2025.01.21
中小企業の資金調達は難しい?資金集めの方法を解説
中小企業の皆さん、資金調達でお悩みではありませんか?この記事では、資金調達に苦労する中小企業の皆さんに向けて、どのような資金調達方法があるのか、それぞれのメリット・デメリット、賢い選択をするためのポイントを詳しく解説します。
中小企業の資金調達は難しい?
中小企業の資金調達が難しい現状があります。その背景には様々な要因がありますが、ここでは特に重要な3つの点について詳しく見ていきましょう。
中小企業向け融資の減少傾向
近年、金融機関による中小企業向けの貸出は減少傾向にあります。リーマンショック以降、金融機関は大企業を中心とした融資に軸足を移しており、中小企業への融資には消極的になっているのです。
この傾向は、金融機関のリスク管理の観点から見れば理解できる面もあります。しかし、日本経済の大半を支える中小企業にとっては、資金調達の選択肢が狭まることを意味しており、大きな課題となっているのが現状です。
金融機関による中小企業への評価不足
中小企業向け融資が減少している背景には、金融機関による中小企業の事業性評価が不十分であることも挙げられます。金融機関は、財務諸表などの定量的なデータを重視する傾向にあり、中小企業の潜在的な成長可能性や独自の強みを適切に評価できていないのです。
事業性評価が不十分だと、将来性のある中小企業でも融資を受けられない可能性があります。金融機関には、中小企業の事業内容を深く理解し、適切に評価する姿勢が求められているといえるでしょう。
中小企業の負担が大きい融資の状況
事業性評価が不十分な状況下では、中小企業は担保や保証に頼らざるを得なくなります。担保や保証は、返済不能時のリスクを軽減するための手段ですが、中小企業にとっては大きな負担となります。社長個人の資産を担保に取られたり、第三者保証人を立てたりすることで、事業失敗のリスクが経営者個人に集中してしまうのです。
本来は事業の将来性で融資の可否が判断されるべきですが、現状では担保・保証重視の融資慣行から抜け出せていません。中小企業の資金調達を円滑化するには、この状況の改善が不可欠だと考えられます。
資金調達を成功させるコツ
中小企業が事業を継続・発展させていくには、適切な資金調達が不可欠です。しかし、金融機関の貸出姿勢の厳格化により、中小企業の資金調達は年々難しくなっています。
ここでは、そのような厳しい環境下でも資金調達を成功させるためのポイントを4つ解説します。事業計画書の作成、金融機関との関係構築、適切なタイミング、調達資金の管理という4つの視点から、具体的なコツを見ていきましょう。
事業計画書の精度を向上させる
資金調達を成功させるためには、まず説得力のある事業計画書を作成することが重要です。事業計画書は、自社の事業内容や成長戦略、資金の必要性と使途を明確に示すものです。
事業計画書を作る際は、市場動向や競合分析、自社の強みと弱みを客観的に分析することが大切です。数値目標は根拠を示しつつ、現実的かつ野心的なものにしましょう。また、資金の使途と効果を具体的に説明することで、金融機関の理解を得やすくなります。
作成した事業計画書は、専門家のアドバイスを受けて精度を高めていくことをおすすめします。外部の視点を取り入れることで、計画の妥当性や説得力がより増すでしょう。
金融機関と良好な関係を構築する
金融機関との信頼関係を築くことも、資金調達の成功には欠かせません。普段から担当者とコミュニケーションを取り、自社の経営状況や将来像を共有しておくことが大切です。
定期的に財務諸表を提出したり、事業の進捗を報告したりすることで、金融機関との距離が縮まります。担当者を自社の理解者にすることで、融資審査がスムーズに進む可能性が高まるでしょう。
加えて、経営者自身が金融に関する知識を深めておくことも重要です。金融機関との対話の中で、適切な質問やコメントができるよう、日頃から学ぶ姿勢を持ちましょう。
適切なタイミングで資金調達する
資金調達のタイミングも適切に見極める必要があります。早すぎると金利負担が重くなり、遅すぎると事業機会を逃してしまうかもしれません。
事業拡大の前や、設備投資が必要な時期に合わせて資金を調達するのが理想的です。また、自社の財務状況が良い時期に融資を受けておくのもひとつの方法です。業績が安定している時なら、より有利な条件で資金を得られる可能性が高いでしょう。
ただし、闇雲に資金を借りることは避けたほうが賢明です。調達した資金を有効活用できる目途が立っているかを見極め、慎重に判断することが肝心です。
調達した資金を適切に管理・活用する
せっかく調達した資金も、適切に管理・活用しなければ意味がありません。資金使途は事業計画に沿って厳密にコントロールし、むやみな支出は控えましょう。
調達資金の管理には、専用口座を作るなどして社内の理解を得ておくことも大切です。資金繰り表を作成し、入出金を可視化することで、効率的な資金活用が可能になります。
金融機関に対しては、調達資金の使途と効果を定期的に報告しましょう。事業計画通りに資金を活用し、成果を上げている姿勢を見せることで、次の資金調達もスムーズになるはずです。
中小企業向けの主な資金調達方法
中小企業は資金調達に苦労することが多いですが、実は様々な選択肢があります。ここでは、中小企業が利用できる主な資金調達方法について解説します。
金融機関からの融資(デットファイナンス)
金融機関から融資を受けることは、中小企業にとって最も一般的な資金調達方法の一つです。メリットは、経営権を握られることなく、比較的簡単に資金を得られる点です。
一方で、融資には必ず返済義務が伴います。また、融資の可否は主に過去の経営実績に基づいて判断されるため、業歴の浅い企業や業績不振の企業は融資を受けづらい傾向にあります。加えて、担保や保証人を求められることも多いでしょう。
出資の受け入れ(エクイティファイナンス)
出資を受け入れることで、返済義務のない資金を調達できます。しかも、資金の使途を問われることもありません。
ただし、出資者には株式が発行されるため、出資比率に応じて経営権を握られる可能性があります。また、出資者を見つけること自体が難しいというデメリットもあります。
政府系金融機関の融資制度
日本政策金融公庫や商工中金などの政府系金融機関は、中小企業向けの様々な融資制度を用意しています。これらの制度を利用すれば、無担保・無保証人かつ低利での融資を受けられる場合もあります。
制度融資の条件は一般的な融資よりも緩やかなことが多いですが、申請には一定の手間がかかります。また、利用できる制度は企業の属性によって異なりますので、自社に合った制度を探す必要があります。
助成金・補助金の活用
国や自治体では、中小企業の生産性向上や働き方改革などの行政目的に即した、様々な助成金・補助金制度を設けています。これらは事業計画の審査に通れば、返済不要の資金を得られる魅力的な選択肢です。
ただし、申請には詳細な事業計画書の作成が必要なため、事前準備に手間がかかります。また、補助金に関しては、競争率が高く、必ず採択されるとは限りません。リスクを踏まえた上で、積極的に活用を検討したいところです。
資金調達の選び方のポイント
中小企業が資金調達を行う際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、資金調達の選び方のポイントについて解説します。
資金の使用目的を明確化する
資金調達を行う前に、まず資金の使途と目的を明確にすることが大切です。資金の使途によって、適切な資金調達方法は異なります。例えば、設備投資のための資金なのか、運転資金なのかによって、選ぶべき資金調達方法は変わってきます。
また、資金調達の目的を明確にすることで、金融機関や投資家に対して自社の事業計画をアピールしやすくなります。資金の使途と目的を明確にし、具体的な事業計画を立てておくことが重要といえます。
自社の経営状況と将来性を分析する
資金調達を行う際には、自社の経営状況と将来性を正しく分析しておくことが求められます。金融機関や投資家は、会社の財務状況や事業計画を見て、融資や出資の判断を行います。
自社の強みや弱み、市場環境などを分析し、将来の成長性を客観的に評価しておくことが大切です。自社の経営状況と将来性を正しく把握することで、適切な資金調達方法を選びやすくなるでしょう。
メリット・デメリットを比較検討する
資金調達方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。例えば、金融機関からの融資は審査をクリアすれば簡単に資金を得られるメリットがある一方で、必ず返済が必要というデメリットがあります。
一方、出資の受け入れは返済義務がないメリットがある反面、経営権を握られるデメリットがあります。このように、各資金調達方法のメリット・デメリットを比較検討し、自社の状況に合った最適な方法を選ぶことが重要です。
専門家に相談する
資金調達は専門的な知識が必要とされる分野です。経営者だけで判断するのではなく、税理士や中小企業診断士などの専門家に相談することをおすすめします。
専門家は資金調達に関する豊富な知識と経験を持っており、自社に合った資金調達方法を提案してくれます。また、金融機関との交渉の際にも心強い味方になってくれるでしょう。資金調達の選択に迷ったら、ぜひ専門家に相談してみてください。
まとめ
本記事では、中小企業の資金調達の現状と課題、利用できる主な資金調達方法、それぞれのメリットとデメリット、賢明な選択をするためのポイントについて解説してきました。中小企業の資金調達を取り巻く環境は厳しいですが、適切な方法を選択することで道は開けるはずです。
資金調達は専門的な分野ですから、経営者の皆さんには税理士や中小企業診断士などの専門家に相談しながら進めていくことをおすすめします。金融機関との良好な関係を築き、事業計画に基づいて適切なタイミングで必要な資金を調達し、調達した資金は計画的に管理・活用していきましょう。自社の事業発展のために、ぜひ本記事を参考に資金調達に取り組んでみてください。