょう。
まず金利や手数料の見直しを行い、複数の金融機関から比較検討することが大切です。さらに自治体の融資制度や補助金を活用し、返済負担を軽減できるかどうかを確認することも有効でしょう。必要な資金を確保すると同時に、返済のしやすさや総合的な費用対効果を考慮する視点が重要です。
企業の信用向上や返済計画の明確化も、コストを下げるカギになります。財務諸表の改善や業績の安定を図ることで、より低い金利や優遇条件での融資が受けやすくなります。返済計画を緻密に作成し、金融機関との交渉余地を広げることがポイントでしょう。
資金調達コストを抑えるのに役立つ方法を紹介します。
地方自治体の制度融資を使う
銀行のプロパー融資を受けられない場合、次に検討すべきは信用保証協会の保証付融資です。地方自治体は、中小企業の成長を促進するために低金利や保証料の一部補助といった制度融資を用意している場合があります。自社の所在地や事業内容に合った制度を探せば、民間金融機関に比べて有利な条件で借り入れられる可能性があります。まずは自治体の相談窓口や商工会議所などに問い合わせて、利用できる制度をチェックしてみるとよいでしょう。ただし、保証付融資には保証料がかかるため、資金調達コストが高くなってしまいます。 保証付融資の資金調達コストを抑えるには、地方自治体の制度融資を活用するのがおすすめです。 一般的な保証付融資は、信用保証協会の保証を後押しとして銀行融資を引き出します。これに対し、制度融資は信用保証協会と地方自治体が後押しするものです。 制度融資を利用した会社が債務不履行に陥った場合には、信用保証協会と地方自治体が代位弁済します。 制度融資のメリットは、保証料の補助を受けられることです。地方自治体によって異なりますが、保証料を全額補助、あるいは一部補助とするのが一般的です。 保証料の補助を受けることで、保証付融資の調達コストを大幅に抑えることができます。 上記のシミュレーションにおいて、保証付融資で3,000万円借り入れた場合の資金調達コストは、保証料を合わせて87万円でした。 このとき、保証料の全額補助があれば、
負債コスト=3,000万円×2%×(1-30%)=42万円
で、半額以下に抑えることが可能です。 一部補助でも、大きな効果が得られます。保証料率1.5%のうち1%を補助する場合、
負債コスト={3,000万円×2%×(1-30%)}+{3,000万円×(1.5%-1.0%)}=57万円
となります。 これをみれば、制度融資が資金調達コストを抑える効果は明らかです。
銀行間の競争を誘う
複数の銀行に融資を打診することで、金利や手数料、返済条件の比較が可能となり、有利な条件を引き出しやすくなります。金融機関同士が競争している状況をつくりだすことで、企業にとって理想的な融資プランを提示してもらえる可能性が高まります。ただし条件だけでなく、今後の取引関係やサポート体制もしっかりと考慮しましょう。 ただしこの方法を利用できるのは、
- 経営状態が良好であり、銀行から融資の提案を受けられる
- 複数の銀行と与信取引がある
という条件を満たしている会社に限られます。 経営状態が良好な会社は、銀行からみて低リスクで利息を稼げる存在です。業績が伸びている会社ならば更に良いでしょう。他行よりも自行から借りてほしい、融資シェアを伸ばしたい、融資以外の取引も広げていきたいと考えます。 このため、取引のある銀行が積極的に融資を提案してきます。このとき、自社の働きかけでより良い融資条件を引き出すことが可能です。 例えば、A銀行から金利1.8%で融資提案を受けた後、B銀行から金利2%で融資提案があれば、 「A銀行さんは1.8%で提案してくれたので、今回はA銀行さんから借りたいと思っています。A銀行さんより金利が低ければ考えたいですが・・・」 などと言い、B銀行が1.8%より低い条件で提案するように働きかけるのです。 その結果、B銀行が低い金利を提示すると、それによってA銀行がより低い金利を提示してくるかもしれません。このような銀行間の競争により、資金調達コストを抑えていきます。 この交渉によって、金利が2.0%から1.5%に下がった場合、3,000万円借りた場合の資金調達コストは42万円から31万5,000円へ下がります。
返済計画を元に交渉する
金融機関との協議を行う際には、事業計画やキャッシュフロー予測を含む返済計画を明確に示すことが大切です。納得性の高い計画を提出できれば、金利引き下げや返済期間の柔軟化など、条件面での優遇を得られる場合があります。自社の返済能力を客観的に把握しておくことが、交渉をスムーズに進めるポイントです。
手数料の安い業者で調達する
金融機関やクレジット会社によっては、仲介手数料や保証料などの設定が大きく異なります。調達金額が多いほど手数料負担は大きくなるため、事前に複数の見積もりを比較しておくと良いでしょう。最終的に金利だけでなく、諸費用を含めたトータルコストで判断することが重要です。
まとめ
資金調達コストを考慮しながら、最適な調達手段を選ぶことは企業の生命線ともいえる課題です。
資金調達の方法には、銀行融資、社債発行、株式発行、内部留保活用、補助金など多岐にわたる選択肢があります。それぞれにメリットとデメリットが存在し、企業の信用力や経営方針によって最適解は変わるため、自社の状況を総合的に見極めることが大切です。特にコストに直結する金利や手数料、株主還元のバランスについて、常に検証と調整を実施する必要があります。
コストを正しく把握しておけば、突然の金利上昇や経営環境の変化に対しても柔軟に対応できるでしょう。融資条件の比較や返済計画の検証など、事前の準備を徹底することで、リスクを最小化しながら事業を拡大していくことが可能です。大切なのは、短期的な借入金だけに頼らず、長期的視点で企業価値を高めるための戦略を描くことです。
また、外部の専門家のサポートを受けることで、より有利な資金調達を実現できるケースも少なくありません。自社の経営課題を客観的に捉えながら、適切な調達手段を活用して継続的に発展していく道筋を探りましょう。今後も市場環境は変化を続けますが、資金調達コストの管理は常に企業にとって重要なテーマとなります。
支援実績12,000社以上!ヒューマントラストの資金調達トータルサポート
ヒューマントラストは、これまで12,000社を超える法人・個人事業主様の資金調達を支援してきました。 ファクタリングやビジネスローン、銀行融資の調達支援などをワンストップでご提供しており、最短即日での現金化や融資にも対応しています。 とくに、売掛先へ通知しない2社間ファクタリングは、最短15分ほどで資金をご用意できるため、急な経営ニーズにも柔軟に対応可能です。 必要書類も最小限に抑え、オンラインやお電話でのお手続きを中心に進められますので、遠方にお住まいの方やお忙しい経営者の方でも気軽にご利用いただけます。 まずは専門スタッフが状況を丁寧にヒアリングし、それぞれに最適なプランをご提案いたしますので、資金繰りにお困りの際はぜひヒューマントラストまでご相談ください。