2025.06.02
住宅ローンで変動金利を選ぶことによるメリット・注意点は?固定金利との違いも解説
住宅ローンを選ぶ際、金利タイプの選択は非常に重要です。金利タイプには、固定金利と変動金利の2種類があります。変動金利は、一般的に固定金利よりも低い金利でスタートしますが、経済状況により金利が上下するリスクがあります。一方、固定金利は、金利が一定で安定しているため、予測可能な返済計画を立てやすい特徴がありますが、当初から金利が高めに設定されることが多いものです。
本記事では、変動金利と固定金利の基本的な違いを解説し、それぞれのメリットとデメリットについて詳しく説明します。
住宅ローンにおける変動金利とは
住宅ローンを組む際、最初に選択を迫られるのが金利タイプです。その中でも、変動金利は多くの方に選ばれる人気の金利タイプとなっています。
変動金利の仕組み
変動金利とは、その名の通り金利が一定ではなく、市場の金融情勢に応じて変動する金利タイプです。多くの金融機関では、半年ごと(4月1日と10月1日)に金利の見直しが行われます。
基準となる指標は短期プライムレートなどで、これが上下すると住宅ローンの金利も連動して変化します。例えば、日本銀行が金融引き締め政策を取れば金利は上昇し、金融緩和政策を取れば金利は下がる傾向にあります。
実際の金利反映のタイミングは、金融機関によって異なりますが、一般的には、見直し後の適用は、年に1回または2回となっています。この定期的な見直しサイクルを理解しておくことで、将来の返済計画をより効果的に立てることができます。
固定金利とは
固定金利の最も大きな特徴は、返済期間中の金利が変動しない点です。契約で定めた期間中、金利が一定であるため、返済額も安定して推移します。これに対し、変動金利は市場金利に連動して変動するため、返済額も変動する可能性があります。
初期金利を比較すると、固定金利は通常、変動金利よりも高く設定されています。例えば、2023年時点では変動金利が0.3〜0.5%程度であるのに対し、35年固定金利は1.0〜1.5%程度となっていることが一般的です。
また、金利タイプによって借入可能額に差が出ることもあります。固定金利の場合、金利が安定しているため返済計画が予測しやすい反面、借入可能額が変動金利よりも少なくなる場合があります。特に、安定した収入を得ている方にとっては、固定金利の安定性が重要なポイントとなることがあります。
住宅ローンで変動金利を選ぶことによるメリット
変動金利を選択する際の大きな魅力は、いくつかの明確なメリットにあります。
当初の低金利で返済負担を抑えられる
変動金利の最も分かりやすいメリットは、固定金利と比較して初期金利が低いことです。例えば、3500万円を35年ローンで借りた場合、金利が1%違うだけで月々の返済額は約15,000円、総返済額では約630万円もの差が生じます。
この低金利のメリットは、特に返済開始時の負担軽減に役立ちます。住宅購入時は家具や家電の購入、引越し費用など出費が重なる時期です。この時期の返済負担が軽減されることは、家計にとって大きな助けとなります。
また、経営者の方にとっては、初期の返済負担を抑えられることで、その差額を事業投資に回すなど、資金の有効活用が可能になります。特に、創業間もない時期や事業拡大期には、この資金の流動性確保は非常に重要です。
市場金利が低下すると返済額が減る
金融緩和政策などにより市場金利が下がる局面では、変動金利を選択していることで恩恵を受けられます。定期的な金利見直しにより、借入時より金利が下がれば、その分返済額も減少します。
例えば、2000年代後半から2023年までの日本では、長期にわたる金融緩和政策により住宅ローン金利は歴史的な低水準で推移しました。この期間に変動金利を選択していた方は、固定金利を選んだ場合と比べて大幅な返済負担軽減を享受できました。
さらに、返済額が減ることで浮いた資金を繰上返済に回すことで、トータルの返済期間短縮やさらなる利息軽減も可能になります。このように、金利低下の恩恵を直接受けられることは変動金利の大きな利点です。
金利上昇に対しての保護がある
変動金利の最大のリスクである金利上昇に対して、実は、一定の保護措置が設けられています。日本の多くの金融機関では、急激な金利上昇による返済負担増加を緩和するために、「5年ルール」と「125%ルール」という2つの重要なルールが適用されています。
5年ルールとは、返済額の見直しが5年ごとにしか行われないというものです。例えば、借入開始から5年間は金利が上昇しても毎月の返済額は変わりません。ただし、金利上昇分は返済元金部分が減少することで調整されるため、元金の減りは遅くなります。
また、125%ルールでは、返済額の見直し時に前回の返済額の1.25倍を超えて増額されることはありません。これにより、急激な返済負担増加を防ぐセーフティネットが機能しているのです。
途中で固定金利への切り替えも可能
多くの金融機関では、返済途中で変動金利から固定金利へ切り替えるオプションを提供しています。これは、金利上昇が予測される際に、非常に有効な選択肢となります。
例えば、低金利時代に変動金利で借り入れを始め、金融引き締めの兆候が見られる段階で固定金利に切り替えることで、将来の金利上昇リスクを回避しながら、低金利期間の恩恵も享受できます。
また、事業の成長期や安定期など、ライフステージの変化に合わせて金利タイプを調整できることは、経営者にとって大きな利点です。ただし、切り替え時の金利水準や手数料については、金融機関によって条件が異なるため、契約前に詳細を確認しておくことが重要です。
住宅ローンで変動金利を選ぶ際の注意点
変動金利には多くのメリットがある一方で、しっかりと認識しておくべきリスクや注意点も存在します。
金利上昇のリスクが常にある
変動金利の最大のリスクは、将来の金利上昇により返済負担が増加する可能性があることです。日本は長期間にわたり低金利環境が続いていましたが、経済状況の変化により金利が上昇する局面も訪れます。
例えば、2022年末から2023年にかけて、日本銀行のイールドカーブコントロール政策修正の影響で、住宅ローン金利にも上昇傾向が見られました。このような金融政策の変更は、経済情勢によって今後も起こり得ます。
特に、3000万円以上の高額な借入をしている場合、金利が1%上昇するだけでも月々の返済額が数万円増加する可能性があります。金利上昇リスクを現実的に想定し、余裕をもった返済計画を立てることが重要です。
保護ルールによる元金返済の遅れ
先に述べた「5年ルール」には、返済額の安定というメリットがある一方で、金利上昇時には、実質的に元金返済が遅れるというデメリットもあります。金利が上昇しても5年間は返済額が変わらないため、増加した金利分は元金返済部分から差し引かれることになります。
これにより、当初予定していたよりも元金の減少ペースが遅くなり、ローン完済までの総返済額が増える可能性があります。特に、変動金利で借入期間が長い場合、この影響は無視できないものとなります。
長期的な資産形成を考える経営者にとって、元金返済の進捗状況を定期的にチェックすることは、住宅ローン管理の重要なポイントとなります。金利上昇局面では、可能であれば繰上返済を行うなどの対策も検討すべきでしょう。
返済計画の不確実性が高まる
変動金利を選択すると、将来の返済額が予測しづらくなるという側面があります。金利の変動は、経済情勢や金融政策によって左右されるため、10年、20年先の金利水準を正確に予測することは困難です。
この不確実性は、長期的な家計計画や事業計画を立てる際の障害となる可能性があります。例えば、事業拡大のための投資計画や、子どもの教育資金の準備など、将来の大きな出費と住宅ローンの返済をバランスよく計画することが難しくなります。
経営者の方々にとって、事業と個人の資金計画は密接に関連しています。変動要素を含んだ柔軟な資金計画を立てる能力が、変動金利ローンを成功させる鍵となるでしょう。
変動金利と固定金利の詳細比較
住宅ローンの金利タイプを選ぶ際、変動金利と固定金利の特性を詳細に比較することで、より自分に合った選択ができます。
金利水準や総返済額の違い
変動金利と固定金利の最も顕著な違いは、初期金利の水準です。2023年時点では、変動金利が0.3〜0.5%台であるのに対し、35年固定金利は1.0〜1.5%台となっています。この差は借入額が大きくなるほど、総返済額に大きく影響します。
例えば、3500万円を35年で借りた場合、金利が0.5%と1.2%では、月々の返済額に約13,000円、総返済額では約500万円以上の差が生じる計算になります。ただし、この計算は変動金利が返済期間中変わらないと仮定した場合です。
実際には変動金利は上下するため、長期的な金利トレンドを見極めることが重要です。過去の傾向では、30年以上の長期で見ると、変動金利の総返済額が固定金利より有利だったケースが多いですが、今後の経済環境によって状況は変わる可能性があります。
金利変動に対する心理的負担の違い
金利タイプの選択は、純粋な数字の問題だけでなく、心理的な要素も大きく影響します。固定金利は返済額が一定であるため、家計管理がしやすく心理的な安定感があります。計画的な性格の方や、予測不能な変動を好まない方にとっては、この安定感は非常に価値があります。
一方、変動金利は、将来の金利上昇に対する不安を常に抱えることになります。特に、金融ニュースや経済指標に敏感に反応してしまう方は、心理的ストレスを感じる可能性があります。
経営者の中には、事業におけるリスク管理と同様に、住宅ローンでもリスクとリターンのバランスを重視する方が多いでしょう。自分のリスク許容度を正しく認識し、金利選択に反映させることが大切です。
繰上返済効果の違い
繰上返済を行う場合、変動金利と固定金利では、その効果に違いがあります。一般的に、金利が高いほど繰上返済の効果は大きくなるため、固定金利の方が単純な利息軽減効果は高くなる傾向があります。
しかし、変動金利の場合は、低金利スタートによる初期の返済負担の軽さを活かし、浮いた資金を投資や事業に回すことで、より高いリターンを得られる可能性もあります。特に経営者の方は、この資金の機会費用を考慮した判断が重要です。
また、変動金利では金利上昇リスクに対するヘッジとして、金利が低い間に積極的に繰上返済を行う戦略も効果的です。借入残高を減らしておくことで、将来金利が上昇した際の影響を小さくすることができます。
住宅ローンにおいて変動金利に向いている人
変動金利と固定金利、どちらが自分に合っているか判断するには、自身の経済状況やリスク許容度、将来計画などを総合的に考慮する必要があります。特に経営者の方は、事業との兼ね合いも重要なポイントです。
財務基盤が安定している人
変動金利を選択する上で最も重要なのは、金利上昇時にも対応できる財務的な余裕があることです。安定した収入があり、家計に十分な余裕がある方は、金利上昇による返済額の増加にも柔軟に対応できます。
特に、住宅ローンの返済負担率(年収に対する返済額の割合)が低い方は、変動金利のリスクを取りやすい傾向にあります。一般的には、返済負担率が20%を下回る場合、財務的に余裕があるといえるでしょう。
経営者の場合、事業収益が安定しており、個人と法人の財務を明確に分離管理できている方は、変動金利のメリットを最大限に活かせる可能性が高いものです。反対に、創業間もない段階や事業の浮き沈みが激しい場合は、リスクを抑えた選択を検討した方が良いでしょう。
早期完済や繰上返済を予定している人
住宅ローンを30年や35年というフルタームで返済することなく、途中で繰上返済や完済を予定している方にとって、変動金利は魅力的な選択肢となります。当初の低金利メリットを最大限に活かすことができるからです。
例えば、事業の成長に伴い数年後に大きな収入増が見込める経営者の方や、将来的に相続などでまとまった資金を得る予定がある方は、借入期間の前半を低金利で乗り切り、後半で一括返済するという戦略が有効です。
また、定期的に余剰資金が発生する方は、計画的な繰上返済を組み合わせることで、変動金利の総返済額をさらに抑えることができます。金利が低いうちに元金を減らしておくことで、将来の金利上昇リスクも軽減できます。
金融情勢に対して柔軟に対応できる人
変動金利は、金融市場の動向に敏感に反応するため、経済や金融に関する基礎知識があり、情報収集能力がある方に向いています。金利トレンドを把握し、タイミングよく固定金利への切り替えや繰上返済を実行できれば、変動金利のメリットを最大化できます。
経営者の方々は、事業運営上も経済動向や金融政策に注目していることが多いため、この点で変動金利と相性が良い傾向にあります。日頃から金融ニュースをチェックする習慣がある方は、金利変動の兆候をいち早く察知できるでしょう。
また、金利上昇の兆候があればすぐに対応策を講じられるなど、金融環境の変化に柔軟に対応できる姿勢も重要です。状況に応じた戦略変更ができる方にとって、変動金利は有効な選択肢となります。
住宅ローンの変動金利の賢い活用法
変動金利を選択した場合、そのメリットを最大化し、リスクを最小化するための戦略的な活用方法があります。特に経営者の方は、住宅ローンと事業資金を連動させて考えることで、より効率的な資金活用が可能になります。
定期的な金利動向のチェック
変動金利を選択したら、定期的に金利動向をチェックする習慣をつけることが重要です。日本銀行の金融政策や短期プライムレートの動きは、住宅ローン金利の先行指標となります。
具体的には、日本銀行の金融政策決定会合の結果や、経済指標の発表(GDP成長率、インフレ率など)に注目しましょう。これらの情報は、経済ニュースやインターネットで容易に入手できます。
また、金融機関から送られてくる金利見直しの通知も重要な情報源です。金利の動向を定期的に記録しておくことで、長期的なトレンドを把握し、将来の金利変動を予測する材料になります。
金利上昇時の適切な対応
金利上昇の兆候が見られた場合、いくつかの対応策を検討することで、影響を最小限に抑えることができます。まず検討すべきは、固定金利への切り替えです。多くの金融機関では、返済中に変動金利から固定金利への切り替えが可能です。
また、金利上昇前に、繰上返済を行うことも効果的な対策です。借入残高を減らしておくことで、金利上昇時の影響を軽減できます。特に、事業が好調な時期に集中的に繰上返済を行うことで、将来の財務負担を大きく減らせる可能性があります。
さらに、返済口座に余裕資金を確保しておくことも、一つの方法です。返済に備えた緊急予備資金を確保することで、急な金利上昇による返済額増加にも対応しやすくなります。経営者にとっては、個人と事業両方の資金繰りを考慮した予備資金の設定が重要です。
ローンを組む金融機関の適切な選択
変動金利ローンを組む際は、金利水準だけでなく、金融機関の対応力や柔軟性も重要な選択基準です。具体的には、繰上返済の手数料や条件、金利タイプ変更の可否と手数料、借り換え時の対応などをチェックポイントとしましょう。
また、市場金利が大きく変動した場合には、住宅ローンの借り換えも視野に入れることが重要です。特に、借入から数年経過して金利情勢が変わった場合、現在の契約よりも有利な条件で借り換えができる可能性があります。
ただし、借り換えには諸費用がかかるため、借り換えによる総返済額の削減効果を慎重に試算する必要があります。経営者の場合、事業用融資と住宅ローンを同じ金融機関に集約することで、総合的に有利な条件を引き出せることもあるため、金融機関との関係構築も戦略的に考えましょう。
まとめ
住宅ローンの変動金利は、低金利スタートによる当初の返済負担の軽さや、金利低下時の恩恵を直接受けられるなど、多くのメリットがあります。特に、財務基盤が安定している方や早期返済を検討している方、金融情勢に詳しい方にとって有効な選択肢となります。
一方で、金利上昇リスクや返済計画の不確実性といった注意点も忘れてはなりません。自身の経済状況、リスク許容度、将来計画を総合的に判断し、必要に応じて固定金利への切り替えや繰上返済などの対策を講じることが重要です。住宅ローンは、長期にわたる大きな資金計画です。金融機関によく相談し、自分に最適な選択をすることが、安定した住宅ローン返済の鍵となるでしょう。
最短即日の無担保無保証融資!HTファイナンスのビジネスローン
経営を行う上で、住宅ローンで変動金利を選択して資金を活用する戦略をとる場合、事業運営に必要な資金を適宜調達できる手段があると、より経営を安定させることができるでしょう。
その点、HTファイナンスのビジネスローンは、担保や保証人なしで融資を受けられるため、住宅ローンやその他の資産を利用しながら、必要なタイミングで迅速に事業資金を確保することが可能です。
HTファイナンスは、東大法学部出身で三菱銀行での実務経験を持つ三坂大作が統括責任者として、企業の資金調達と経営戦略の支援に取り組んでいます。
銀行実務とコンサルティングで培った経験を活かし、無担保無保証の融資やファクタリング、財務改善など、お客様の経営課題に合わせた最適な解決策をご提案しています。また、スピーディーで柔軟な審査体制により、成長に必要な資金を迅速にお届けできます。
お申し込みに必要な書類は最小限に抑え、オンラインやお電話でのやり取りを中心に進めていますので、経営者の皆様の負担を大きく減らすことができます。
事業拡大のチャンスを逃さないためにも、まずはお気軽にHTファイナンスにご相談ください。