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補助金と交付金の違いは?支援金の種類と活用方法を解説

事業を運営していると、資金調達のために「補助金」や「交付金」ということばをよく耳にすることがあります。どちらも返済不要な資金ですが、その違いや申請方法がわからない経営者や個人事業主の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、補助金と交付金の明確な違いを解説し、それぞれの特徴や代表的な制度、補助金申請のポイントまで詳しく説明します。経営資源が限られる中小企業や個人事業主にとって、これらの制度を理解して活用することは、事業の成長や安定につながるため非常に重要です。

自社に合った支援制度を見つけ、効果的に資金調達を行うための知識をこの記事で身につけましょう。

補助金と交付金の基本的な違い

補助金と交付金は、どちらも国や地方自治体から支給される、返済不要な資金です。しかし、その目的や仕組みには明確な違いがあります。

以下の表は、補助金と交付金の主な違いを整理したものです。

比較項目 補助金 交付金
目的 事業支援 政策達成・地域活性化
支給元 国・地方自治体
支給先 民間企業・個人・団体 地方自治体
返済義務 なし なし
審査 あり 原則なし
支給額 数十万~数千万円 数百万~数億円
支給期間 半年~1年 数年単位

補助金とは

補助金は、国や地方自治体が特定の事業や活動を促進するために、民間企業や個人事業主、団体などに対して交付する資金です。返済不要であることが最大の特徴です。

補助金には、次のような特徴があります。まず、特定の政策目標(例:生産性向上、地域活性化、環境対策など)を達成するために交付されます。そのため、申請時には目的に沿った事業計画の提出が必要です。

また、補助金は競争的な審査プロセスがあるため、申請すれば必ず受け取れるものではありません。予算の制約があり、審査を通過した事業者のみが交付を受けられます。

さらに、補助金は一般的に事業費の一部(1/2〜2/3程度)を補助する形式となっており、残りの自己負担分は事業者自身が用意する必要があります。つまり、全額が支給されるわけではないのです。

補助金の代表例

補助金にはさまざまな種類がありますが、中小企業や個人事業主が活用できる主な補助金をいくつか紹介します。

ものづくり補助金

正式名称は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。中小企業や小規模事業者の革新的な製品・サービス開発や、生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援する制度です。

補助上限額は最大3,000万円で、補助率は中小企業で1/2、小規模事業者や特定事業者では2/3となっています。製造業だけでなく、サービス業や商業も対象となっているのが特徴です。

ものづくり補助金は、製造や開発によって企業の生産性や競争力の強化を審査基準としつつも、究極の目標は、雇用の安定と給与の増加にあります。この指標をクリアした事業計画を策定することが必須のため、企業実態をベースに慎重な計画策定を必要とすることに留意してください。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者の、販路開拓や生産性向上の取り組みを支援する補助金です。チラシ作成、ホームページ制作、店舗改装など幅広い用途に活用できます。

補助上限額は通常50万円ですが、特定の条件を満たす場合は100万円まで拡大します。補助率は2/3で、比較的申請しやすい補助金として人気があります。

IT導入補助金

ITツールの導入によるデジタル化や、業務効率化を支援する補助金です。会計ソフト、顧客管理システム、ECサイト構築など、さまざまなITツールの導入費用が対象となります。

最近では、生成AIを活用したサービスが進化拡大しているため、その点も採択基準に合致するか注目しておく必要があります。(ただし、海外製の生成AIプラットフォームを利用すると、補助対象から外れる傾向にあるので注意してください)

補助上限額は50万円〜450万円まで複数の類型があり、補助率も1/2〜3/4と幅があります。デジタル化を進めたい企業にとって、活用しやすい支援制度といえるでしょう。

交付金とは

交付金は、国が地方自治体に対して特定の行政目的を達成するために交付する資金です。補助金とは異なり、主に国から地方自治体へと流れる資金になります。

交付金の大きな特徴は、使途に一定の自由度があることです。国が大枠の政策目標を定め、その範囲内で地方自治体が具体的な使い道を決定できます。これにより、地域の実情に合わせた柔軟な政策展開が可能になります。

また、補助金とは異なり、原則として競争的な審査プロセスがなく、法令や交付要綱に基づいて配分されます。そのため、安定した財源として活用できる点も特徴です。

交付金の多くは、大規模なプロジェクトや行政サービスの提供に使われるため、支給額も補助金に比べて大きい傾向にあります。数百万円から数億円規模の資金が交付されることも珍しくありません。

交付金の代表例

交付金にもさまざまな種類がありますが、代表的なものをいくつか紹介します。

社会資本整備総合交付金

国土交通省が所管する交付金で、地方自治体による道路、公園、下水道などのインフラ整備を支援します。地方自治体が自らの判断で計画を策定し、その計画に基づいてインフラ整備を実施する仕組みになっています。

事業費の一部(概ね40〜55%)を国が負担することで、地域の実情に合わせた社会資本整備を推進しています。特に、都市計画や地域開発に関わる事業に活用されることが多くあります。

地域脱炭素推進交付金

環境省が所管する交付金で、地域の再生可能エネルギー導入や、CO2削減の取り組みを支援します。地方自治体が策定する、脱炭素化計画に基づく事業に対して交付されます。

補助率は、事業により1/2〜3/4で、太陽光発電設備の導入、建物の断熱改修、EV充電インフラの整備など、地域の脱炭素化に向けた幅広い取り組みが対象となります。

地方創生推進交付金

内閣府が所管する交付金で、地方自治体による地方創生の取り組みを支援します。地域の特色を活かした、自主的・主体的な事業に対して交付されます。

観光振興、産業振興、移住・定住促進など、地域活性化に向けたさまざまな事業が対象となり、地方自治体が策定する地方版総合戦略に基づいて実施されます。事業費の1/2が国から交付されます。

補助金の申請から受給までの流れ

補助金を活用するためには、申請から受給までの一連の流れを理解しておく必要があります。

公募情報の確認

補助金の申請を検討する際、まず行うべきなのは公募情報の収集です。補助金は通常、年に数回、決まった期間に公募が行われます。公募要領を入手し、自社の事業内容が対象となるか、申請条件を満たしているかを確認しましょう。

公募情報は各省庁のホームページ、J-Net21(中小企業基盤整備機構)、ミラサポplus(中小企業庁)などで確認できます。また、地域の商工会議所や商工会、金融機関などでも情報を得ることができます。

公募期間を逃さないよう、常に情報収集を行うことが重要です。多くの補助金は公募期間が1〜2ヶ月と限られており、準備が間に合わないというケースも少なくありません。

申請書類の提出

公募要領を確認し、申請を決めたら、次は申請書類の作成です。補助金申請には、事業計画書、収支計画書、企業概要などの書類が必要となります。特に、事業計画書は審査の核となる部分で、補助金の目的に沿った内容であることが求められます。

事業計画書では、事業の目的、具体的な取り組み内容、期待される効果、実施スケジュールなどを明確に記載します。特に、その事業が補助金の目的(生産性向上、地域活性化など)に、どのように貢献するかという点を具体的に示すことが重要です。

書類は、公募要領に記載された提出方法(電子申請システムや郵送など)で期限内に提出します。提出前に、記入漏れや添付書類の不足がないかを必ず確認しましょう。

審査と採択

提出された申請書類は、所管省庁や運営事務局によって審査されます。審査では、事業の新規性・独自性、実現可能性、費用対効果、政策目的との整合性などが評価されます。

審査期間は補助金により異なりますが、通常1〜3ヶ月ほどかかります。審査の結果は書面やメールで通知され、採択された場合は「採択通知書」が送付されます。

補助金は予算の制約があるため、すべての申請が採択されるわけではありません。採択率は補助金の種類や応募状況によって大きく異なりますが、人気の高い補助金では30%未満のケースも珍しくありません。

交付申請と事業実施

採択通知を受けた後、正式に補助金の交付を受けるために「交付申請書」を提出します。交付申請書には、より詳細な事業計画や経費内訳などを記載します。

交付申請が承認されると「交付決定通知」が発行され、これ以降に発生した経費が補助対象となります。交付決定前に発注・契約した経費は補助対象外となりますので、この点には特に注意が必要です。

事業実施中は、計画に沿って事業を進めるとともに、支出に関する証拠書類(発注書、請求書、領収書など)をしっかりと保管しておくことが重要です。また、計画に変更が生じた場合は、事前に運営事務局に相談し、必要に応じて計画変更の手続きを行います。

実績報告と補助金受給

事業完了後は、定められた期間内に「実績報告書」を提出します。実績報告書には、事業の成果、支出した経費の内訳、証拠書類などを添付します。

実績報告書の内容が審査され、承認されると「補助金確定通知書」が発行されます。その後、「精算払請求書」を提出することで、補助金が指定口座に振り込まれます。

多くの補助金は精算払い(後払い)が原則ですが、一部の補助金では概算払い(前払い)が認められることもあります。資金計画を立てる際には、この点も考慮に入れる必要があります。

事業完了後

補助金を受給したからといって、すべてが終わりというわけではありません。多くの補助金では、事業完了後も一定期間(通常3〜5年)、事業の状況報告や成果の公表が求められます。

また、補助金で取得した財産(機械設備など)は、一定期間(通常3〜5年)処分制限があり、勝手に売却や廃棄をすることができません。処分を希望する場合は、事前に承認を得る必要があります。

さらに、実績報告後も数年間は、会計検査院による検査の対象となる可能性があるため、関連書類は適切に保管しておくことが求められます。

補助金申請でのポイント

補助金の申請を成功させるためには、いくつかの重要なポイントと注意すべき点があります。ここでは、補助金申請の成功確率を高めるためのポイントを解説します。

説得力のある申請書類の作成

補助金の審査で最も重視されるのは、申請書類の内容です。特に事業計画書では、以下のポイントを押さえることが重要です。

まず、補助金の政策目的に沿った事業計画を立てましょう。例えば、生産性向上を目的とした補助金であれば、導入する設備やシステムが具体的にどのように生産性を向上させるのか、数値目標も含めて具体的に記載します。

次に、事業の新規性や独自性を明確に示すことが大切です。なぜその事業が必要なのか、市場や社会にどのような価値をもたらすのかを、説得力のあるかたちで伝えましょう。

専門用語を多用せず、わかりやすいことばで説明することも重要です。審査員は必ずしもその業界の専門家ではないため、誰が読んでも理解できる内容にすることが求められます。

資金計画と自己資金の準備

補助金は、原則として事業完了後の精算払いとなるため、事業実施に必要な資金をあらかじめ準備しておく必要があります。特に、設備投資を伴う大型の補助金では、数百万円から数千万円の自己資金が必要になることもあります。

自己資金が不足する場合は、金融機関からの融資を検討することも一つの選択肢です。「補助金交付決定」を受けていれば、融資の審査でもプラスに評価されることが多いでしょう。

また、補助金には自己負担分(通常1/3〜1/2)があることも忘れないでください。例えば、総事業費1,000万円、補助率2/3の補助金であれば、自己負担額は333万円となります。この自己負担分も含めた資金計画を立てることが重要です。

スケジュール管理

補助金申請においては、スケジュール管理が極めて重要です。公募期間、採択発表、交付申請、実績報告など、それぞれの段階で期限が設定されており、これを守らないと補助金を受けられない可能性があります。

特に注意すべきは、事業実施期間です。多くの補助金では、交付決定から事業完了、実績報告までの期間が決められています。この期間内に発注、納品、支払いをすべて完了させる必要があります。

大型の設備導入やシステム開発などを含む事業では、納期の遅延リスクも考慮したスケジュール設計が求められます。余裕をもったスケジュール管理を心がけましょう。

実績報告と証拠書類の管理

補助金の実績報告では、事業の成果だけでなく、支出した経費が適正であることを証明する必要があります。そのためには、発注書、契約書、納品書、請求書、領収書、振込明細などの証拠書類をしっかりと管理することが重要です。

特に注意すべきは、発注・契約の日付です。交付決定日以降に発注・契約したものでなければ補助対象外となります。また、支払いは原則として銀行振込で行い、手形や相殺などの方法は認められないケースが多いものです。

さらに、補助事業で取得した財産(機械設備など)については、「取得財産管理台帳」を作成し、写真とともに保管しておく必要があります。これらの書類は、補助事業完了後も数年間保管することが求められます。

専門家の活用

補助金申請は、専門的な知識と経験が求められるため、初めて申請する場合は専門家の支援を受けることも検討すべきです。商工会議所や商工会の経営指導員、中小企業診断士、税理士などに相談することで、申請書類の質を高めることができます。

多くの地域では、補助金申請に関する無料相談会やセミナーが開催されていますので、積極的に参加することをおすすめします。また、各補助金の運営事務局にも相談窓口が設けられていることが多くあります。

申請代行サービスを提供する民間コンサルティング会社もありますが、費用対効果を慎重に検討することが大切です。報酬額や成功報酬の条件、サポート範囲などをしっかりと確認してから依頼しましょう。

中小企業や個人事業主が活用できる補助金検索サイト

補助金や助成金の情報を効率的に収集するためには、専門の検索サイトを活用するのが効果的です。ここでは、中小企業や個人事業主が利用できる、主な補助金検索サイトを紹介します。

ミラサポplus(中小企業庁)

ミラサポplusは、中小企業庁が運営する中小企業・小規模事業者向けの支援ポータルサイトです。補助金・助成金情報のほか、セミナーやイベント情報、経営に役立つコンテンツなどが掲載されています。

特に、「支援制度検索」機能では、業種や目的、地域などの条件から、自社に合った支援制度を検索することができます。また、補助金の公募開始情報や締切情報もタイムリーに更新されるため、定期的にチェックすることで公募情報を見逃しにくくなります。

さらに、経営課題の解決に役立つ事例集や、専門家への相談機能も備えており、補助金申請の前後でも活用できる情報が充実しています。

J-Net21(中小企業基盤整備機構)

J-Net21は、中小企業基盤整備機構が運営する中小企業向けポータルサイトです。「補助金・助成金検索」のコーナーでは、国や都道府県、市区町村が実施する、さまざまな支援制度を検索できます。

テーマ別、地域別、実施機関別など、多様な検索方法に対応しており、自社のニーズに合った補助金を効率的に見つけることができます。また、補助金だけでなく、低利融資や税制優遇などの情報も一括して検索できるのが特徴です。

「成功事例」のコーナーでは、補助金を活用して成果を上げた企業の事例が紹介されており、自社の申請の参考にすることができます。経営に関するさまざまなノウハウも掲載されており、総合的な経営支援サイトとして活用できます。

地方自治体の産業支援サイト

各都道府県や市区町村も、地域独自の補助金・助成金情報を提供するサイトを運営しています。地方自治体の産業振興課や商工課のウェブサイトでは、国の補助金情報に加えて、地域独自の支援制度の情報が掲載されています。

地方自治体の支援制度は、国の補助金に比べて予算規模は小さいものの、競争率が低く、申請手続きも比較的簡素なケースが多いものです。また、地域の特性や課題に対応した内容になっているため、地元企業にとって活用しやすいメリットがあります。

特に創業支援、商店街活性化、観光振興、環境対策などの分野では、地方自治体独自の手厚い支援制度が用意されていることが多いため、自社の所在地の自治体サイトは定期的にチェックすることをおすすめします。

民間の補助金データベースサービス

最近では、民間企業が提供する補助金検索サービスも充実してきています。これらのサービスでは、国や地方自治体の補助金情報を一元的に集約し、使いやすいインターフェースで提供しています。

民間サービスの多くは、ユーザーの属性や事業内容に基づいて、最適な補助金を自動的に推薦する機能を備えています。また、公募開始や締切が近い補助金の通知機能や、申請書類の作成支援機能などを提供しているサービスもあります。

無料で基本的な情報を提供するサービスもありますが、詳細情報や高度な機能を利用するには有料プランへの登録が必要なケースが多くみられます。ただし、適切な補助金を見つけて獲得できれば、その費用は十分に回収できる可能性が高いでしょう。

まとめ

本記事では、補助金と交付金の違いから、それぞれの特徴、代表的な制度、申請のポイントまで詳しく解説しました。補助金は、民間企業や個人事業主が直接申請できる資金で、事業の成長や生産性向上に活用できます。一方、交付金は国から地方自治体へ交付される資金で、地域全体の発展に貢献するものです。

補助金を活用するには、情報収集から申請、実施、報告までの一連のプロセスを理解し、計画的に取り組むことが重要です。公募情報を逃さず、自社の事業に最適な補助金を見つけ、申請書類の作成や資金計画を適切に行いましょう。自身の事業に合った支援制度を積極的に活用することで、事業の成長と安定につながるでしょう。

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補助金は返済不要な資金として魅力的ですが、申請から受給までに時間がかかるため、急な資金需要には対応できません。また、事業完了後の精算払いが基本であるため、事業実施のための資金を先に確保しておく必要があります。そんなとき、スピーディーな資金調達手段として、HTファイナンスのビジネスローンがおすすめです。

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